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VOL.543 トランス脂肪酸から自分たちを守るために

2013年11月10日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.543 2013/11/10
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今週の内容__________________________________________________________

・編集長コラム:トランス脂肪酸から自分たちを守るために
・妊カラ編集室から:妊カラのサーバー移転に伴う更新作業について
・編集後記


編集長コラム Nov.2013________________________________________________
 
 トランス脂肪酸から自分たちを守るために
 〜アメリカ食品医薬品局が腹をくくったことに際して
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アメリカのFDA(食品医薬品局)は11月7日の木曜日に、トランス脂肪
酸は最新の研究報告による科学的な根拠に基づけば「安全とは言えない」と
の見解を示し、今後、食品への使用を禁止する方針を明らかにしました。

この報道に接した時、アメリカはそこまで大変なことになっているのか、と
思うと同時に、何の規制もない日本では個人が気をつけないといけないな、
との思いを強くしました。

そもそも、このトランス脂肪酸、身体に悪いことはわかっていたのですが、
日本の農水省の見解は、アメリカやヨーロッパに比べて日本人のトランス脂
肪酸の摂取量はかなり少ない傾向にあるので、規制等は不要との見解を示し
てきました。

実際のところ、1日あたりの推定の平均摂取量は約1グラム前後とされてい
て、国際機関の平均摂取量の目安、一日当りの総エネルギー摂取量の1%未
満を大きく下回っていたわけです。

ところが、アメリカのトランス脂肪酸の1日あたりの摂取量は2003年に
は4.6グラムだったのが、食品業界や外食産業の自主規制もあって、昨年
の2012年には約1グラムまで減っていたのですね。

それにもかかわらず、アメリカFDAはこの脂肪酸を全面禁止にする腹を固
めたわけです。私たちにとっても他人ごと、ならぬ、外国ごとではないわけ
です。トランス脂肪酸は女性の妊娠する力や男性の妊娠させる力を低下させ
るとされていますので、尚更のことです。

大切なのは、行政の規制をあてにせずに、自己防衛することです。

自分たちで適切な対策を講じるためにも、まずは、このトランス脂肪酸とは
どんなものなのかを知っておきましょう。

植物性の油は、普通、常温では液体で、空気に触れると酸化されやすく、加
熱すると劣化しやすくなりますが、工業的に水素を添加し、一部の化学構造
を変化させると、液体から半固形になり、酸化や加熱にも強く、さらには、
風味もよくなり、食品産業にとっては格段に扱いやすくなります。このよう
な加工を施し、マーガリンやショートニングをつくっているわけです。

そして、そのような化学的な操作を加える際に出来てしまう副産物がトラン
ス脂肪酸です。

食品産業にとってはとても都合のよい油なのですが、食べる側にとっては、
よいことは何もなく、これまでの研究では摂り過ぎるといろいろな病気や障
害のリスクを高めることがわかっているというやっかいなものです。

どんな食品に含まれているかというと、マーガリンや菓子パン、ドーナツ、
クッキー、フライドポテト、冷凍食品などで、加工食品やファストフード、
あらゆるスナック菓子などです。

それでは、トランス脂肪酸は生殖機能にどのような影響を及ぼすのでしょう
か。

現在、翻訳を進めている「Fertility Diet(日本版タイトルは「妊娠しや
すい食生活」)ではハーバード大学による約2万人の看護師を対象にした疫
学調査でトランス脂肪酸と生殖機能との関連でわかったこととして、トラン
ス脂肪酸の摂取量が多い女性ほど、卵巣の機能が低下し、排卵障害のリスク
が高いことがわかったと言います。

今回のアメリカのFDAの意志決定に際して、「妊娠しやすい食生活」の共
著者である、ハーバード大学教授で、世界的な栄養学者であるウォルター・
ウィレット博士はこれまでの多くの研究から得られた強力な科学的根拠に基
づいたFDAの決定を歓迎すると述べています。

その他、トランス脂肪酸と生殖機能との関係を調べた研究は少なくありませ
ん。8万5000人を対象にした試験ではトランス脂肪酸を多く摂るほど、
インスリン抵抗性が高く、糖尿病を発症しやすいことを確かめています。

インスリンの効き目が悪くなると、高血糖、高インスリンを招き、女性の卵
巣や男性の精巣の働きが低下し、卵の成熟や精子の形成の障害になるリスク
が高くなり、妊娠する力、妊娠させる力がともに低下してしまいかねません。

さらに、トランス脂肪酸の過剰摂取は炎症体質を招き、女性の子宮内膜症の
発症リスクが高くなるとの報告もあります。

ハーバード大学の研究チームは男性への影響も確かめています。トランス脂
肪酸の摂取量が多い男性ほど、精子濃度が低いというものです。大学病院に
不妊治療で通院するカップルの男性パートナーを対象に、食物摂取頻度調査
で、主な脂肪酸の摂取量を調べ、精液検査の結果との関係を分析したところ、
トランス脂肪酸の摂取量で4段階にグループ分けしたところ、最も摂取量の
多いグループの男性の平均の精子濃度は、最も低いグループの男性に比べて、
40%も精子濃度が低かったとのこと。

このようにトランス脂肪酸は妊娠を望むカップルにとっては摂取を避けるべ
き脂肪酸です。

それでは、日常生活でどのようなことに気をつければいいのでしょうか。

まずは、マーガリンは使わないことです。パンにつけるとすれば、バターの
ほうが、数段、健康にいいですし、オリーブオイルでもいいでしょうね。

また、加工食品を購入する際には、ショートニングとか、部分水素添加油脂
が原材料欄に記載されていないかどうか、必ず、チェックすることです。も
しも、記載があれば迷わず、棚に戻しましょう。

そして、間食にはポテトチップスやスナック菓子は出来るだけ食べないで、
ナッツ類にしましょう。

加工食品を、極力、減らし、ある特定の加工食品だけに偏った食べ方を避け、
出来るだけ加工度の低い食材を選ぶということでしょうか。

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妊カラ編集室から____________________________________________________

 妊娠しやすいカラダづくりサイトのサーバー移転に伴う更新作業について
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「妊娠しやすいカラダづくり」のサイトのサーバーの移転作業のために、こ
の数週間、更新作業が滞っていましたが、11月10日に移転作業が完了い
たしました。

それに伴い、今後はサイトを更新してまいりますのでよろしくお願い致しま
す。

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編集後記____________________________________________________________

大規模な疫学調査、すなわち、特定の地域や集団に属する人たちを対象に、
食生活をはじめとする生活習慣や環境など、さまざまな要因と健康状態との
関係を長期間にわかって調査する研究の結果をみてみると、大きな傾向をつ
かむことが出来ます。

たとえば、タバコを吸う人は、食生活にあまり気をつかっていない傾向がみ
られたり、反対も同じように、たとえば、サプリメントをきちんと飲んでい
る人は他の生活習慣にも気をつかっているとか、です。

統計学的には、一つの要因と病気のリスクの関係を出来るだけ正確につかむ
ために、病気のリスクの要因になりそうなものの影響を排除しようします。

ところが、それはあくまで統計学的なデータ上のことであって、一人の人間
の身体や心の中では、さまざまな要因がお互いに影響しあっているわけです。

もしも、トランス脂肪酸の摂取を避けようと、加工食品を減らしていくと、
おそらく、他の食生活や生活習慣にもよい影響が出てくるに違いありません。

そうすると、そのことによって、心身の調子がよくなったり、よく眠れるよ
うになったり、お通じがよくなったり、理想の体重に近づいたりすると、や
る気がより高まって、よい循環になっていくでしょう。

それによって、不妊予防になるだけでなく、未だ見ぬお子さんの心身の健康
にもつながり、自分たちの生活の質が高まるようになります。

この価値は計り知れないと思います。

なので、妊娠に向けて、なにか自分たちで取り組みたいという思っている方
には、まずは、食生活からトランス脂肪酸を排除することから始めるとよい
と思います。

「妊娠しやすい食生活 〜ハーバード大学調査に基づく妊娠に近づく自然な
方法」は12月初旬に発売に予定です。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.543
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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