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妊娠しやすいカラダづくり No.502 2013/1/27
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今週の内容__________________________________________________________
・不妊治療のためのヨガ 第1回 いま一番大切なのは何もしないこと
・マイライフストーリー 第11回 3.11と体外受精
・編集後記
不妊治療のためのヨガ________________________________________________
ストレスの多い現代、私たちの身体は知らないうちに力んだり、緊張したり
しています。
妊活中であれば、なおさらのこと。
そんなときは、身体をゆるませる「メディカルヨガ」で脱力してリラックス。
日本での第一人者、岡部朋子さんがそのエッセンスをお届けします。
岡部さんは、「統合補完医療」としてのヨガの普及を目指し、高齢者や医療、
介護の現場で働く方々、身体障害者の方など、これまでヨガは困難と思われ
ていた方々に向け、安全でわかりやすいヨガを提供できる社会の実現に向け
取り組んでいます。
今週から、メディカルヨガの中の不妊治療のためのヨガについての岡部さん
のエッセイを隔週で連載します。
第一回 いま一番大切なのは何もしないこと____________________________
はじめまして。ヨガインストラクターの岡部朋子です。
皆さんは「メディカルヨガ」って、聞いたことがありますか?
ヨガといっても、アクロバットのようなむずかしいポーズはナシ。
身体がラクにリラックスできるように工夫されたもので、ヨガに医学の視点
を取り入れて、症状に応じたプログラムがあります。
不妊症の方のプログラムもあるんですよ。
これからメディカルヨガについて、少しずつお話ししていきたいと思います。
さて、妊活中の方は、毎日どんな生活を送っていますか?
家のこと、治療のこと、周りとの関係など、きっと忙しく、毎日があっとい
う間でしょうね。
そして、「妊娠するために、あれをやらなくちゃ」「身体にいいから、これ
もやらなくちゃ」・・・・・・そんなふうに過ごしていませんか?
あなたは本当に頑張り屋さん。
妊活中の方にそう声をかけると、必ずといっていいほど、こんな言葉が返っ
てきます。
「いえいえ、私なんて、まだまだ努力が足りなくて妊娠しないんです」
ええっ、こんなに頑張っているのに!?
身体も心も、1ミリも隙(すき)がないほどパンパンになっているのに・・・。
そう、あなたは、もう十分に努力しています。
ずっと頑張ってきました。
本当に、あなたは頑張り屋さんです。
だから、ちょっと休んでみませんか?
いつの間にか重くなってしまった肩の荷物を下ろして、ほんのひととき、何
もかも忘れてみませんか?
ヨガの考え方の基本は、リラックスすること。
息を吸って、吐いて、身体を動かすのも、深くリラックスするためなんです。
そして、身体のリラックスに、心のリラックスがついてきます。
知らないうちに疲れてしまった心と身体。
いまは、まず休めることから始めましょう。
何もしなくていいんです。
治療は? 生理がきたら?
そう心配になってしまうかしら。
一番大事なのは、あなたの心と身体。それがすべての基本です。
たとえ種や肥料が揃っていたとしても、それを育む土壌が疲弊していたら、
種が芽を出して花を咲かせて、実をつけるには、随分時間がかかってしまい
ますよね。
だったら、もともとの土壌を豊かにととのえることが大事だと思いませんか?
そうしたら、種をちゃんと発芽させて、肥料をしっかりと活用できるはず。
実は私自身、多忙な日々を送るうちに「身体や心が心地よい感覚」をすっか
り忘れてしまいました。
そんなときヨガに出会い、こわばっていた身体がゆるむにつれ、心も解放さ
れていったのです。
あれ? こんなにラクに生きていいんだ!?
そんなふうに感じて、「これはもっとたくさんの人に知ってほしい、体験し
てほしい!」とインストラクターの道に進んだのです。
とはいえ、私はむずかしいポーズを極めるのではなく、いかにラクにヨガを
やるかを探求しています。
どうしてかというと、ヨガの本来の目的は「リラックスすること」だから。
「メディカルヨガ」は、別名"脱力ヨガ"。老若男女、誰でもできます。
このラクチンなメソッドで、妊活で疲れた身体を投げ出して、頭を空っぽし
てください。
「あれもこれも」と隙のない心に、ぽっかりと「何もしない」をつくってほ
しいのです。
これから、メディアルヨガのエッセンスを伝えていきたいと思います。
次回は「20分間、休めますか?」をお届けします。
▼岡部朋子先生プロフィール
http://medical-yoga.luna-works.com/luna/profile.html
ルナワークス主宰、メディアルヨガの指導者育成に取り組む。
慶応大学卒業後、総合商社勤務を経て、同大学院にてMBA(ファイナンス)を
修了、米国税理士、会社設立を経てヨガを始め、日本人として初めて
Yoga Fit RYT 200時間を修了、Yoga Fitのパートナーとなり、2009年2月、
RYT500修了、国際ヨガセラピスト協会(IAYT)会員として医療としてのヨガ
の普及につとめている。2010年にはヨガの処方箋としての世界的な手引書で
ある『Yoga as Medicine』の日本語版『メディカルヨガ』を出版。2012年全
米ヨガアライアンス E-RYT200修了。
▼メディカルヨガ(サイト)
http://medical-yoga.luna-works.com/index.html
▼日本語版「メディカルヨガ」(手引書)
http://p.tl/G3r0
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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
マイライフストーリー________________________________________________
マイライフストーリとは、私たちとご縁のあった方々に、赤ちゃん待ち期間
をどんなふうに過ごしたのかについて語っていただく、それぞれの物語です。
はんなさんのライフストーリーの11回目です。
第11回 3.11と体外受精______________________________________________
こんにちは、はんなです。
前回訪れたCクリニックでは、フーナーテストと血液検査の結果が良好で、
ピックアップ障害が疑われ、体外受精をすすめられました。
人工授精を止める回数の目安として個人的に決めていた6回目も既に過ぎて
いたので、私は主人と話し合い、採卵すると決めました。アメリカでクロミッ
ドの副作用が出ていたため、まずは自然な排卵を目指します。
生理11日目の内診日に排卵間近と分かり、その日の午後採卵が決まりました。
暗い部屋の診察台に横たわりそれは行われました。超音波の画面で、細い管
のようなもので卵巣内の何か(粘液??)を吸い取るのが見えます。
次に、外部カメラのモニタに切り替わり、その管から今度はシャーレに吸い
取った液体を出し、顕微鏡で卵胞を探します。私が見られたのはここまで。
再度ベッドに案内され安静にするよう言われ、期待と不安のなか横たわり、
看護師が来るのを待ちます。
10分は経ったでしょうか。看護師が一枚の紙を持って現れました。
彼女はその紙を見せてくれました。採卵された卵子数、0(ゼロ)。
えっ、という顔で彼女を見ると、看護師さんはすまなそうに、今回は卵胞の
中に卵子が無かったの、と説明してくれました。よくあることだからガッカ
リせず、後でドクターと相談して今度のことを決めてね、と言われました。
そう言われてもやはり落ち込みます。私はこれまで毎月順調に生理が来てい
たけれど、もしかしてずうっと排卵していなかったの?
その日ドクターには、採卵は身体に負担をかけるので、確率を上げるために
も、次サイクルはクロミフェンを飲んでみましょうと提案されました。副作
用の有無は観察していくということで、私達は同意しました。
それは3月初旬。次第に暖かくなり、私は趣味と体調維持を兼ね、ウォーキ
ングを始めました。食が細くなっていたので、美味しいものを積極的に食べ
に出るようにもしました。勿論アルコール抜きで。
程なく次のサイクルが来て、Cクリニックで処方されたクロミフェンを飲み
始めます。今度はめまいや吐き気はなく、そういえば米国の薬は皆強かった
なあと今更思い出しました。
内診のあった3月11日の午後、私は仕事を休み新宿で友人とランチをしてい
ました。楽しく過ごし、子供を迎えに行くという彼女と別れ、地下鉄で帰宅
しようと階段を降りていたとき。
めまいが起きました。
これはまずい。また副作用??
いや、地面が揺れていました。
慌てて階段を降りると揺れは更に強くなり、遊園地のコーヒーカップに乗っ
ているような錯覚を覚え、私は近くに居た女性と共に慌てて手近な太い柱に
しがみつき座り込みました。あちこちで悲鳴のような声が聞こえました。
長く感じたけれど、実際は1分位だったでしょうか。一旦揺れは収まり、そ
ういえばデパートは地震に強いと聞いたのを思い出し、私は目の前にあった
伊勢丹の地下街に駆け込みました。
受付案内の女性が、今のは震度5以上はあった様です、と興奮気味に教えて
くれました。店内のモニタはテレビのニュースに切替わり、人だかりができ
ていました。幸いに携帯電話がすぐ家族につながり無事が確認できました。
ニュースで災害の様子を見ていた私含め沢山の人が、帰宅しようと地上に出
ましたが、駅は閉まっており、アルタ前には見たことも無いような数の人が
ニュース画面を見上げていました。
私は余震の中、偶然出会ったご近所に住む年配の女性と共に数時間歩き、な
んとか帰宅できました。
その恐ろしい日の3日後、私はCクリニックで診察を予定していました。ク
ロミフェンを飲んでいたので採卵したいのは山々だがおそらく無理だろう、
と電話してみると、やりますよと平然とした応対。
余震の中、ガラガラの電車で病院に着き中に入ると、節電で薄暗い待合室は
いつもにも増して沢山の人で溢れていました。こんなときに不妊治療かと自
分自身呆れていたのですが、少し安心しました。
私含めた患者はいつもより饒舌でした。災害という共通項のためでしょう。
ある女性は、まさに採卵というそのときに揺れに見舞われ、ガウンのままと
るものもとりあえずビルを出て階下の公園へ避難したということです。
私の内診の番になり診察台に横たわると、余震が始まりました。震度2-3位
だったでしょうか。私も医師も思わず固まり、揺れが終わると引き続き診察
が行われました。
今から思うと考えられない緊張感の中での通院でした。
当サイクルはそれから更に数日後の14日目に採卵しました。結果、今度は3
つの卵を採取できました。
「3」という数字に身体の奥がじわりと暖かくなるような嬉しさを覚え、こ
れだけでこんなに幸せなのに、妊娠したらどうなるのかと思いました。しか
し帰宅後、疲労感と痛みで一日寝込みました...。
卵子は引き続き培養室で受精が試みられ、ふたつは受精成功、ひとつはICSI
でこれも受精でき、分割胚になりました。あとは体内に戻すプロセスが残っ
ています。
気がつけば私達は、子供が欲しいと思い始めた頃には考えもつかない、不妊
治療の最前線にいました。
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はんなさんへのメールをお寄せください。
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運営サイト__________________________________________________________
私たちはお子さんを望まれるカップルを応援します。
▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
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▼妊カラ・男性不妊編
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編集後記____________________________________________________________
これまで私たちは、不妊治療の代替、或いは、補完する目的で、気功やエク
ササイズを取り入れた教室を運営してきました。また、私(細川)自身、気
功教室、ヨガ教室に通ってもきました。
そして、不妊に悩むカップルや不妊治療を受けているカップルにとって、妊
娠する力や育む力を養い、高めるために、自分たちで取り組める運動療法や
リラックス法には、どのようなものがあるのか、常に調べたり、探したり、
しています。
そんな中で、東伊豆の断食道場「やすらぎの里」の小針先生にメディカルヨ
ガの岡部先生を紹介していただきました。
メディカルヨガ、「統合補完医療」としてのヨガの普及を目指しておられる
岡部さんの考え方、やり方は、まさに「目から鱗。で、そして、とても共鳴
できるものでした。
私のヨガに対するイメージを根底から覆されてしまいました。もちろん、い
い意味で、です。
是非とも、皆さんに知ってもらいたいと強く思った次第です。
まずは、岡部先生のエッセイを読むだけでも、いろいろと実になると思いま
すし、実践的な内容も、少しずつご紹介していこうと考えています。
皆さんのお役に立ったり、なにかのきっかけになれればと思います。ご感想
やご意見をいただければ嬉しいです。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.502
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理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://p.tl/6ZyV
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