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妊娠しやすいカラダづくり No.544 2013/11/17
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今週の内容__________________________________________________________
・トピックス:妊娠力の「根っこ」を強くする
・連載企画:第18回 信じる。
・妊カラ編集室から:「妊娠しやすい食生活」翻訳出版のお知らせ
・編集後記
トピックス Nov.2013_________________________________________________
妊娠力の「根っこ」を強くする
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皆さんはビタミンDと聞くとどんな働きがあるかすぐに思い浮かぶでしょう
か?よくご存知の方は骨の健康と答えられると思いますが、やはり、ビタミ
ンCやビタミンE、B群なんかに比べると、どちらかと言うとマイナーな存
在だと思います。
そんなビタミンDですが、近年、カルシウム濃度を一定に保ち、骨を健康な
状態に維持するだけでなく、さまざまな働きがあることがわかってきて、世
界的に注目されているのです。
それは、ビタミンDは、どうやら、ホルモンのようにふるまい、全身の細胞
の成長をコントロールしているからだと言うのです。
当然、妊娠や出産というのは、最も活発に細胞が分裂し、増殖する時なわけ
ですから、ビタミンDは妊娠する力や健全な妊娠、出産に深く関わっている
と考えられるわけです。
そして、そのことを確かめた研究報告が相次いでいます。
たとえば、ビタミンDが不足している女性はAMH(アンチミューラリアン
ホルモン)の値が低く、卵巣内の卵が早く少なくなる傾向があるとか、血液
中や卵胞液中のビタミンD濃度が高い女性ほど体外受精の妊娠率も高いとか、
PCOSの女性にはビタミンDが不足している割合が高く、サプリメントで
ビタミンDを補充すると排卵率が高まるという研究結果が発表されています。
また、ビタミンD濃度が高い女性は子宮筋腫になりにくいとの報告、さらに
は、ビタミンDが不足している妊婦は、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症などの合
併症のリスクが高く、細菌性膣炎や低体重出生児を出産する確率が高いとの
報告まであります。
まさに、妊娠する力や産む力においても、多彩、かつ、重要な役割を担って
いると考えられるわけです。
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最新の研究報告を2つご紹介します。
一昨日から昨日にかけて、神戸で開催された日本生殖医学会で順天堂大学の
研究チームは「生殖可能年齢女性では血中25ビタミンD値が抗ミュラー管
ホルモン(AMH)に関連する」ことを発表しました。
20〜39歳の非喫煙女性102名を対象に、アンチミューラリアンホルモ
ン(AMH)を測定し、体格と血中ビタミンD濃度、そして、食事習慣との
関連を調べたところ、対象者の女性の44%はビタミンが不足しており、A
MHが低い女性の間ではビタミンD不足の割合が統計学的に有意に高かった
そうです。
また、AMHが低い女性は、体脂肪率も低く、食事からのビタミンDの摂取
量が少ない傾向にあったと言います。
このことから、順天堂大学医学部の研究チームは、ビタミンD不足は卵巣予
備能低下の一因になる可能性が示唆されたと結論づけています。
要するに、卵巣内の卵が早くなくなる原因の一つにビタミンDの不足がある
可能性があるということです。
もう一つは、アメリカのコロンビア大学の研究者らのチームによる報告が最
新のアメリカ生殖医学会誌で紹介されています。
研究チームはビタミンDが炎症を抑えたり、免疫を整えたりするホルモン的
な働きがあることから、ビタミンD濃度と子宮内膜の着床環境との関連につ
いて調べています。
着床環境への影響を調べるために、卵子提供を受けて体外受精に臨む99名
の女性を対象に、ビタミンD濃度と妊娠率、出産率との関連を調べたところ、
ビタミンDが不足している女性の妊娠率は足りている女性のそれよりも低い
ことがわかりました(37%対78%)。そして、出産に至る確率も同様で
した(31%対59%)。
このことから研究チームはビタミンDは子宮内膜の着床環境に影響を及ぼし
ている可能性があると結論づけ、妊娠を望む女性にとってビタミンDをサプ
リメントで補充することはさまざまなメリットがあるだろうとのことです。
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ビタミンDについて。ビタミンDは脂溶性ビタミンですが、ホルモンである
とも言われたりしています。
それは、ビタミンDは自らの体内でつくっていることや細胞の核(DNAが
格納されているところ)内にビタミンD受容体があって、そこに結合するこ
とでその器官や組織の働きをコントロールしているからです。
このように、ビタミンDは食事から摂取すると同時に体内でも合成されてい
ます。
ビタミンDが豊富な食品は、かつおやあんこうなどの魚やきくらげやしいた
け、しめじなどのキノコ類です。
また、体内では、紫外線にあたるとコレステロールを材料にして合成されま
す。
実際のところ、血中のビタミンD(ヒドロキシビタミンD)濃度が、1ミリ
リットルあたり20ナノグラム未満を不足、10ナノグラム未満を欠乏とし、
20〜50が適切な範囲とされているのですが、先の順天堂大学の研究では
対象者の半分弱が不足しており、藤田保健衛生大学が妊婦を対象とした調査
では、なんと90%が不足していたとの報告があり、特に、日照時間が短く
なる秋から冬にかけては最も低くなるとのことです。
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以上のように、妊娠を望む女性にとって、不妊治療を受けていても、いなく
ても、ビタミンDをしっかり摂取することはとても大切なことです。
それにもかかわらず、不足状態にある女性は少なくないようです。
病院でビタミンD濃度を測定していもらうのが理想的ですが、それが現実的
でない方は、セルフケアとして、1日25マイクログラム程度をサプリメン
トで補充しておくのがよいかもしれません。
特に、これからの季節、ただでさえ、紫外線からお肌を守る意識の高い女性
は尚更のことだと思います。
脂溶性ビタミンですので、過剰摂取には気をつけなければなりませんが、厚
労省の国民健康・栄養調査では女性で平均7マイクログラム摂取していると
の報告があり、1日の上限量は50マイクログラムとされていますので、1
日に25マイクログラムであれば、自己判断で摂取しても過剰になる心配は
ありません。
葉酸や鉄、亜鉛などと同じくらい、もしくは、それ以上に妊娠や出産に必要
不可欠な栄養素だろうと思います、ビタミンDは。
当社では、最近、多くの不妊治療専門ドクターからのご要望に応えるべく、
ビタミンDのサプリメントをつくりました。1カプセルで25マイクログラ
ムの天然のビタミンDを補充することができ、2カ月分で1575円です。
以下のサイトに製品の詳がありますのでよろしければご利用ください。
http://www.babyandme.jp/list/3658
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ビタミンやミネラルは必須微量栄養素と言われています。新しい命を授かり、
育むためには、このようなベーシックな栄養素がバランスよく足りているこ
とが必須です。
元々の卵子の質は私たちの手でコントロールすることは不可能です。私たち
にできるのは新しい命が育まれる環境を整えることに限られますが、最近の
多くの研究報告から言えるのは、栄養環境を整えることはとても意味がある
ということです。
妊娠する力を育むのは、特別で、特殊な食品や成分を摂取することでも、特
別な習慣を身につけることでもなく、ただただ、私たちの身体の「根っこ」
にあたるところを整えることにつながる、毎日の生活スタイルや意識なので
はないかと、つくづく、思います。
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info@akanbou.com
アンガーマネジメントで妊娠しやすいココロづくり______________________
第18回 信じる。
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みなさん、こんにちは。
今日は、前回「言霊」の記事でお話しした「ことばとカラダの関係」に私が
気がつくこととなったある単語との出会いのお話です。
それは、常夏の島に住んでいたある年に、アメリカから届いたクリスマスカー
ドの表紙に赤い文字で記されていました。
BELIEVE (信じる)
BELIEVEの文字とその横の赤いトナカイのイラストを見ていると、そのカー
ドを送ってくれた友人の顔が浮かんできました。彼女と会ったのはその年の
夏がはじめてでした。互いのブログを通してやりとりをすること数年、とて
も素敵な彼女の感性に惹かれ、「いつか会ってみたい」と思っていたところ、
ちょうど彼女の住むアメリカへ行く機会があり会うことになったのです。
ネットからリアルのお友達へ・・・。私にとっては初めてのことでした。私
たちはブログでも共通の話題、お互いに好きなお料理や写真のこと、海外で
の生活のことについて熱心に話していたのですが、あかちゃん待ちのことに
ついてはまったく彼女には話しませんでした。隠すわけでも、避けたわけで
もなく、ただその話題には至らなかった、そんな感じでした。楽しい時間を
共有した後、お互いの生活が離れたとことで続いてゆき・・・そして数ヶ月
後にふわりと届いた一枚のカード。そのころの私は、思う通りにならない自
分のカラダに毒づいたり、「私にはあかちゃんなんてできないんだ。」と否
定的な気持ちになることが多い日々でした。
そんな時届いたこの一言。夏の楽しい思い出がよみがえると同時に、私の今
のこの辛い気持ちなんて知るはずもない彼女が このことばの書いてあるカー
ドを選んで送ってくれたことに、何か不思議な力を感じたのです。
12月。島ののどかな風に、ふと、彼女と過ごしたカリフォルニアの爽やかな
都会の風を感じました。そして、いろんなことを信じられなくなっている自
分がなんて悲しいことなのかしら、なんともったいないことなのかしら、と
気がつきはじめたのです。
私には大好きな島での生活があり、会いたいと思っていた友人と出会い、つ
ながり、こうしてカードを送ってくれる大切な人となった。それなのに、私
は何を不満に思い、どうして落ち込んでいるの? ちょっぴり自分で自分が
恥ずかしくなり、そこに神様がいるのなら「ごめんなさい。」と謝りたい気
持ちでした。そして何より、自分を信じてあげられない自分にはさようなら
をして、カードのメッセージ通り「believe、信じよう。」と思ったのです。
辛いことが重なるとき、思うようにものごとが進まないとき。人は自信をな
くし、「どうせ。」とか、「無理なんだ。」といったことばと、つい仲良く
なりがちです。その方が慰められたような気持ちになるのでしょう。確かに
歯を食いしばって立ち向かったり、静かに現実を受け止める方がエネルギー
が必要です。でもこれらの後ろ向きなことばにも、やっぱり「言霊」が宿っ
ているのではないかと思うのです。
望む未来があるのなら、それを自ら信じずに、誰が信じてくれるのでしょう。
望む未来を連れて来るのは、他人ではなく自分なのです。大切な存在である
自分を、自分のカラダを、信じる。そんな基本に気がつかせてくれた、ある
年のクリスマス前の出来事。今でも、このことばとの出会いに感謝する毎日
です。
(ロワ佐奈子)
*この連載は隔週でお届けしています。
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妊カラ編集室から____________________________________________________
「Fertility Diet(妊娠しやすい食生活)」翻訳出版のお知らせ
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これまでもメルマガでお伝えしてきましたが、現在は、ハーバード大学の準
教授でいらっしゃるジョージ・チャバロ先生が書かれた「Fertility Diet」
の翻訳が、いよいよ、12月3日に発売されることになりました。現在のと
ころ、5〜6日にかけて全国の書店に並ぶ予定です。
マグロウヒルエジュケーション発行、日本経済新聞出版社からの発売です。
邦訳のタイトルは「妊娠しやすい食生活 〜ハーバード大学調査に基づく妊
娠に近づく自然な方法」です。
ハーバード大学が実施している、世界的に有名な疫学調査である、約12万
人の女性看護師を対象にした「Nureses' Health Study」で得られた膨大
なデータから導いた「妊娠、出産にふさわしい食生活の原則」がわかりやす
くまとめられています。
「妊娠しやすいカラダづくり」を運営している、私たちにとってのバイブル
的な本でした。私たちを介して紹介するよりも、原書を読んでもらいたいと
いう思いが止み難く、多くの方々にご協力いただき、翻訳出版できることに
なりました。
そういう意味では私たちにとっても感慨無量です。
この本の特長はなんと言っても、妊娠しやすいカラダづくりについて、ハー
バード大学の研究者たちが大規模な疫学調査で得られた科学的根拠に基づい
て書かれていることに尽きます。
この分野は、なんと言ってもいい加減な情報に満ち溢れていますからね。
ただし、この本をマニュアル的に利用し、実践すれば、必ず、妊娠できるわ
けではありません。
この本に書かれていることは「原則」です。この原則を知って、理解してい
ただいて、日々の皆さんの生活に反映していただきたいのです。
そうすれば、まずは、皆さんのカラダの「根っこ」が強くなると思います。
そして、そのことが妊娠、出産に有利になることは間違いありません。
確実な妊娠を保証するわけでもありませんし、即効性はないかもしれません。
ただ、正しいことが書かれていると思います。
また、原則は不変ですが、基本的にはアメリカで生活されている方向けに書
かれています。そのため、日本で生活していらっしゃる方のために京都の志
馬クリニック四条烏丸院長の志馬千佳先生に解説を書いていただきました。
先生は、「妊娠は心身の健康の延長線上にある、身体の働きの一つ」との考
えに基づき、本来、備わっている妊孕能(=育む力)を取り戻すことで妊娠
を目指すという治療方針を掲げていらっしゃるからです。
既に、アマゾンで予約できるみたいですが、私たちのサイトからも購入いた
だけます。私たちのサイトから購入された方には、もれなく、妊カラ管理栄
養士による「妊娠しやすい食生活の原則を日常に活かすための指南書」をプ
レゼントします。
ですから、私たちのサイトから購入することを強くお勧めします。
「妊娠しやすい食生活」のサイトの公開日が決定すれば、すぐにお知らせし
ます。
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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
運営サイト__________________________________________________________
私たちはお子さんを望まれるカップルを応援します。
▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
http://www.akanbou.com/
▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 〜 ふたりで知っておきたいオトコのこと」
http://www.akanbou.com/dansei-funin/
▼お子さんを望まれるふたりのためのサプリメント
→「BABY&ME」
http://babyandme.jp/
▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html
編集後記____________________________________________________________
一昨日から昨日にかけて、神戸で開催された日本生殖医学会に行ってきまし
た。今朝、横浜に帰ってきました。とても勉強になる講演やシンポジウムが
盛りだくさんで、あっと言う間の2日間でした。
いつもは企業ブースを出展いているのですが、ブースを出展すると講演を聞
くことが出来ないというジレンマに悩まされていたので、今回は「営業」で
はなく、「勉強」に徹することにし(笑)ました。
そのため朝から夕方まで慣れないことをしたおかげでフラフラです(苦)。
ただし、アメリカのボストンや神戸で得た情報を最終的には皆さんのお役に
立てるように活かすことが出来なければ意味ありません。
いろいろと計画を立て、準備しています。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.544
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整
理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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・自社配信: 1,135部
・まぐまぐ: 4,226部
・合計部数: 5,361部(11月17日現在)
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