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VOL.492 続・40代からの不妊治療方針を考える

2012年11月18日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.492 2012/11/18
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・妊カラフォーラム:続・40代からの不妊治療方針を考える
・マイライフストーリー:第三回 焦りと不安~不妊治療ってなんだろう
・お知らせ
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2011年11月17日 お知らせ
不妊講演会「自然での妊娠の効率を高めるためには」
http://www.akanbou.com/info/20121117-3268.html
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2011年11月12日 注目のテーマ
40代からの不妊治療方針を考える
http://www.akanbou.com/topics/topics/055.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


妊カラフォーラム Nov.2012___________________________________________
 
 続・40代からの不妊治療方針について考える
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前号の特集「40代からの不妊治療方針について考える」では、40代で、
原因不明不妊、すなわち、年齢による卵巣機能低下で妊娠しづらくなってい
る女性が、不妊治療を受けて妊娠を目指す場合の治療方針について考えまし
た。

一方、不妊治療は受けないで妊娠を目指すという選択もあるでしょう。

今週は、人工授精や体外受精は選択せず、一般不妊治療で妊娠を目指したも
のの、排卵誘発剤が身体に合わなかったため、漢方や鍼灸で身体を整えるこ
とに切り替えたTさんの手記をご紹介します。

---[Tさんからのメールここから]-----------------------------------

はじめまして。

今回の40代からの不妊治療の記事を拝見いたしまして、自分の思いをメール
で送ってみたいと思い、書いています。

36歳で結婚、現在43歳です。

複雑な家庭環境で育ったせいか、家族や子供への憧れが全くなく、「一生独
身」と思っておりましたが、主人に恋い焦がれ、自らプロポーズ!

心から安心する主人との生活は、幸せで怖いくらいで、「もう自分の幸せを
全部使い切った」と思った程です。

子供に関しては、自然にまかせて・・・という話しだったのと、私もあまり
子供に執着がなかったので、特に意識せず、2人でも十分と思っていました。

それが、いまやこんなに苦しむ事になろうとは・・・・・。

趣味を通して出あった友人たちは、私よりも10歳以上若い人ばかり。です
が、年齢の差を全く感じず、楽しい日々でしたが、その中の一人があっけな
く妊娠。

それを聞いた時から、自分の中で焦りだしたのです。友人は当時30歳です
から、私とは全く違うのに・・・。心のどこかで「この人よりは早く妊娠し
たい」と、ずっと思っていてた自分が、実はいました。

なんでしょうね、この競争心。。。

そんな時に私の母親の借金が発覚。高齢の母が返せる訳もなく、私が肩代わ
りに。

相当のストレスだったんだと思います。

生理周期も乱れ、基礎体温もギザギザ。こんなんでは妊娠出来ない!と母を
憎く思ってしまうようにもなりました・・・。

小さい頃から両親の好き勝手にふりまわされ、それが原因でいじめをうけ、
そんな事をも思いだし、私が妊娠出来ないのは母のせいだとも思うようにな
りました。

その時気付いたのです。

先述の友達は、私にないものを持っている。裕福な家庭で育ち、家族愛にも
恵まれ、まるで芸能人のようにキュートな笑顔・・・。

その上、子供も・・・。

これって、嫉妬ですよね。恥ずかしい。大人になりきれない自分も恨めしい。
毎日が胸苦しい日々でした。

そして、やっと借金が終わったのが40歳。

はじめての不妊治療。

といっても、人工授精も体外受精も選びませんでした。

小さい頃から体が弱かったので、自分の体に向き合う事が多く、体の変化に
も敏感でした。

卵管造影後の大量出血、排卵誘発剤による異常な体のダルサ、どちらも生理
周期が乱れ、その後は無排卵でした。

ほんのちょっとの事で、ホルモンバランスを崩しやすく、検査ひとつ、排卵
誘発剤1本で、これでは治療を続けると妊娠にマイナスになると思ったので
す。

持病の喘息薬も飲んでいることもあって、薬がこれ以上体に入る事が嫌だっ
た事もあります。

そしてもうこれ以上、妊娠にふりまわされたくない気持ちがあったのです。

朝から晩までそればっかり。あまりに思いつめて不安神経症を発症してしま
いました。

この辛い思いをある日、主人に手紙に託しました。便せん4枚位です。

主人からの返事は、「思いつめる必要はないんじゃない?人生楽しくだよ。
子供が出来なくてもそれが2人の人生なのでOK!!マイナスな事はなにもな
いよ!」と、実に短文で拍子抜けしたものです。

でも、それで私の気持ちはとても軽くなりました。

主人も子供は欲しいという気持ちは強いのですが、「神のみぞ知る、自分で
操れないこともあるし」と、ドーーンと構えています。

私がどんなに落ち込んでも「また次があるよ!」と魔法の言葉をかけてくれ
るので、本当にまだ大丈夫だ!と思えてくるのです。

もちろん、主人も年齢的に厳しいことは分かっています。2人だけの人生も
想定しています。

でも、私が望んでいる間は、きっとこうして笑顔で支えてくれるのだと思い
ます。

41歳から漢方を始め、42歳から鍼灸に通っています。驚く事に、43歳
になった今、生理周期が整い、排卵期のおりものが、ぷりんぷりんになりま
した!

卵子が若返ることはないのでしょうが、この2つの組み合わせは私の体をと
ても良い方向に持っていてくれました。

アレルギーや胃炎もなおり、今まで生きてきた中で絶好調に健康です。漢方
を飲むのも、鍼灸に通うのもとても楽しいです。

これで妊娠の確率が上がったとは、さすがに思いませんが、排卵がスムーズ
に行われるのも、今までなかったので、それだけで嬉しい。

子宝の希望がかなったわけではないので、私の意見は参考になりませんが、
高齢=体外受精というのもどうかな?と思うのです。

そもそも、40歳以上の人は不妊というのでしょうか?卵子の老化を考えれ
ば当然なのではないか?とも思います。

私は東洋医学の力を借りて自然妊娠を目指しています。

可能性は非常に低いでしょう。もしかしたら体外受精にチャレンジしていた
ら、子宝に恵まれていたかもしれません。

でも、楽しみながら奇跡を信じる、という自分の選択はこれでありだと思い
ます。

そして体外受精をしてまで子供が欲しくない、というのは違うとも思います。

あえて体外受精を選ばなくても、子供は欲しい気持ちは一緒だと思います。
色んな事情から治療できない方もたくさんいると思いますし・・・・

今は、奇跡を信じながらも、もう2人だけの人生を見据えています。「あー、
自分はこういう経験をしないんだな」と、友人の子育ての話を聞きながら、
寂しく思うこともあります。

また、急に老後の不安に押しつぶされそうになったり、孤独感に襲われたり
する時もあります。

子連れの素敵な家族を見ると、「負けた・・・・」と思うことも。

そんな時は「なんのために子供が欲しいんだ??}と思ってしまいす。

老後のため?勝ち負けのため?????????????????????
?????????

でも、そんな時は主人と楽しい時間を過ごし、たまにはお酒も飲んで、ぐー
たらして、リラックスして今の幸せをかみしめます。

ないものにばかり目が行ってしまう。それは不妊で苦しんでいる人はみなさ
んそうかもしれません。私もそういう時があります。

でも、ないものを数えるより、あるものを数えます。数えるふりでもいいの
です。そうやって、ごまかしながらでも、いつかきっと、自分の幸せに気付
くと思います。

私は被災者です。あるものが突然なくなってしまうのって、言葉ではあらわ
せません。支離滅裂でごめんなさい。思いつくまま、感情のまま書きました。

---[Tさんからのメールここまで]-----------------------------------

Tさん、投稿いただきましてありがとうございました。

もちろん、年齢に関わらず、どのように妊娠を目指すのかについて、正解は
はないのでしょう。

けれども、年齢を重ねるほどに、生殖補助医療が補助できることは、不妊の
原因そのものから、だんだん、周辺部のものになっていきます。また、それ
までの経緯も、それぞれのカップルにはそれぞれの経緯というか、人生があ
るはずです。

そのため、あるカップルには、そのカップルにふさわしい選択があり、別の
カップルには、そのカップルにふさわしい選択があるのでしょう。

ただ、言えることは、なによりも自分を大切にすること、自分の気持ちや考
え方、自分の身体を大切にし、そして、パートナーズを大切にすることが、
新しい生命との出会いに恵まれたときに、健康なお子さんを育む力を養なう
ことになり、ひいては、家族の幸福につながっていくように思いました。

ありがとうございました。

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


マイライフストーリー________________________________________________

マイライフストーリーの連載について、読者のAさんからメールをいただき
ました。

---[Aさんからのメール]-------------------------------------------

こんにちは。はんなさんのマイライフストーリー、楽しみにしています。
慣れない土地での治療は想像しただけでも大変そうで頭が下がります。

実は以前のコラムのようなものが嫌いでした。突然始まったかと思えば、妊
娠したのでやめますなんて、ばかにしてるのか?と。

だから、今回のような順を追えるお話が好きです。

世間では不妊の原因は老化がメインテーマになっていて、病気が原因の人も
いることはあまり取り上げられません。自分勝手に生きてきたツケのように
言われるのが悔しいです。20代から苦しんでいる人がいることも知られる
といいなと思います。

毎週のメルマガ発行も楽しみにしています。これからも頑張って下さい。

---[Aさんからのメールここまで]-----------------------------------

Aさん、メールありがとうござしました。とても励みになりますし、参考に
なります。

それでは、はんなさんのライフストーリーの三回目です。


第三回 焦りと不安~不妊治療ってなんだろう___________________________

こんにちは、はんなです。

紅葉前線が都内にも到着しましたね。街を歩くと、赤や黄色の葉に秋を感じ
ます。大好きな季節です。

さて、前回は、必死の思いで病院のアポイントメントを取ったところまでお
話し致しました。

今回は、予約した病院にてドクターとご対面、検査を受けます。

予約を取った医院は産科と婦人科両方対応している、いわゆる町のお医者様
といった風情。薄暗く狭い待合室に、思いのほか沢山の女性、それに男性も
ちらほらいました。

受付に保険証を提出してから待つこと30分、その間問診票を書きます。内容
は日本と同じ、アレルギーや病歴などを淡々と答えます。

その内呼び出され、いよいよお医者様とご対面。

ドクターのPはアメリカ人らしからぬ地味でお喋り下手、冒頓とした印象の
男性医師でした。

とにかく赤ちゃんが欲しくてどうにかして欲しいのだと拙い英語で訴えると、
彼は検査と不妊治療の内容を説明してくれました。

貴方はまだ若いし、毎月キチンと生理が来ているのであればおそらく排卵は
しているだろう。今日これからUltrasound(超音波)で子宮と卵巣の具合を
見てみて、採血してホルモン値など調べて、後日卵管造影を撮りましょう。
同時にご主人様のチェックも必要です。それで問題なければ、排卵誘発剤を
飲んで人工授精からスタートしてみる。人工授精は貴方の子宮の中へ精子を
注入し、受精と着床を促すのだけれど、それでよいかな?と、こんな感じだっ
たと記憶しています。

とにかく簡潔で気取らない対応でした。

そうして緊張が少し解けたのもつかの間、超音波の部屋に一人通され、下半
身の服を脱ぎ、焼肉屋のナプキンの巨大版のようなものを腰に巻き待機、医
師が部屋に入ってくると、なんと靴を履いたまま診察台にあがらされました!

目を丸くしている私をよそに診察は淡々と進みました。「きれいな子宮の形
だねー。」と言われ、ちょっと嬉しかったのを覚えています。

結果特に異常は見られず、採血をして、更に3日後に卵管造影の予約をし、
その日は無罪放免となったのでした。

その3日後。卵管造影検査の日です。

医師からの指示で、朝自宅にてFleet Enema(いわゆるイチジク浣腸)をしま
した。日本の検査も同様のことをするのでしょうか?とにかく生まれて初め
てのことで、夫を巻き込み、二人で説明書を読みつつトイレで大騒ぎです。

それが終了すると、次に事前に指定された痛み止めを飲みます。アメリカの
薬の成分は強いと感じていたので、処方された分量の半分だけ。

そうして病院に向いました。

Fleet Enemaのせいで、既に疲れています...。

卵管造影検査はドクターPではなく別の専門の医師が担当してくれました。

やはり長々と問診票を書かされて、さて検査です。

薬のおかげか、言われていたほどの痛みではなく、ちょっと重い生理痛位で
しょうか、見るからに手際よくそしてあっという間に終わり、若い担当医か
らは「問題ないみたいだね~」と明るく声を掛けられました。

初めてのことばかりで疲れていた私はそれを喜ぶ余裕もなく、copayment(保
険適用治療時に病院へ支払う料金。当時は10ドル)を支払い、よろよろと家
路に着きました。

後日ドクターPに再びアポイントメントをとり、検査の結果を正式に聞きま
した。やはりどこも問題が無いようです。

「まだ貴方は若いから、体外受精へ急ぐこともないと思うし、ご主人さんの
検査が終わったら、彼とよく話し合ってもらって、もし人工授精をトライし
てみたいならその手筈をしましょう。人工授精は貴方達みたいなカップルに
有効な治療だと思うからよく考えてみてね。」

人工授精はとても簡単で痛みも無く、ただ排卵していると思しき私の場合で
も念のためクロミッドを飲み排卵を促してから行い、我々の場合は人工授精
5回分まで保険でカバーされます、とのことでした。

異国の地、しかも外国語で受ける治療に多少の躊躇はあったものの、このと
き結婚5年目、私は32歳で少し焦り始めていたのと、処置が簡単であること、
医師が信頼できそうな人であったこと、更に通常高いお金を払う処置を保険
適用の上無償でやって貰えるということで、人工授精を試してみたいと思っ
ていました。

主人と話したところ、彼も、もし私の身体に負担がかからず且つ無料でやっ
て貰えるのなら、と私と殆ど同じ意見だったため、治療を始めることに決め
ました。

こうして私は、「不妊治療」の世界に足を踏み入れることとなったのです。

悩み、不安でいっぱいの毎日でしたが、それでもまだ、治療すれば赤ちゃん
を持てるかもしれないという期待に溢れた、元気な頃でした。 

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私たちはお子さんを望まれるカップルを応援します。

▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
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→「男性不妊 ~ ふたりで知っておきたいオトコのこと」
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編集後記____________________________________________________________

妊娠力という言葉がよく使われます。妊娠する力ということで、専門的には
妊孕性と言います。

ただ、最近、このような表現は、時として、妊娠するためには、「何か特別
な力」が必要で、そのためには「何か特別なこと」をやれなければいけない、
という誤解を招きかねないかもしれないと思うようになりました。

そもそも、妊娠や出産は、私たちの身体に備わった当たり前な働きであり、
決して、特別なものではありません。

また、妊娠することは、新しい命が女性のお腹の中で育まれるはじまりであ
り、何かが成就されるわけでもありません。

つまり、妊娠するために何か必要なものがあるとすれば、それは、「当たり
前な健康」であり、そして、それは、妊娠する力というよりも、"健康な"
命を「育む力」というべきものであるはずです。

もちろん、妊娠を妨げているものやことがあって、それを取り除くために、
「特別なこと」が必要な場合もありますが、その場合でも、その後に必要と
されるのは、健康ないのちを育む力です。

健康ないのちを育むためには、常に新鮮な酸素ときれいな水、5大栄養素と
呼ばれる、たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、そして、ホルモ
ンを過不足なく送り込み、老廃物をスムースに運び出すような、当たり前な
身体の働くを維持し、高めることです。

妊娠する力というよりも、「健康な"いのち"を育む力」であるように思い
ます。

いかがでしょうか。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.492
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理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://p.tl/Cg3G
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