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VOL.503 自分が理解できるものだけを実行しよう

2013年02月03日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.503 2013/2/3
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今週の内容__________________________________________________________

・編集長コラム 自分が理解できるものだけを実行しよう
・マイライフストーリー 第12回(最終回) 3.11と体外受精 
・編集後記


編集長コラム Feb.2013_______________________________________________
 
 自分が理解できるものだけを実行しよう
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読者の方々からいろいろなメールをいただくのですが、ご相談内容で多いも
のの一つに、「○○はやるべきか」というものがあります。

つまり、○○は妊娠に効果的だと聞いたけれども、どう思うか?というもの
です。○○には、いろいろなモノやコトが入るのですが、ある治療法や実際
にネットで販売されている商品であることも少なくありません。

もちろん、私たちには、そのことを判断できる立場にありませんし、そんな
能力もありません。

正直に言えば、私たちが教えて欲しいくらいなのですが、場合によっては、
判断材料であれば提供できることがあります。たとえば、そのコトやモノに
ついての文献など、いわゆる、科学的な根拠のあるなしやそのレベルに関し
てです。

もちろん、しっかりした根拠があるかないかはとても大切ですが、かと言っ
て、科学的根拠がないという理由だけで否定できるものでもありません。

とにかく、そもそも、自分たちで100%コントロールできないことを、そ
れも、限られた時間とお金のなかで、後々、後悔しないように、何をどう取
り組めばいいのか、本当に、本当に、悩ましいものです。

このメルマガをはじめて9年半、配信回数も500回を超えましたが、ずー
と、このことを考え続けてきたように思います。

で、先週、新聞を読んでいて、「なるほど!」と思わず、膝を打った記事に
出会いました。

投資家として有名なジムロジャースさんへのインタビューで、こんなふうに
ありました。

「そもそも投資は、自分の頭で考えてやるべきことだ。だから銀行や証券
 会社の人などに頼らず、自分で理解できるものだけに投資すべきなんだ。」

普通、素人の自分より、専門家のほうが知識も経験もあり、すぐれた判断が
出来るだろうと考えてしまいますよね。そもそも、プロなわけですからね。

ジムロジャースも、まずは、こう言っています。

「自分の頭で理解できることは限られている、そんなことをしていたらお
 カネを殖やすことはできない、と思うかもしれない。」

ところが、こう言うのです。

「自分で理解できるものだけを買えば、少なくとも損をすることはないだ
 ろう。人の言うなりに投資をして大損するのと、自分で考えて損も得も
 しないのとどちらがよいかよく考えてほしい。」

そして、アドバイスとしてこう締めくくっています。

「分からなくなったら専門家に頼らず、窓の外を見てよく考えるんだ。」と。

これ、全く、私たちにもあてはまるじゃないか!、と思ったわけです。

考えてみれば、命が発生し、育まれるメカニズムについては、専門家と言わ
れている先生方も、100%わかっているわけではありません。むしろ、分
からないことのほうが多いわけです。

ですから、先生方も妊娠を保障してくれるわけでもありませんし、個別の正
解を持っているわけでもありません。

たとえ、治療で迷ったとしても、少なくとも、"自分で理解できる方法"だ
けを試みるべきではないかと思うわけです。

自分たちで取り組むコトや手に入れるモノについて、そのコトやモノとは何
なのか、そのコトやモノは自分たちにどのように役に立ち、また、それはな
ぜなのか。

さらには、どんなリスクがどれくらいあるのか、自分たちの頭で考えて、理
解できるかどうか。

もしも、理解できないところがあるのであれば、そのことについては、情報
を収集し、専門家のアドバイスを仰ぐべきでしょう。

それでも、理解できなければやらない、そういう考え方です。

自分たちと悩みを同じくする他の人がやっているからとか、有名な人がやっ
ているからではなく、自分たちが理解できるかどうか、これが唯一の判断基
準ではないかと思います。

いかがでしょうか?

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マイライフストーリー________________________________________________

マイライフストーリとは、私たちとご縁のあった方々に、赤ちゃん待ち期間
をどんなふうに過ごしたのかについて語っていただく、それぞれの物語です。

はんなさんのライフストーリーの最終回です。


第12回(最終回) 体外受精とその後 ________________________________

こんにちは、はんなです。
まだまだ寒い日が続きますが、皆様は暖かく元気にお過ごしでしょうか。

前回、わずかではありますが、3つの卵を取ることができて、無事受精し分
割胚を冷凍保存したところまでお話し差し上げました。

余震と福島の発電所での災害に、私は勿論、皆が怯えている時期でした。私
は当時採卵をしつつ、被災地救助のチャリティ活動を立ち上げていました。

そんな中、不妊治療をすることに反対の声もありました。放射能汚染が叫ば
れる今、わざわざ新しい命をうみだして、その子に悪い影響が出たらどう責
任を取るの?

しかし、勿論、今ある環境で汚染から身を守る最善の努力はしつつ、赤ちゃ
んを産むタイミングを選ぶ自由など私には無いと思っていました。

不妊治療期間が長く、それ故に妊娠と出産は人知を超えた神の技と思わなけ
れば理解に苦しむような奇跡であり、こちらの都合で時期を調整しようとし
ても神様は効く耳を持たないだろうと思っていたからです(ちなみに私は特
にどんな宗教にも属していません―お寺ともいわゆる「葬式仏教」的関わり
しかございません)。

どんな環境でも、私達が求め、そして、神様が望めば産まれ出て来てくれる
はずで、逆に神様がそれを望まなければ、たとえ今でも或いは暫く待ったそ
の後でも赤ちゃんはできないだろう。それならば、そこで初めて子供のいな
い人生を受け入れ、主人との人生を豊かに生きよう。

当時私はそんなことを考えていました。

そもそも、これまで外国に住んだ経験からして、人間は意外に強く、そして
日本は、元来、世界一清潔なところであり、多少の化学物質はそれほど問題
では無い、と思っていました。

とは言え、雨が降り風が吹くと、花粉症用マスクとメガネ、ウインドブレー
カーに身を包み、放射能に細心の注意を払いつつ、私は受精卵移植のためC
クリニックへ通い続けました。

初めての移植。採卵をした同じ暗い部屋で、超音波のモニタを観ながらそれ
は行われます。

培養士さん曰く、かなりスピーディに分割したらしい卵が、光った小さい点
としてゆっくり動くのが分かりました。

移植はすぐに終わり、病院のベッドで暫く休んだ後、私は帰宅しました。

そして次の診察日。起床時にそれまでの熱っぽい感じが無くなったのに気づ
き、暗い気持ちでの診察でした。

血液検査の結果、一応着床はしているものの、ホルモン値が足りず、このま
までは妊娠は成立しないので、引き続き安静にしているよう言われ、私は帰
宅しましたが、その日の内に出血が見られ、一回目の移植は失敗に終わりま
した。

成長を止めてしまった卵のために泣きましたが、それでも、次のサイクルは
やってきます。

私は2回目の移植のため通院を始めました。一度経験しているので勝手知っ
たる、です。

医師に指示された日に、今度はアシスティッドハッチング(胚細胞周辺の膜
を取り去り着床率を上げる)され、のんびり屋さんだけれどグレードの高い
受精卵を再び移植し、飛んだり跳ねたりせず毎日ゆっくりと過ごしました。

今度は熱っぽい状態がずっと続き、卵がしっかり中にいるのを感じていまし
た。こういうのは意外と自覚できるのだなあと驚きながら、いざ診察へ。

血液検査の結果はホルモン値の羅列でしたが、低い数値ばかり見慣れていた
私には新鮮な高い値がそこにありました。のんびり屋さんの卵は、しっかり
子宮にくっついたようです。

出血があり、医師からは引き続き安静に過ごすよう言われました。

チャリティと自身の仕事を大人しく進めたかったのですが、出血が増え、今
度は絶対安静を告げられ、私は仕事を全てキャンセルし、寝たきりの生活が
始まりました。

程なくして出血は止まり、Cクリニックから「卒業証書」が授与され、私は
近所の産院に転院しましたが、同時に酷い悪阻に襲われました。嘔吐を繰り
返し、何も食べられず、真夏なのに寒くて電気毛布を使っておりました。

実家の母にヘルプを頼み、3か月寝たきりですっかり弱り切った夏の終わり、
ふと気づくと、あの気分の悪さが消えていました。

不安で病院に行くと、悪阻が終わり安定期に入ったとのこと。

日に日に大きくなるお腹を見るたび、これまで妊娠はおろか流産すら一度も
できなかったのが嘘のよう、本当に奇跡だと何度も思ったものです。

その後は順調に日を数え、とても寒いある日に女児を出産致しました。

産まれてからは飛ぶように時間が過ぎ、現在娘は11か月、来月で1歳になり
ます。良く喋り良く食べる子です。

別の形で、仕事も少しずつ再開しています。


最後に少しだけ。

皆様からのメッセージは全て拝見しました。とても励みになりました。有難
うございました。

そこで思ったのは、結果として娘に恵まれた私の選択ですが、決してベスト
なものでは無いということです。

不妊治療で私は体調を何度も崩しましたし、米国での人工授精時に起きた痛
みを今でも抱えております。

当時の行動に後悔が全く無いとは言えませんが、しかし可能性とリスクを同
時に取った結果であり、やむを得なかったと今でも思っています。

メルマガ購読者の皆様の中には、私のように、出来ることは全て試す方もい
らっしゃれば、自然に任せ食生活や生活習慣を見直すという方も多数おいで
でした。外国でできることを精いっぱいなさっている方もおり、そのご苦労
が伝わりました。

それぞれの事情があり考え方があるのですね。

本日、これを以て、私の「ライフストーリー」は終わります。

皆さまの「ライフストーリー」が良きものになりますよう、心よりお祈り申
し上げております。

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編集後記____________________________________________________________

はんなさんのライフストーリーが今回で終わりました。いかがでしたでしょ
うか?

このメルマガを海外で読んでもらっている方が本当に多いのですね。あらた
めてわかりました。日本でさえ、孤軍奮闘しているという話しをよく聞くの
に、それが、海外であれば、尚更のことでしょう。

それで、いつものことなのですが、そんな方々に私たちが励まされたり、勇
気をもらったりするんですね。

はんなさん、ありがとうございました。

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