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妊娠しやすいカラダづくり No.511 2013/3/31
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・最新ニュース解説 体外受精と乳がんや婦人科系がんの関係
・連載企画 第一回 アンガーマネジメントについて
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2013年3月27日 不妊治療のためのヨガ
"犯人捜し"をしないために
http://www.akanbou.com/expert/interview01/post.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
最新ニュース解説 Mar.2013___________________________________________
体外受精は乳がんのリスクを高めるのか?
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体外受精の際に卵巣を刺激するための排卵誘発剤は、乳がんや卵巣がんなど
の婦人科系のがんのかかりやすさに影響するのか、アメリカ在住のえりなさ
んからこんなご相談がありました。
---[えりなさんからのメールここから]-------------------------------
いつもメルマガを読ませていただいて、勉強させていただいております。不
妊期間3年の海外(アメリカ)在住33歳のえりなともうします。
今後の不妊治療として体外受精にステップアップを考えているのですが、ア
メリカではホルモン剤の補充が当たり前でそれもとてもアグレッシブに行う
そうで、ドキドキしています。
今回メールを差し上げたのは、その「ホルモン剤の補充と乳がん」について、
そちらで取り上げれいただけないかなと思いご連絡しました。
私は昔から胸が大きい方で触るとシコリのようなものが十代の時からありま
した。病院へいくと記憶では成長過程のものだとか乳腺?だとか言われたこ
とがあります。
乳がんの原因の一つに女性ホルモンの過剰(妊娠が遅れることにより普通よ
りもホルモンが多く分泌)がありますが、ましてや体外受精などで打つ半端
ない量のホルモン剤の摂取で私のような乳腺が目立って発達している場合は
乳がんになってしまうのではないかと思い、体外受精への一歩を只今躊躇し
ています。
それよりも未来を生きる赤ちゃんの為に、もしも不妊治療が原因で乳がんに
なっても私のおっぱいを切ればいいことだし頑張ろうかな。。。と毎日考え
が尽きません。
実際の所どうなのでしょうか?
トピックとして取り上げて頂けると幸いです。これからも為になるメルマガ
を楽しみます。読んでいただきありがとうございました。
---[えりなさんからのメールここまで]-------------------------------
体外受精で卵巣刺激のために排卵誘発剤を使うことや採卵時に卵巣をつつく
ことによって、後々、乳がんや卵巣がんなどの婦人科系のがんにかかりやす
くなりはしないか、医師の間でもこれまで懸念されてきたことです。
これまでの研究では、排卵誘発剤の使ったからといって乳がんや卵巣がんに
かかりやすくなることはないという報告にまじって、かかりやすくなるとい
う報告もありました。
実際のところ、体外受精の婦人科系のがんの発症リスクへの影響を正確に把
握するのは簡単なことではありません。
どんな排卵誘発剤を、どれくらいの量で、どれくらいの頻度で使ったのかに
ついて、患者の記憶に頼らざるを得なかったり、そして、そもそも、がんの
発症リスクが高くなったことがわかったとしても、それは体外受精を受けた
からではなく、不妊治療が必要になった不妊原因が影響しているかもしれな
かったりするからです。
そんな中で、従来の研究に比べると、信頼できる研究報告がアメリカ生殖医
学会誌に発表されました。
イスラエルで、1994年から2011年に体外受精を受けた女性(67,608名)、
体外受精を希望したけれども結局は受けなかった女性(19,795名)、合計、
87,403名を対象に体外受精と婦人科系のがんの発症リスクとの関係を調べた
ものです。
その結果、対象者の中で乳がんが522名、子宮内膜がんが41名、卵巣がんが
45名、子宮けい部がんが311名、 浸潤性子宮頸がんが32名発症しましたが、
体外受精を受けたことと乳がんの発症リスクには関連性はみられず、また、
婦人科系のがんの発症リスクとも統計学的に有意な差はみられなかったとの
ことでした。
卵巣がんについては、体外受精の治療周期が多いほど、発症リスクが、多少、
高くなる傾向がみられたが偶然に起こり得る範囲であるとしています。
このように体外受精を受け、卵巣を刺激するために排卵誘発剤たからといっ
て、その後、婦人科系のがんにかかりやすくなることはないだろうと結論づ
けています。
イスラエルは、世界のどの国よりも、高度生殖医療への公的な支援が整えら
れていて、最初の二人のまでは52歳を限度に、体外受精の費用は何回受け
ても、国が負担してくれます。
そのため、診療記録などの医療データベースが完備していることから、この
研究への信頼度は高いと考えられますので、ひとまず、心配ないと受け止め
ていいと思います。
ただ、著者は「長期間に渡る影響を調査した我々の研究結果は、体外受精と
その後の婦人科系のがんの発症リスクへの影響は心配しなくてもいいという
ものだった。」としながらも、「体外受精の治療内容とその後の婦人科系が
んの発症リスクとの関連は、引き続き調査していくべきだ。」と指摘してい
ます。
乳がんの発症リスクは生活習慣が影響することが知られています。大量のお
酒を飲まないことや野菜、特に、アブラナ科の野菜や果物、食物繊維をたく
さん摂ること、適度な運動習慣は乳がんのリスクを低減することがわかって
います。
不妊治療の影響を過度に心配するよりも、婦人科系のがんにかかりにくいラ
イフスタイルを心がけるほうが大切なことのように思います。
▼文献
n vitro fertilization and risk of breast and gynecologic
cancers: a retrospective cohort study within the Israeli
Maccabi Healthcare Services
Fertil Steril 2013 Apr;99(5):1189-1196
http://www.fertstert.org/article/S0015-0282(12)02538-1/abstract
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アンガーマネジメントで妊娠しやすいココロづくり______________________
第一回 アンガーマネジメントについて
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こんにちは。今週より隔週でみなさんに「妊娠しやすいココロづくり」をお
届けさせて頂きます、ロワ佐奈子です。
どうぞよろしくお願い致します。
桜の季節ですね。
何か新しいことを始めたい、気持ちを切り替えよう、という方も多いのでは
ないでしょうか。「アンガーマネジメント」、聞いたこともないという方が
ほとんどかと思われますが、今日はみなさんに、自分のココロのなかに春の
陽気と穏やかさを呼びこむことのできるツール、アンガーマネジメントの概
要をご紹介させていただきます。
「アンガーマネジメント」、つまり、「怒り(アンガー)」の「コントロー
ル(マネジメント)となっていますが、あまり「アンガー=怒り」という言
葉にここでは捕われないでいてください。いろいろある感情のなかでも、放っ
ておくとやっかいなのが怒りです。
つまり、喜びや楽しい気持ちはコントロールする必要はありませんが、怒り
や悲しみといったネガティブな感情には誰だって引きずり回されたくない、
だったら、逆にそれをコントロールする力をつけて行きましょう、という話
です。
さて。ひとは一日にいろんなことを思ったり、言ったり、感じたりします。
赤ちゃん待ちをはじめてから過ぎてゆく時間に焦りを感じている方、日々の
治療に疲れている方、医師やパートナー、周りの人たちの理解が得られない
とひとり苦しんでいらっしゃる方、それぞれにまつわって、いろいろな感情
をもたれているかと思います。
「別に私は怒っているわけじゃないけれど・・・」とご自身を分析されるみ
なさんも1度ここでいっしょに考えてみてください。怒りの感情は、例えば
パッとマッチに火がつくようなイメージではありますが、実はそうではあり
ません。その前に、ほんとうはくすぶるような煙の状態、つまり(怒ってい
るわけじゃないけれど)悲しかったり、辛かったり、または単に疲れていた
り・・・といった一次的な感情/要因が必ず存在します。
また、ちょっと別のイメージを思い浮かべていただきたいのですが、それら
の「負の一次的な感情(悲しみ、ストレス、疲労)」という水がコップに並
々と入っているとします。そして何かの拍子に、次の一滴(新たな負の感情)
が注ぎ込まれたコップの水は・・・もちろん溢れてしまいますね。これが、
怒りとなって外に現れます。(怒りが第二次感情といわれる所以です。)
溢れた水=実際マッチに火がついてしまった状態は危険です。他人や自分を
傷つける恐れがあります。
だからといって、負の感情を持たないようになるというのは現実的ではあり
ませんし、怒らないようになることがよいかというと、それも違うのです。
怒ってもよいのです。喜ぶのとおなじくらい、怒ることは普通なこと。でも、
自分も周りも、その火でやけどを負わなくて済むような正しい怒り方ができ
るようになるのが、アンガーマネジメントです。
自分は怒りっぽいタイプではない・・・と分析される方も、身近にいる「い
つも怒っている/機嫌が悪い」人たちに「どうして?」と疑問を持ったこと
があるのではないでしょうか。そんな人のココロのなかをのぞいてみるつも
りで、アンガーマネジメントを始めてみてください。そうすることで、自分
のココロがよりくっきりと見えてくる場合もあるでしょう。
少し、アンガーマネジメントについて理解をしていただけましたでしょうか。
次回からは、実践的なテクニックを交えてご紹介していきます。
(ロワ佐奈子)
*この連載は隔週でお届けしています。
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編集後記____________________________________________________________
年度末でなにかと慌ただしかったり、季節の変わり目に特有の寒暖の差が大
きかったり、大量の花粉が飛んでいたりして、体調を崩しやすい時期です。
これまで花粉症でなかったのに、今年になって、突然、発症したという方が
いたり、天候不順の影響を受けやすくなったりと、体質は知らず知らずのう
ちに変わるものなのかもしれません。
今日は、あるドクターからアトピーの男性は精子もよくなかったりすること
が多いという話しを聞きました。
体質と生殖能力は、密接に影響しあっているということなのかもしれません。
薬は対症療法に絶大な威力を発揮しますが、根本的な体質を改善するのは、
日々の生活で、よい習慣を積み上げていくしかありません。
季節のうつろいを楽しみながら、少しずつ、「あたりまえ度」を高めていき
たいものです。
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