メルマガ

VOL.479 食生活と精液の質の関係

2012年08月19日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 妊娠しやすいカラダづくり 第479号  2012年8月19日発行

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.akanbou.com

 お子さんを望まれるカップルを応援します。

 なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、悩みを克服する
 ために、"二人で話し合い、考えを整理"して、"自分たちにふさわし
 い答えを出す"上でのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な
 視点で、毎週末、配信しています。


━[今週のテーマ]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼今週の更新情報

▼最新ニュース解説
食生活と精液の質の関係

▼妊カラ編集室から
不妊当事者向けイベントのお知らせ

▼編集後記


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 今 週 の 更 新 情 報 一 覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
--------------------------------------------------------------------
2012年8月16日 妊娠報告 
どこか気持ちをリラックスして笑顔で前向きにとらえることが大切だと思う
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2012081601.html
--------------------------------------------------------------------
2012年8月13日 編集長コラム
新しい命のための環境づくり
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20120813.html
--------------------------------------------------------------------
2012年8月11日 イベントのお知らせ 
講演会と不妊体験者向けのワークショップ「不妊治療における自己決定」
http://www.akanbou.com/info/20120811.html
--------------------------------------------------------------------
記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 最 新 ニ ュ ー ス 解 説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 食生活と精液の質の関係
--------------------------------------------------------------------
今月の特集では、卵子の質だけでなく、精子の質にも、もっと、目を向ける
べきだというお話しをしました。
http://www.akanbou.com/mailmagazine/20120805.html

不妊の原因が男女いずれにあるのかにかかわりなく、受精卵が健全に成育す
るためには、卵子の質だけでなく、精子の質も一定の役割を担っていること
がわかってきたからです。

そして、精子の質を左右するのは、精子の頭部に格納された、父親の遺伝情
報を含むDNAの損傷です。

もしも、射精の頻度が少なく、精液中に古い精子が多くなっていたり、酸化
ストレスの高い生活をしていたりすると、精子DNAが損傷を受け、質が低
下してしまいます。

酸化ストレスというのは、呼吸によって発生する活性酸素の量が過剰になる
か、もしくは、活性酸素の害を消去する力(抗酸化力)が低下すると増大し
ます。

そのため、頻繁に射精したり、酸化ストレスに強い生活習慣を心がけること
が大切です。

先週から今週にかけて、食と精液の質の関係についての研究報告が立て続け
けに発表されました。


--------------------------------------------------------------------
魚や鶏肉、果物、野菜、豆類、そして、全粒(精製していない)穀物を多く
食べている男性ほど、前進する精子の割合が高い(*1)。
--------------------------------------------------------------------
アメリカのハーバード公衆衛生大学院の研究者を中心としたチームは、18
歳から22才歳の男子大学生、188名を対象に、食物摂取頻度調査で食生
活のパターンを調べ、マスターベーションで精液を採取し、精液検査を実施
し、それらの関係を解析しました。

特定の食材と精液検査の結果には関連性は見られませんでした。

一方、食物摂取頻度調査の結果から、2つの食生活パターンにわけました。

一つは、適切な食生活パターンで、魚や鶏肉、果物、アブラナ科野菜、トマ
ト、葉物野菜、豆類、全粒(無精製)穀物を主に食べているパターンで、も
う一つは、西洋スタイルパターンで、赤身や加工肉、バター、高脂肪乳製品、
精製穀物、ピザ、スナック菓子、高カロリー飲料、マヨネーズ、スイーツを
よく食べるパターンです。

そして、ぞれぞれの食生活パターンの傾向の強さで、4段階にグループ分け
しました。

その結果、適切な食生活スタオルでは精子運動率が高く、その傾向が最も強
いグループの男性は、最も弱いグループの男性に比べて前進する精子の割合
が11.3%高いことが分かりましたが、西洋スタイルでは精液検査との関
連は見られませんでした。

研究チームは、この結果は果物や野菜、魚、鶏肉、全粒穀物を中心とした食
生活を実践することは、最もお金のかからない、安全な精子の運動率を改善
する方法ではないかと結論づけています。


--------------------------------------------------------------------
クルミが精液の質をよくする可能性がある(*2)。
--------------------------------------------------------------------
アメリカのUCLA、ロサンゼルス校の研究チームは、21~35歳の健康
な男性をランダムに2つにグループに分け、一方のグループ(59名)には、
1日に75グラムのクルミを食事に加えてもらい、もう一方には(58名)
クルミを加えませんでした。

試験の開始時と12週間後に、精液検査と染色体検査、そして、血中と精液
中の脂肪酸測定を実施し、試験の前後で比較しました。

その結果、クルミを食べたグループでは、精子運動率や精子正常形態率が統
計学的に有意に上昇し、クルミを食べなかったグループでは変化はありませ
んでした。

また、クルミを食べたグループの血液中と精液中のオメガ6脂肪酸とオメガ
3脂肪酸の濃度が増加し、オメガ3脂肪酸のアルファリノレン酸の濃度が高
いほど、精子の染色体異常が少ないことが確認されました。

研究チームは、クルミを食べたグループの精液の質が高まったのは、クルミ
に豊富に含まれるオメガ3脂肪酸によるものではないかとしています。


◎抗酸化物質とオメガ3脂肪酸を積極的に摂取すべき

いずれの研究も健康な男性を対象にし、食べ物と精液の質の関係を調べたも
のであって、精子無力症と診断された男性不妊患者を対象したものではあり
ませんし、また、精液の質の改善と妊娠率の向上につながったことを確かめ
たわけでもありません。

ただし、これまでの研究で、パートナーの男性が、抗酸化サプリメントを摂
取した女性の妊娠率、出産率ともに高くなることが確かめられています。
http://www.akanbou.com/news/news.2011011901.html

野菜や果物、豆類、全粒穀物を中心とした食生活を心がけることで、抗酸化
物質を豊富に摂取することが出来るようになりますので、当然、パートナー
の妊娠率の向上も期待できるはずです。

また、クルミに豊富なオメガ3脂肪酸と精液の質の関係についても、同様の
報告がなされています。
http://www.akanbou.com/news/news.2012031501.html

男性不妊と診断され、パートナーの女性が不妊治療を受けている男性、そし
て、お子さんを望まれるすべての男性は、特に、抗酸化物質やオメガ3脂肪
酸を積極的に摂取することを意識して、バランスのよい食生活を心がけるこ
とで、より妊娠に近づくことが出来るのではないでしょうか。


--------------------------------------------------------------------
記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 妊 カ ラ 編 集 室 か ら
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 講演会と不妊体験者向けのワークショップ「不妊治療における自己決定」
--------------------------------------------------------------------
不妊ピア・カウンセラー有志による不妊当事者支援グループのTEAMラ・ポル
タが主催するワークショップ開催のお知らせです。

不妊治療では、様々な局面で「決断」「自己決定」を求められることがあり
ます。こうした時、当事者はどのようにして決めていけばいいのか、講演と
エクササイズを通して、このことを参加者のみなさんと一緒に考えてみると
いう企画です。

詳細内容は下記の通りです。

■開催概要

~講演会と不妊体験者向けのワークショップ~
『不妊治療における自己決定』

主催:TEAMラ・ポルタ 
後援:TEAMよこはま、PICA
日時:8月25日(土) 13時-16時
場所:女性センターアイリス(東京都渋谷区)
http://www.shibu-cul.jp/access.html

対象:1)講演会→不妊について学びを深めたい方ならどなたでも
   2)ワークショップ→不妊当事者
   *おひとり、カップル、男性のみの参加も歓迎します。

内容:第1部の講演会と第2部のワークショップに分かれています。

第1部 講演会:13:00-14:00
   『不妊治療における自己決定』
    生殖心理カウンセラー(臨床心理士)小倉智子氏

第2部 ワークショップ:14:15-16:00 
   『意思決定についてのエクササイズ』

参加費:1,000円(第1部・第2部どちらかだけの参加も可能です)

▼詳細パンフレット
http://www.akanbou.com/event/event_20120825.pdf

▼TEAM ラ・ポルタ
http://www.peer-net9.jp/


--------------------------------------------------------------------
不妊をテーマにしたイベント「Fine祭り2012」申込み受付中!
--------------------------------------------------------------------
毎年恒例になりました、NPO法人Fine主催の「Fine祭り」ですが 今年のタイ
トルは「Fine祭り2012 仲間と話そう!不妊」。

今年は全国5カ所で開催され、国際不妊患者団体連合とのコラボで、京都・
大阪では国際学会も開催、参加費無料の国際学会で、海外での不妊治療事情
などを聞けたり、おしゃべり会で、仲間たちと気兼ねなく思いっきりおしゃ
べりできます。

あなたも、辛い思いを一人で抱えずに、仲間と話してみませんか?

※「Fine祭り2012」詳細はコチラ↓↓
 http://j-fine.jp/matsuri/2012/matsuri.html

<日程>

◆ 京都 ◆
9月1日(土)13:00~17:00 (予定)
「Fine祭り2012 with iCSi国際会議」
国内外の、不妊や卵子提供に関する講演
※iCSi(国際不妊患者団体連合)会議

◆ 大阪 ◆
9月2日(日)12:00~14:00 (予定)
「Fine祭り2012 全国おしゃべり会in大阪」
ランチを食べながら仲間とのおしゃべり

9月2日(日)15:00~16:30(予定)
「Fine祭り2012 with ASPIRE iCSiセッション」
国内外の不妊体験者たちによる発表など
代理出産についての話も聞けます。

※ASPIRE(アジア太平洋生殖医学会)2012
 http://www2.convention.co.jp/aspire-jsfi2012/ 

◆ 札幌 ◆
10月7日(日)13:00~16:30 (予定)
「Fine祭り2012 全国おしゃべり会in札幌」
Fineスタッフの体験談発表十おしゃべり会

◆ 福岡 ◆
10月21日(日)13:00~16:30 (予定)
「Fine祭り2012 全国おしゃべり会in福岡」
Fineスタッフの体験談発表十おしゃべり会

◆ 東京 ◆
11月3日(土)13:00~16:30 (予定)
「Fine祭り2012 全国おしゃべり会in東京」
Fineスタッフの体験談発表十おしゃべり会

◆「Fine祭り2012」関連ブログ◆↓
http://blog.livedoor.jp/npofine/archives/65665147.html 
http://blog.livedoor.jp/npofine/archives/65666442.html 
http://blog.livedoor.jp/npofine/archives/65667863.html 

「祭り」ネーミングの由来はこちら↓
http://j-fine.jp/matsuri/p-a.pdf 

「Fine祭り2012」お申込みはこちら↓
http://j-fine.jp/matsuri/2012/matsuri.html

--------------------------------------------------------------------
記事ついてのご質問等は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 株式会社パートナーズ運営サイト
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私たちはお子さんを望まれるカップルを応援しています。

▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
http://www.akanbou.com/

▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 ~ ふたりで知っておきたいオトコのこと」
http://www.akanbou.com/dansei-funin/index.html

▼医師がサポートするサプリメントセレクトショップ
→「ネイチャーズギフト」
http://www.nature-g.com/

▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html

--------------------------------------------------------------------
ツイッターからも情報を発信しています
--------------------------------------------------------------------
ツイッターからもさまざまな情報を発信しています。サイトに紹介するほど
でもない研究報告やトピックなども紹介しています。よければフォローくだ
さい。また、皆さんの声もお聞かせいただければ嬉しいです。

・妊娠しやすいカラダづくりツイッター
http://twitter.com/ninkara


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 編 集 後 記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最近、マスコミでも男性不妊についての報道が多くなっているようですが、
食生活をはじめとした生活習慣と精液の質の関係を調べた研究報告も、次々
と実施され、発表されています。

先進国での男性不妊の増加(精液の質の低下)や食生活の変化が健康に及ぼ
す影響についての関心が、世界的に高まっている証拠ではないでしょうか。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.479
--------------------------------------------------------------------
発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎発行部数
・自社配信: 280部
・まぐまぐ: 4,890部
・合計部数: 5,170部(8月19日現在)
--------------------------------------------------------------------
◎免責事項について
当メールマガジンの提供する情報は医師の治療の代わりになるものでは決し
てありません。プログラムの実行は各人の責任の元で行って下さい。プログ
ラムの実行に伴う結果に関しては、当社の責任の範囲外とさせて頂きます。
--------------------------------------------------------------------
◎注意事項
読者の皆さんから寄せられたメールは、事前の告知なく掲載させていただく
場合がございます。匿名などのご希望があれば、明記してください。また、
掲載を望まれない場合も、その旨、明記願います。メールに記載された内容
の掲載によって生じる、いかる事態、また何人に対しても一切責任を負い
ませんのでご了承ください。
--------------------------------------------------------------------
◎著作権について
当メールマガジンの内容に関する著作権は株式会社パートナーズに帰属しま
す。一切の無断転載はご遠慮下さい。