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VOL.558 胚移植後の生活や性交が妊娠率に及ぼす影響

2014年02月23日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.558 2014/2/23
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:胚移植後の生活や性交が妊娠率に及ぼす影響
・連載:第25回 「今を生きる」実践編の前に・・・
・妊カラ編集室から:「妊娠しやすい食生活」実践マニュアル付特別販売
・私たちが運営するサイト
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2014年2月21日 注目のテーマ
年齢対策のサプリメントを考える
http://www.akanbou.com/topics/topics/60.html
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2014年2月19日 妊娠しやすいココロをつくる
第21回 2014年も。
http://www.akanbou.com/anger_mng/message21.html
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2014年2月18日 最新ニュース
日常の運動習慣や胚移植後の身体活動と体外受精の治療成績
http://www.akanbou.com/news/news.2014021801.html
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2014年2月17日 注目のテーマ
地中海ダイエットで妊娠しやすいカラダをつくる
http://www.akanbou.com/topics/topics/59.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


最新ニュース解説 Feb.2014___________________________________________
 
 胚移植後の生活や性交が妊娠率に及ぼす影響
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体外受精で胚移植を受けてから判定日までの「過ごし方」については、治療
を受けている方であれば、一度は、思案したり、悩んだりすることかもしれ
ません。

今回、体外受精を受ける前の日常の運動や胚移植後の身体活動とその後の妊
娠率*1)、そして、胚移植後の性交と妊娠率*2)との関係についての研
究報告が発表されましたのでご紹介します。

いずれもアメリカのノースカロライナ大学チャペルヒル校の医科大学院の研
究グループが関連病院で体外受精を受けている間者さんを対象に実施したも
のです。

━ 日常の運動習慣と妊娠率の関係

体外受精に臨む121名の女性に過去1年間の身体活動についてのアンケー
トを行いました。

アンケートでは、家事や介護や仕事、日常の身体活動、そして、スポーツや
エクササイズの4つの領域で、どの程度、活発に身体を動かしているのか、
それぞれ、5段階で答えてもらい、トータルの身体活動レベルを4〜20の
スコアにしたところ、身体活動が活発な女性ほど妊娠率が高い傾向がみられ
たとのこと。

特筆すべきは、散歩やサイクリング、移動などで、よく身体を動かす人は、
妊娠率、出産率の全体を通して、治療成績が良好だった一方で、何らかのス
ポーツに取り組んでいる人は、妊娠率は高いものの、出産率は関連しないと
いう結果だったことです。

━ 胚移植後の身体活動と妊娠率の関係

また、同じ対象者に胚移植の終了から妊娠判定日まで、加速度センサーを身
体に装着してもらい、その期間の身体活動と妊娠率や出産率との関係も調べ
ています。

その結果、胚移植後から妊娠判定迄は、普段通りの生活でも、静かに過ごし
ていても、治療成績とは関連しませんでした。

このことから胚移植後、着床、妊娠のために「大事をとって」静かに過ごす
必要はないと結論づけています。

━ 胚移植後の性交と妊娠率の関係

体外受精を受けている女性125名に胚移植後の性交の記録をつけてもらい、
その後の妊娠や流産、出産に及ぼす影響を調べました。

その結果、子宮内膜が胚を受け入れる状態にある時期(インプランテーショ
ンウィンドウ)に、性交のあったカップルは性交のなかったカップルに比べ
て流産のリスクが統計学的に有意に高く、性交の回数が高いほどリスクも高
くなる傾向がみられたといいます。

特に、受精後10日の性交が最も出産率の低下のリスクに関連したとのこと。

このことから、今回の研究規模が小さいことからさらなる大規模な試験が望
まれるが、明確なエビデンスが確定するまでは胚移植後の性交は控えたほう
が無難ではないかとしています。

━ 日常の運動と胚移植後の生活について

これまでに発表されている研究報告も、日常的に身体を動かすことは女性に
とっても、男性にとっても、妊娠や出産によい影響を及ぼすとされています。

ただし、それはウォーキングや水泳など、マイペースで楽しる穏やかな運動
習慣で、過激な運動は女性にとっても、男性にとっても、マイナスの影響を
及ぼしますので、「やり過ぎ」には注意が必要で、「過ぎたるは及ばざるが
ごとし」の教訓はここでも言えるようです。

また、胚移植後の生活については、通常と全く同じ生活でよいということも
ほとんどのドクターのコンセンサスを得ているくらい精度の高い試験結果が
蓄積されているようです。

ですから、特別、静かにしても、しなくても、妊娠や出産にはさほど影響し
ないということです。

━ 胚移植後の性交について

その一方、胚移植後の性交については、今回の研究では胚移植後、特に、イ
ンプランテーションウィンドウと呼ばれる「着床可能期間」、人によって多
少の違いがあって、受精後5日〜10日の間であると著者は言っていますが、
この時期に性交すると、流産のリスクが高くなる傾向がみられたという結果
だったようです。

これまでも性交による子宮の収縮は着床や妊娠のスタートにマイナスに働く
のではないかと考え、胚移植後は性交を控えるように指導されるドクターが
多いようです。

ところが、胚移植後の性交については、日常の運動や胚移植後の安静ほどに
は研究結果が蓄積されていませんので、あくまで、よくわからないから避け
るのが無難だからということのようです。

そもそも、体外受精だからこそ、着床可能期間を自覚しているわけで、これ
が自然妊娠であれば、無自覚に性交していることも多いはずです。

また、リプロダクティブクリニック大阪院長の松林先生のブログでは、「体
外受精のあとにも性交を!」というタイトルで、「胚移植前後の性交は妊娠
率には変化がなく、妊娠継続率がよい(=流産率が少ない)ことを示してお
り、性交による胚発生率の改善の可能性を指摘した」論文を紹介されていま
す。

ただ、「しかし、本研究は多施設といっても2施設であり、また妊娠率が若
干低いため、さらなる大規模な調査が必要だと考えます。」とのお考えを最
後に示していらっしゃいます。
http://ameblo.jp/matsubooon/entry-11412917045.html

━ 本当のところは「神のみぞ知る」ところなのですが

このように本当のことは「神のみぞ知る」ところですが、いずれにしても、
日常の運動習慣にしろ、胚移植後の生活や性交にしろ、妊娠や出産にプラス
になるにしても、マイナスに働くにしても、決定的な要素ではないというこ
とです。

つまり、これまで運動習慣なかったからといって妊娠できないわけではない
し、胚移植後にお姫さま生活していても妊娠できるし、胚移植後に性交した
からといって必ずしも流産するというわけではないということです。

そうです、あくまで、確率論であり、全体の傾向であり、個人の答えを示し
てくれているわけではないのです。

そのため、極論すれば、「やりたいように」やっても、大きな差はない、正
解はない、そういうことだと思います。

ですから、そんな中で、正解を求めすぎて、神経質になったり、疑心暗鬼に
なるのは「損」だと思います。

あれこれ、「心配する」よりも、治療中のことですから、主治医の先生にア
ドアイスをいただき、その言葉と新しい命の生命力を「信じて」過ごすのが
いいのではないか、そう思います。

文献1)
Association of physical activity in the past year and
immediately after in vitro fertilization on pregnancy.
Fertility and Sterility Article in Press

文献2)
Intercourse after Embryo Transfer and Pregnancy Outcomes.
Fertility and Sterility. 2014;101;e28.

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ロワ佐奈子のセルフコントロール講座__________________________________

 第25回「今を生きる」実践編の前に・・・
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みなさん こんにちは。ロワ佐奈子です。

いかにひとが「今」に生きず、過去や未来にとらわれながら生きているかと
いうことを、前回、菜津子さん(仮名)の例を用いながら、みなさんと考え
る機会を設けました。

今回予定していた「今を生きるため。実践編」の前にひとつ、今日はお詫び
とお願いがあります。

今回のお話に出てきた菜津子さん、小さなお子さんをお持ちのお母さんでし
た。ここを読んでくださるみなさんは、今現在、あかちゃん待ちという期間
を過ごしていらっしゃるわけで、菜津子さんと娘さんの例は共感を呼びにく
かったかも知れません。

実際、「親子のやりとりの事例を読むのはあまり気分の良いことではなかっ
た」というご意見も頂戴しました。

実は、菜津子さんはDINKS(子どものいない共働き夫婦)という設定の
ストーリーを用いることも可能でした。

でも、今回、わざわざ親子のストーリーをみなさんに読んでいただいたのに
はいくつかの理由があるのです。

まずひとつ。

以前にもお話しした「怒りの性質」ですが、「高いところから低いところへ」、
つまり強い立場の人から弱い立場の人へと流れやすいこと、覚えていますか?

会社では上司から部下へ、家庭では親から子へ。外(会社)でのイライラを
つい家庭で弱い立場の人(子ども)にぶつけてしまう。それを最もよく現し
た例がこの親子のストーリーになります。

この例え話を読むのが辛かった、または共感できなかったという方に、まず
はお詫びしたいと思います。

実は、「親子のやりとりを例にあげることをよく思われない方がいらっしゃ
るかも」と推測しつつもこのストーリーを選びました。あ、でも意地悪で選
んだわけではないのでそこは誤解なさいませんように!

このストーリーを選んだ理由は、上記のとおり、「もっとも怒りの性質を分
かりやすく表した展開」であったこと、それからもうひとつ。

「近い将来お母さんになろうとしている」みなさんに、この親子のお話を知っ
ておいていただきたかったからです。

子どもを授かる=人生のゴール、そこでめでたしめでたし・・・ではないで
すよね。その先に待つ子育て中にストレスやイライラを感じることだってあ
るでしょう。その時にこの例え話を思い出してもらえたら、と思ったのです。
「お母さんになっても使えるアンガーマネジメント。」ちょっと先走りすぎ
たかも知れませんが、そんな気持ちを込めてこのストーリーを選びました。

この度、掲載内容によって傷ついたり快く思われなかった方、ごめんなさい。
そして、どうぞ今こそアンガーマネジメントを用いて、不快な気持ちはここ
に置いて(捨てて)行ってください。

これからも一生使えるアンガーマネジメントをみなさんにはお届けしてゆき
たいと思っておりますので、どうか許していただけることを祈っています。

この連載からご自分にとって有益な情報をこれからもココロのなかに貯めて
いっていただけると幸いです。

また先送りになってしまいましたが、次回「実践編」へと続きます。

*この連載は隔週でお届けしています。
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↓ロワ佐奈子のセルフコントロール講座
http://www.akanbou.com/anger_mng/
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著者:ジョージ・E・チャヴァロ(ハーバードメディカルスクール準教授)
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   パトリック・J・スケレット(ハーバードニュースレター編集者)
監修:志馬千佳(志馬クリニック四条烏丸院長)
翻訳:細川忠宏(妊娠しやすいカラダづくり運営者)
原著:The Fertility Diet
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山田聡子(やまだあきこ)
管理栄養士。日体協公認スポーツ栄養士。健康運動指導士。
青山学院大学国際政治経済学部卒。電通ヤング・アンド・ルビカム株式会社
マーケティング局勤務を経て、東京健康科学専門学校栄養士科卒業。その後、
明治製菓株式会社ザバススポーツ&ニュートリション・ラボ勤務。全日本男
子柔道、バレーボール山本隆弘選手、トップリーグラグビーチーム、大学ラ
グビーチーム、ライフセービング選手などを栄養サポート。現在、スポーツ
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栄養セミナー講師、記事執筆などを中心に活動中。

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編集後記____________________________________________________________

昨日は、性機能学会東部総会に行ってきました。

その名の通り、性機能を専門に研究、臨床されているドクターや研究者のた
めの学会で、これまでは、どちらかと言うと、「セックス」そのものよりも、
性機能ですから、セックスができているかどうか、そのことによって妊娠、
出産できるかどうかが、主たるテーマだったようです。

そんな中で、今回のテーマは「女目線の性機能、男目線の性機能」というこ
とで、セックスが「生殖」だけでなく、「カップルの生活の大切な要素」と
して、機能しているかどうかというところにも踏み出されたような印象を受
けました。

一方、お子さんを望むカップルにとっては、セックスは、まさに、「生殖」
目的そのものなのですが、その目的だけを完遂しようとすればするほど、
「カップルの(女性にとっても、男性にとっても)生活の大切な要素」が欠
落してしまい、皮肉にも「生殖」力が低下してしまうことになってしまうこ
とがよくあります。

よく、日本人の回数は世界最低であるということが取り上げられますが、単
に、回数が多ければいいというものでもないと思います。

物事は当たり前に出来なくなったときに、その本質が見えてくることがある
と思います。

国立がん研究センターの高橋都先生の「女性ががんになったときーセクシュ
アリティを見る「女目線」と「男目線」という講演で、「セックスはカップ
ル双方にとって、温かく、気持ちよく、満足のいくもので、あってほしい」
という言葉がとても印象に残りました。


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.558
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整
理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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・まぐまぐ: 4,216部
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