メルマガ

VOL.482 誰がために

2012年09月10日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 妊娠しやすいカラダづくり 第482号  2012年9月9日発行

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.akanbou.com

 お子さんを望まれるカップルを応援します。

 なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、悩みを克服する
 ために、"二人で話し合い、考えを整理"して、"自分たちにふさわし
 い答えを出す"上でのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な
 視点で、毎週末、配信しています。


━[今週のテーマ]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼特別企画
誰がために

▼妊カラ編集室から
不妊をテーマにしたイベント「Fine祭り2012」

▼編集後記


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 特 別 企 画
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 「やすらぎの里」小針先生のコラム「誰がために」
--------------------------------------------------------------------
今週は「やすらぎの里」の小針先生のコラムをご紹介します。やすらぎの里
は、東伊豆にある断食道場で、私(細川)は、昨年の夏と今年の春にお世話
になりました。
http://www.akanbou.com/mailmagazine/20110821.html

身も、心も、本当にやすまり、そして、リセットされます。リセット、つま
りは、人間としての本来の状態に戻るという感じでしょうか。

初めてやすらぎの里を訪れ、大沢先生にお話しをうかがい、断食について書
いたレポートです。
http://www.akanbou.com/topics/topics-001/danjiki.html

今回、小針先生がご自身のブログ「デトックス博士」に書かれていたコラム
で、妊カラの読者の方々にも読んでいただきたいなと思うメッセージがあり
ましたので、ご紹介させていただくことにしました。


「誰がために」

不妊に悩まれている方が、断食を実践するためにいらっしゃいます。

体質が重要であるということに気づかれて、早い段階から生活習慣改善に取
り組み、積極的に食養を実践しようとする人。

多くの病院を巡り、様々な治療法を受けて、最後の手段として断食を選択さ
れる方もいます。

悔いの残らないように、あらゆる可能性を試してみようとする積極的な姿勢
は、現状を打開するために必要でしょう。

痛切な思いが成就するために、おさえておくべき基本を、自然療法に従事す
る立場からお話してみたいと思います。

不妊症に限らず、あらゆる不定愁訴や慢性病は、文明が進み、人間としての
自然なあり方から、ますます乖離するようになって増えてきたように思いま
す。

ですから、多かれ少なかれ現代人のほとんどが体質劣化による不妊の要素を
潜在していると言えます。

しかしながら、まったく意図的な努力をすることなく妊娠する人もいれば、
あらゆる手段を尽くしても妊娠できない人がいるのはどうしてでしょうか。

「若さ」という要素は何物にも代えがたいものに見えます。

とはいえ、若さがすべてでもなく、若くても妊娠できない者もいれば、高齢
であってもたやすく妊娠できる者もいます。

東洋医学では「先天の精」といって生得的、つまり親譲りの「気の総量」が
あるといわれ、それを使い果たしたとき死ぬとされるものですが、妊娠、出
産という人生においても、最大規模にエネルギーを消費する営みにおいて、
その余力が影響することは容易に想像できます。

若くても余力が少ない者がいるでしょうし、高齢でも十分に余力を備えてい
る者も当然いることでしょう。

それでは「先天の精」が最初から少ない場合は絶望的かといえばその限りで
はありません。

二つの方法があります。

・浪費しないように節制すること
・後天的に補うこと

あらゆる気功法や養生法のテーマが、まさにこの二つに集約されるでしょう。

前者は内臓に過剰な負担を強いないということです。

不摂生、放埓な食生活、睡眠不足、運動の過不足、過剰なストレスなどです。

心身ともに自然なリズムに沿った穏やかな生活を心がけるということが重要
でしょう。

後者は、天の気と地の気から補うことになります。

天の気は呼吸によって得られる効果、地の気は食物の持つ栄養滋養から得ら
れる効果です。

生活習慣改善について、ここでは健やかな妊娠・出産をかなえるために特化
してお話してみます。

食生活については、玄米や雑穀など胚芽や皮がついたものを主食にします。
それは食物の持つ気をまんべんなくいただく方法です。

味噌や納豆など日本に伝わる伝統的な発酵食品も、微生物の力と良質なたん
ぱく質を含み欠かせないものです。

ひじき、わかめ、こんぶなどの海藻には、日本人に不足しがちなカルシウム、
ヨード、鉄分などのミネラルが豊富に含まれていますので、常食したいもの
です。

じゃこやごま、ナッツ類はご飯におかずにふりかけて香ばしい香りと歯ざわ
りを楽しみながら毎日摂取したい食品です。

その反対に控えるべきものとしては白砂糖などの甘いもの。

これは精製されて食物の栄養がそぎ落とされており、吸収率も高いために、
内臓に負担をかけてしまいます。

また代謝の過程で体内の微量栄養素を浪費してしまうので、現代型栄養失調
の原因となります。

冷たい飲食物も控えたいものです。

内臓を冷やすということは、体の芯が冷えるということであり、これを温め
なおすのにはそうとうの労力が費やされます。

冷えは、エネルギー浪費の筆頭と言えます。

セルフケアとしてできることは、下腹部のしこりをやわらげあたためること
です。

妊娠、出産において主たる役目を果たす子宮や卵巣は、すべて下腹部に集中
しています。

その下腹部を手のひらで感謝の気持ちをこめながら、なでさすり温めるよう
にすると、冷えや緊張が取れ、潤沢な血流が回復して機能が活性化されます。

「感謝の気持ち」にも意味があります。

内臓機能や代謝が上がるために、「感謝」できる心境であるかが大きく左右
するように思います。

自分のためなら人を蹴落としてでもという人のことを冷血といいます。

自分はもとより、他人に優しい人を、温かい人といいます。

人に必要とされていると実感するほどに、やる気が出て、生きる気力がみな
ぎってくることでしょう。

必要とされていない、理解されない、阻害されていると思うほどに、生きる
力が減退していくことを感じられるでしょう。

心の状態は即座に身に反映します。

あらゆる不満を乗り越えて、今生かされていることに感謝できること。

簡単ではありませんが、下腹部をさするときだけでも思い出してみたいもの
です。

すると俄然、温かい気持ちになって、下腹部に血が満たされるのを感じるで
しょう。

改めて、子供は作るものでしょうか、それとも授かるものでしょうか。

人事を尽くすことは大切ですが、それ以上に天命を待つことも大切ではない
でしょうか。

往々にして、寄る年波とせめぎあい、切迫して戦々恐々としがちな不妊治療
ですが、たまには穏やかな心境で亡き祖先に手を合わせてみるのも、感謝の
気持ちを思い出す良いきっかけになるでしょう。

連綿と受け継がれた命脈の末端に位置し、次代にバトンを渡そうとするとき、
いかに自己を超えられるか。

昨今の両親の子への虐待や子殺しの報道を見るにつけ、それが、その後に繰
り広げられる子育てという名の自己犠牲を容易にする秘訣ではないかと思う
のです。

妊娠前からマタニティヨガのDVDを活用することもすすめられます。

妊婦だけのものにしてはもったいない内容だと常々感じていました。

ヨガでは「妊娠力の高いからだ=自然体」と定義します。

自然体とは、体の中心である丹田(へそ下約3cm)に力が集約され、それ
以外の力が抜けている状態であり、どの細胞、どの部分にも血液が平等に分
配される状態です。

東洋医学的にはおけつ(骨盤内臓器うっ血)が婦人科系疾患を惹起しますが、
腰腹力の強化や骨盤の開閉力を高めることは骨盤内臓器への良質な血液の潤
沢な血流を促します。

ヨガ的自然体獲得のわかりやすい目安としては、力強くしなやかな四股立ち
ができるか、結跏趺坐(編集室注:けっかふざと読み、仏教とヨーガにある
瞑想する際の座法のこと)が組めるか、仰向けから腹筋で起き上がれるかと、
いった点を指標にします。

娩出力を高めるためのヨガのポーズが、そのまま不妊症改善に有効なので、
根気良く続けてみてはいかがでしょう。

ここまで述べてきて、それが先進医療とは対極の、瑣末な生活上の工夫であ
ることに気づかれたでしょうか。

僕が考える不妊症改善ないし妊娠力向上というものは、かろうじて受精にこ
ぎつければいいというものではなく、妊娠中の順調な胎児の発育と、その先
の安産をも見据えたものです。

そのためにも体質改善は必須で、おのずと食事、呼吸、姿勢、運動、精神活
動を含んだ生活全般を見直すことが、その他の生活習慣病やがんなどと同様
に必要になるのです。

万が一、妊娠が果たせなかったとしても、心身を整えることは、どんな結果
も受け入れられる安定した精神を醸成することになると信じています。

妊娠、出産は人間に残された「最後の自然」ともいえるものだと感じていま
す。

つわりにおける吐き気や嘔吐は、それまで溜め込んできた毒素の排泄と捉え
れば、生命の精妙な働きに目を見張るばかりですし、偏食もまた、今まさに
必要とする栄養を得ようとする身体の欲求であるとすれば、まったく理屈を
超えた世界がそこにあるわけです。

「人間としての自然性」を回復していくことこそ、不妊症に限らず現代人の
悩みを解消する唯一の方法ではないかと思います。

不妊症は、単に個人の体質というだけでなく、現代社会の業を表す象徴的な
状態ではないでしょうか。

「なぜ生まれ、いかに生きるのか」

生命の営みに臨むとき、いよいよ生命としての本質的な問いを突きつけられ
ているのでしょう。

--------------------------------------------------------------------
*やすらぎの里
http://www.y-sato.com/

*やすらぎの里高原館
http://www.kougenkan.com/

--------------------------------------------------------------------
記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 妊 カ ラ 編 集 室 か ら
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
不妊をテーマにしたイベント「Fine祭り2012」申込み受付中!
--------------------------------------------------------------------
毎年恒例になりました、NPO法人Fine主催の「Fine祭り」ですが、先週、大
阪、京都で開催され、全国ツアー?がスタートしました。

来月は、いよいよ、初の札幌、福岡での開催です。北海道や九州の読者のみ
なさん、あなたも、辛い思いを一人で抱えずに、仲間と話してみませんか?

※「Fine祭り2012」詳細はコチラ↓↓
 http://j-fine.jp/matsuri/2012/matsuri.html

<日程>

◆ 札幌 ◆
10月7日(日)13:00~16:30 (予定)
「Fine祭り2012 全国おしゃべり会in札幌」
Fineスタッフの体験談発表十おしゃべり会

◆ 福岡 ◆
10月21日(日)13:00~16:30 (予定)
「Fine祭り2012 全国おしゃべり会in福岡」
Fineスタッフの体験談発表十おしゃべり会

◆ 東京 ◆
11月3日(土)13:00~16:30 (予定)
「Fine祭り2012 全国おしゃべり会in東京」
Fineスタッフの体験談発表十おしゃべり会

◆「Fine祭り2012」関連ブログ◆↓
http://blog.livedoor.jp/npofine/archives/65665147.html 
http://blog.livedoor.jp/npofine/archives/65666442.html 
http://blog.livedoor.jp/npofine/archives/65667863.html 

「祭り」ネーミングの由来はこちら↓
http://j-fine.jp/matsuri/p-a.pdf 

「Fine祭り2012」お申込みはこちら↓
http://j-fine.jp/matsuri/2012/matsuri.html

--------------------------------------------------------------------
記事ついてのご質問等は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 株式会社パートナーズ運営サイト
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私たちはお子さんを望まれるカップルを応援しています。

▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
http://www.akanbou.com/

▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 ~ ふたりで知っておきたいオトコのこと」
http://www.akanbou.com/dansei-funin/index.html

▼医師がサポートするサプリメントセレクトショップ
→「ネイチャーズギフト」
http://www.nature-g.com/

▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html

--------------------------------------------------------------------
ツイッターからも情報を発信しています
--------------------------------------------------------------------
ツイッターからもさまざまな情報を発信しています。サイトに紹介するほど
でもない研究報告やトピックなども紹介しています。よければフォローくだ
さい。また、皆さんの声もお聞かせいただければ嬉しいです。

・妊娠しやすいカラダづくりツイッター
http://twitter.com/ninkara


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 編 集 後 記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ほ乳類には自然排卵と交尾排卵という2つの異なる排卵メカニズムがあって、
私たち、人間は、もちろん、自然排卵で、性交のあるなしに関わらず、ホル
モンによって、周期的に卵胞が成熟し、排卵されることは、皆さんよくご存
じの通りです。

一方の交尾排卵というのは、そのような周期はなくて、交尾、すなわち、性
交によって排卵するのです。

性交によって排卵するのですから、ドンピシャのタイミングですから、妊娠
率は当然高くなりますよね。

交尾排卵にはタイミング指導は不要なのです。

まあ、動物の世界ではそんなことはないのでしょうけど。

ところが、驚くべきことに、人間の精液中にも、女性の脳に作用して、排卵
を促す物質らしきものが存在することを、アメリカの研究者が確かめたとい
うのです。

つまり、人間は自然排卵は自然排卵なんだけども、実は、交尾排卵のメカニ
ズムも備わっている可能性が大きいというわけです。

そう言えば、欧米ではクリスマスから270日前後に出産が増える傾向にあ
るのは、女性は嬉しい時、楽しい時に排卵したり、ニューヨーク大停電のと
きにも妊娠ラッシュがあって、こっちは恐怖を感じたことで排卵が起きたと
考えられているようです。

人間の身体に備わったメカニズムというのは、私たちが考えている以上に、
野性味溢れるものなのかもしれませんね。

最後に、やすらぎの里の小針先生には、転載を快諾いただきお礼申し上げま
す。

ありがとうございました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.482
--------------------------------------------------------------------
発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎発行部数
・自社配信: 323部
・まぐまぐ: 4,858部
・合計部数: 5,181部(9月9日現在)
--------------------------------------------------------------------
◎免責事項について
当メールマガジンの提供する情報は医師の治療の代わりになるものでは決し
てありません。プログラムの実行は各人の責任の元で行って下さい。プログ
ラムの実行に伴う結果に関しては、当社の責任の範囲外とさせて頂きます。
--------------------------------------------------------------------
◎注意事項
読者の皆さんから寄せられたメールは、事前の告知なく掲載させていただく
場合がございます。匿名などのご希望があれば、明記してください。また、
掲載を望まれない場合も、その旨、明記願います。メールに記載された内容
の掲載によって生じる、いかる事態、また何人に対しても一切責任を負い
ませんのでご了承ください。
--------------------------------------------------------------------
◎著作権について
当メールマガジンの内容に関する著作権は株式会社パートナーズに帰属しま
す。一切の無断転載はご遠慮下さい。