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妊娠しやすいカラダづくり No.514 2013/4/21
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・今月の特集(2)ビタミンDと妊娠し、出産する力との関係
・編集室から
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2013年4月20日 最新ニュース
ビタミンDと子宮筋腫のリスク
http://www.akanbou.com/news/news.2013042001.html
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info@akanbou.com
今月の特集(2) Apr.2013___________________________________________
ビタミンDと妊娠し、出産する力との関係
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ビタミンDが、妊娠や出産に深く関わっていることを教えてくれる研究報告
が相次いでいます。
妊娠中にビタミンDが不足すると、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの妊
娠合併症にかかりやすくなったり、小さな赤ちゃんが生まれやすくなること、
また、ビタミンDが足りている女性は子宮筋腫になりにくいことがわかった
というのです。
そもそも、ビタミンDは血液中のカルシウム濃度を一定に保つビタミンとし
て知られています。血中のカルシウムが少なくなると大変なことになるので、
ビタミンDが、カルシウムが小腸から吸収しやすくしたり、尿から出ていく
のを少なくしたり、骨からカルシウムを溶かしたりして、カルシウム濃度を
高めます。
妊娠、出産時には、お腹の中の赤ちゃんにどんどんカルシウムを送り込まな
ければならないので、ビタミンDが赤ちゃんの成長に深く関わっているであ
ろうことは容易に想像できます。
ところが、妊娠合併症や子宮筋腫のリスクにも関わっているというのです。
さらに、これまでビタミンDと生殖活動の関係については、多くの研究報告
がなされています。
たとえば、
・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性はビタミンD濃度が低い。
・PCOSによる排卵障害の女性はビタミンD補充によって排卵率が上がる。
・卵胞液中のビタミンD濃度は高い女性ほど体外受精の妊娠率が高い。
・40歳以上ではビタミンD濃度が高い女性ほどAMHが高い。
・試験管内ではビタミンDは子宮筋腫を縮小する。
・ビタミンD濃度が高い男性ほど精子の質が高い。
女性だけでなく、男性でも、なんとも多彩な働きですが、たいていは、相関
関係が確かめられたというもので、また、ビタミンD濃度と体外受精の成績
については、全く反対の結果が出ている研究報告もあったりして、ビタミン
Dを補充すれば、必ず、そうなるというわけではありません。
ただし、ビタミンDは、男女の生殖活動、すなわち、新しい命を育む力を支
えるのに、直接、間接に関わっていることは間違いありません。
そのため、PCOSの女性、体外受精や顕微授精を受けているカップル、子
宮筋腫がある女性、高齢女性だけでなく、お子さんを望むすべてのカップル
は、ビタミンDの基本的なことは知っておいたほうがいいと思います。
■自分でもつくっているビタミン
ビタミンDは脂溶性のビタミンの一つで、キノコ類などの植物に含まれるビ
タミンD2と、アンコウ肝や紅ザケ、カラフトマス、サンマなどの魚や卵など
の動物性食品に含まれるビタミンD3があります。
そして、ビタミンでは珍しく、日光を浴びると紫外線の働きによって体内で
つくられます。要するに、ビタミンDは自分でつくり、食品からも摂ってい
るというわけです。
ビタミンD2、ビタミンD3は、摂取したり、つくられたりした後、肝臓、腎臓
で活性型ビタミンに変換され、ビタミンDとして働くようになります。
■ホルモンのような働き
先に書いた通り、血液中のカルシウム濃度を保つ働きをしているだけでなく、
近年、細胞増殖や細胞分化を調節したり、免疫調節、そして、がんやインフ
ルエンザ、そして、インスリン抵抗性や肥満、糖尿病のリスクを軽減する働
きが知られるようになりました。
そして、ビタミンDと生殖の関係についても先に書いた通りですが、これら
の多彩な働きは、全身の多くの細胞にビタミンDの受容体が存在し、その受
容体を通して、さまざまな働きに関与するというホルモンのような存在であ
るからだ考えられています。
■日本人女性とビタミンD
ビタミンDは日にあたると、紫外線の作用によって体内でつくられますので、
自分ではつくることができない他のビタミンに比べて不足しにくいのではと
思われるかもしれません。
一説には、1日に30分程度、週に2、3日、日光にあたっていれば不足するこ
とはないとされていますが、それは、あくまで紫外線防止をしないもとでの
ことで、実際には日本人女性の半数以上はビタミンDが不足しているとの信
頼できる調査報告があります。
因みに、血中ビタミンD濃度が20ng/ml未満で不足とされていて、最低でも、
20~30ng/ml、最適な濃度は30~50ng/mlとされています。
■ビタミンDを最適量に
ビタミンDは、健全な妊娠、出産に深く関わっていることがわかってきたに
も関わらず、不足している女性の割合が高いことから、海外では葉酸と同様、
ビタミンDのサプリメントによる補充を推奨する国も出てきました。
実際のところ、毎日、日光にあたることで解決できますが、紫外線の害もあ
ることから、不足しないように魚やしいたけ(露地もの)、卵を食べるよう
にしたいものの、なにせ、限られた食材であることから、やはり、サプリメ
ント補充が現実的かもしれません。
毎日600~1000IU(15~25μg)を補充することで、必要とされる
血中濃度は確実に確保できるとの試験結果があります。
■ベーシックな栄養素の重要性
栄養成分と言えば、その時々に話題になったり、流行しているものが気にな
るものですが、本当に、私たちの健康や卵子や精子を育む力を支えているの
はベーシックな栄養素です。具体的には、3大栄養素(炭水化物、タンパク
質、脂質)、そして、微量栄養素(ビタミン、ミネラル)です。
ベーシックな栄養素ほど、その働きは多岐にわたり、多彩で、不足すれば、
そのマイナスの影響も、また、計り知れないというわけです。
朝に日にあたることで夜のメラトニン分泌も活発になると言われていますの
で、本当は、毎朝、30分ほどウォーキングしながら、日にあたるのが理想的
かと思います。
ただし、簡単にはいかないという方も少なくないと思います。必要な濃度を
確保するには15~25μgのビタミンDを含むマルチビタミンミネラルのサプ
リメントで補充するのが確実、かつ、効率的ではあります。
---[参考文献]-----------------------------------------------------
Assessment of dietary vitamin D requirements during pregnancy and
lactation
Am J Clin Nutr 2004;79:717-726.
Relevance of vitamin D in reproduction
Hum Reprod 2012 Oct;27(10):3015-3027
Vitamin D and fertility: a systematic review
Eur J Endocrinol 2012 May;166(5):765-778
Replete vitamin D stores predict reproductive successfollowing in
vitro fertilization
Fertil Steril 2010 Sep;94(4):1314-1319
Circulating vitamin D correlates with serum antimullerian hormone
levels in late-reproductive-aged women Women's Interagency HIV Study
Fertil Steril. 2012 Jul;98(1):228-34
Vitamin D inhibits proliferation of human uterine leiomyoma cells
via catechol-O-methyltransferase
Ferti Steril. 2011 Jan;95(1):247-253
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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
編集室からのお知らせ________________________________________________
「不妊患者の経済的負担の軽減のための署名活動」ご協力お願い
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NPO法人Fineからの署名活動ご協力のお願いです。
Fineでは、第6回目の国会請願に向けて、昨年8月より「不妊患者の経済的負
担の軽減のための署名活動」を実施しています。
署名にご賛同いただける方は、ぜひご協力をお願いします。<(_ _)>
◆◆請願項目◆◆
特定不妊治療費助成事業より給付される補助金の更なる増額と制度(条件等)
の見直しを求めます
5月に第6回目の国会請願を行う予定です。署名簿の締切は、4月15日(月)
としておりますが、国会請願するまでは、しばらく署名簿の受付をします。
◆署名の送付先や詳細はこちら↓
http://j-fine.jp/shomei/shomei.html
◆署名活動について詳しくは↓
http://j-fine.jp/activity/act/index.html
「特定不妊治療費助成事業」より給付される補助金が平成25年4月1日から一部
の不妊治療の上限額が「150,000円」から「75,000円」に変更になり、そのこ
とについて、4月10日に厚生労働省に「要望書」を提出してきました。
※要望書はこちら↓
http://j-fine.jp/activity/act/yobo-joseikin1304.pdf
Fineは、これからも不妊当事者としての活動を続けて参ります。署名へのご協
力をお願いいたします。
運営サイト__________________________________________________________
私たちはお子さんを望まれるカップルを応援します。
▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
http://www.akanbou.com/
▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 ~ ふたりで知っておきたいオトコのこと」
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▼医師がサポートするサプリメントセレクトショップ
→「ネイチャーズギフト」
http://www.nature-g.com/
▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html
▼ツイッター
→「妊娠しやすいカラダづくり」
http://twitter.com/ninkara
編集後記____________________________________________________________
お休みしていました「ファティリティレッスン」再開します。ただし、当面
はセミナーのみです。
妊娠しやすいカラダをつくるために知っておきたいことをお話しします。個
別相談もお受けします。
次号で詳細をお知らせします。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.514
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整
理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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◎発行部数
・自社配信: 797部
・まぐまぐ: 4,534部
・合計部数: 5,331部(4月21日現在)
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