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VOL.571 食と生殖機能の関連研究が私たちに教えてくれること

2014年05月25日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.571 2014/5/25
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・今月のトピックス:食と生殖機能の関連研究が私たちに教えてくれること
・はんなのカラダづくり日記:まっすぐ座って腰をきたえよう
・妊カラ編集室から:「妊娠しやすい食生活」実践マニュアル付特別販売
・私たちが運営するサイト
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2014年5月24日 最新ニュース
砂糖入り清涼飲料水と精子の質の関係
http://www.akanbou.com/news/news.2014052401.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


今月のトピックス May.2014___________________________________________
 
 食と生殖機能の関連研究が私たちに教えてくれること
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最新ニュースでご紹介していますが、翻訳書「妊娠しやすい食生活」の原著
者のハーバード公衆衛生大学院のチャヴァーロ博士が最新の研究論文を発表
されました。

昨秋、ボストンでお目にかかった際にもおっしゃっていた通り、このところ
ライフスタイルと精子の質との関連研究を立て続けに発表されていますが、
今回は砂糖入りの清涼飲料水と精子の質との関連です。

コーラやスポーツ飲料、炭酸飲料などのラベルの「原材料」のところみてみ
てください。ブドウ糖果糖(果糖ブドウ糖)液糖という天然甘味料の名前が
記載されていると思います。砂糖よりも甘みが強く、そして、製造コストが
とっても安いことから、食品メーカーにとってはありがたいのですが、飲む
ほうにとってはまったくありがたくないもののようです。

アメリカでは、トランス脂肪酸とともに問題視されていますので、日本でも、
そうなるのは時間の問題だと思います。

チャヴァーロ博士は、食と生殖機能の関連研究では世界の第一人者と言って
もよいと思うのですが、これまでの博士の研究から、つくづく、思うのは、
妊娠前に両親がなにをどのように食べたのかは、妊娠や出産に際して、本当
に、複雑、かつ、複合的に、あらゆる側面に強い影響を及ぼしているという
ことです。


━ 食と生殖機能の研究から学んだ2つのこと

食と生殖機能の関連について、とっても乱暴ですが、まとめてしまうと、以
下のようになると思います。

5大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル)のバラン
スの乱れは、よい卵子や精子をつくる働きの障害に繋がり、また、妊娠後の
合併症や出産時のリスクを高め、そして、子どもの体質の形成に影響を及ぼ
し、成人後の生活習慣病のリスクをも高めるというものです。

このことから、私たちが学んだことは大きく2つあります。

1つは、世に妊娠にいいとか、不妊に効くと言われているものはあまたあり
ますが、実際にはそんなことはどうでもよいと言っても決して過言ではなく、
みるべきものは「5大栄養素」であり、やるべきことは、「バランスをよく
する」ことであるということ。

もしも、妊娠のために食生活や運動、サプリメントなどを改善するのであれ
ば、すべて、この原則にそった取り組みでないとあまり効果的でないと言え
ると思います。

もう1つは、食べることは妊娠する力や育む力だけでなく、出生後、長期に
渡る子の健康にまで影響を及ぼすということで、すぐに結果があらわれるこ
とばかりではないのですね。

さて、最近、このことをヒトを対象とした研究で、実際に確かめた研究結果
が発表されましたのでご紹介します。


━ 妊娠前の両親の栄養状態が子の遺伝子発現に影響する仕組みとは?

ロンドン大学大学院の研究チームは、アフリカのガンビアの農村地方で、雨
季と乾季の季節変動による食生活パターンの違いが新しい生命の誕生に際し
てどのように影響を及ぼすのかについて調べました。

雨季に妊娠した女性84名と乾季に妊娠した女性83名を対象に、血液検査
で栄養状態を測定し、子どもは出生後2~8ヶ月のDNAを調べました。

その結果、母親の妊娠前の食生活が、子どものDNAに影響を及ぼしていた
ことがわかったというのです。

簡単に言えば、雨期に妊娠した女性から生まれた子どもと乾期に妊娠した女
性から生まれた子どもでは、遺伝子の発現に影響する仕組みが違っていたと
いうものです。

私たちの生命活動とは、極言すれば、遺伝子が発現してたんぱく質がつくら
れることで成り立っています。

子どもの遺伝子は両親から受け継ぎますが、たとえ、同じ遺伝子(配列)を
もっていても、母親や父親と同じように発現するとは限りません。なぜなら、
遺伝子の発現とは、細胞の核の中に折りたたまれて格納されているDNAが
ほどかれて(むきだしになって)、DNAの情報が読み込まれ、たんぱく質
がつくられることによって起こるからです。

その際に、DNAがほどかれるか(むきだしになるか)どうかは、DNAの
周辺に存在する物質(転写因子)によるのです。ですから、たとえ、同じD
NAの遺伝情報をもっていても、周辺に存在する転写因子の顔ぶれや場所が
異なれば、発現するかどうかが違ってくるのです。

このような遺伝子の働きを調節する仕組みを「エピジェネティックス」と呼
ばれていて、大変注目されています。

今回もロンドン大学の研究は、雨期と乾期では食生活が大きく違うので、生
まれた子どもの遺伝子の働きを調節する仕組みに違いがみられたというもの
です。

つまり、DNAの周辺に存在する転写因子は遺伝子を発現させるか、させな
いかの鍵を握っているのですが、その転写因子の一部はアミノ酸や葉酸など
のビタミンが変化して出来るので、妊娠前の女性の食生活のパターンが子ど
もの遺伝子の発現を左右してしまう、そういうことです。

このことは、妊娠前の女性だけでなく、男性にも言えることがわかっていま
す。

マウスを使った動物実験ですが、妊娠する前の雄マウスがカロリー過多の食
事で肥満であった場合、その子ども、さらには、孫も肥満体質になることが
確かめられています。

まさに、精子によって卵子に運び込まれた父親の遺伝情報は、単にDNAの
配列だけでなく、その発現に関わる因子もセットで伝えられたことに他なり
ません。


━ コントロール出来ないし、思い通りにならないけれど、、、

今回の結果では、エピジェネティックな変化が実際にどのような機能の変化
につながっているかまでは調べられていません。

また、食生活パターンが遺伝子の発現に影響を及ぼすことがわかっていても、
それでは、なにをどのように食べれば、どのような遺伝子がどのように発現
するのかは、わかっていませんし、それをコントロールすることなんて不可
能です。

大切なことは「5大栄養素のバランス」をよくする、これに尽きます。

つまり、新しい生命の誕生に際しては、私たちに直接出来ることはほとんど
ないと言っても過言ではないわけです。

そうです、思い通りにならないのですね。

知っておくべきことは、新しい命はそのはじまりから、周囲の栄養環境とや
りとりして育つので、その環境次第で、よくも、悪くもなる、ということ。

そして、関心をもつべき、取り組むべきは、自分たちの体内の環境を新しい
命がすこやかに育つよう、整えるということになるのではないでしょうか。

さらに言えば、皆さん、よくよくご承知の通り、出生後も、すこやかに育つ
環境を整えることが大切です。

繰り返しますが、私たちが、直接、コントロールできるわけではなく、全く、
思い通りにならない、そして、出来ることは周囲の環境を整えることだけ、
そう考えると、妊娠しやすいカラダづくりとは、生まれる前から育児の予行
演習をやっているようなものなのかもしれませんね。


▼参考文献
Maternal nutrition at conception modulates DNA methylation of human metastable epialleles.
Nature Communication.2014; 5: 3746

妊娠前からの食生活が子どもの一生の体質をつくる
http://www.akanbou.com/doctor/interview12/

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はんなのカラダづくり日記~体外受精の準備のために____________________

 第9回 まっすぐ座って腰をきたえよう
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こんにちは、はんなです。

春は終わって、会社のある横浜はもう初夏の陽気です。せっかくさわやかな
季節なのに、オフィスの入っている建物はただいま修繕中で、周囲は足場で
囲まれときおりすさまじい工事の音がします。
いつになったら終わるんだろうか・・・(-_-;)

そんなオフィスではありますが、前回ご紹介しました「もみもみ」のほかに、
お仕事をしながら日々こっそり心掛けていることがあります。これ、全力で
おすすめしたいです。

それは、「骨盤を立てて座ること」。

「立てて座る」なんて大層な感じにも思えますが、わりと簡単。以前NHK
の「あさイチ」でも紹介されたので、ご存知の方もおられると思います。
普通のデスクやダイニングテーブル、ソファーの背もたれに寄りかかりなが
ら座った状態のおそらくほとんどが、骨盤が「寝ている」状態です。無意識
にテレビを見ていたり、パソコンやスマホをぼーっとしているときはほとん
どこの状態になっているようです。

そうではなく、背もたれから背中を離し、かといってそっくり返ってお腹を
突き出すのでもなく、まっすぐにすっと背筋を伸ばして両足を地面につけて
座ったとき、骨盤が「立っている」のです。
骨盤が「立っている」ときは、背骨はきれいなS字を描いています。

骨盤を立てるのがなぜそんなに大事なのか、理由をお話しします。
背骨の一部、腰椎(背骨の下のほう。どこの骨だか分からない方は画像検索
してみてください~。)から出ている自律神経は、生殖器の働きを調整して
います。背もたれに座ってまったりしてばかりいると、自律神経を圧迫した
り、また腰周りの筋肉が使われなくなって硬くなり柔軟性が失われるので、
腰椎の調整がうまくいかなくなります。恥骨が前に飛び出たり、骨盤の収縮
がうまくいかなくなったり、骨盤にねじれが生じたりします。
それによって子宮や子宮頚管、卵巣や卵管が圧迫されうまく働かなくなった
り、骨盤内の血流が滞ることもあります。。。楽な姿勢でいるとき、実はお
腹の中でそんなことが起こっていたのか!と思うと、とても怖いです(>_<)

ヨガをしているときはあぐらをかくことが多いですが、そのときも背筋を伸
ばすことをこころがけます。ヨガももちろん、カラダのバランスをとること
を旨とする東洋医学的アプローチのひとつですからね。

ところで、きちんと座り続けているとわたし、すぐに疲れてしまいます(恥)。
そして、疲れるということは腰周りの筋肉がさぼって使われていなかったこ
との証拠なのです。がーん、そうだったのかー。

そんなときは、タオルなどをまるめて棒のようにして、尾てい骨の下にしい
てあげれば、それほど無理せずとも力をいれずに正しい姿勢が保てます。

これからも骨盤を甘やかさないように、タオルの助けも借りつつ、きちんと
した姿勢で座ることをこころがけたいと思っています。

皆様もぜひどうぞ♪


*この連載は隔週でお届けします。

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妊カラ編集室から____________________________________________________

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妊娠しやすい食生活 ハーバード大学調査に基づく妊娠に近づく自然な方法

著者:ジョージ・E・チャヴァロ(ハーバードメディカルスクール準教授)
   ウォルター・C・ウィレット(ハーバードメディカルスクール教授)
   パトリック・J・スケレット(ハーバードニュースレター編集者)
監修:志馬千佳(志馬クリニック四条烏丸院長)
翻訳:細川忠宏(妊娠しやすいカラダづくり運営者)
原著:The Fertility Diet
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山田聡子(やまだあきこ)
管理栄養士。日体協公認スポーツ栄養士。健康運動指導士。
青山学院大学国際政治経済学部卒。電通ヤング・アンド・ルビカム株式会社
マーケティング局勤務を経て、東京健康科学専門学校栄養士科卒業。その後、
明治製菓株式会社ザバススポーツ&ニュートリション・ラボ勤務。全日本男
子柔道、バレーボール山本隆弘選手、トップリーグラグビーチーム、大学ラ
グビーチーム、ライフセービング選手などを栄養サポート。現在、スポーツ
栄養士として、スポーツ選手・一般の方々への栄養サポート、専門学校講師、
栄養セミナー講師、記事執筆などを中心に活動中。

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▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
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▼妊カラ・男性不妊編
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→「BABY&ME」
http://babyandme.jp/

▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html


編集後記____________________________________________________________

東京慈恵医科大学産婦人科の杉本公平先生が「誰も教えてくれなかった卵子
の本」という本を出されました。
http://urx.nu/8tYc

次号で詳しくご紹介します。杉本先生は「不妊治療終結に関する情報提供の
在り方」という論文を執筆していらっしゃる通り、医師として、患者さんの
メンタルなケアにも積極的に取り組んでおられます。

私たちのところにも、「後悔のない不妊治療の終わり方」についての情報を
求められる声が、年々、増えています。

そこで、杉本先生のご協力をいただきながら情報の発信につとめてたいと考
えています。

ご意見やご要望がありましたらお気軽にお寄せいただければと思います。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.571
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整
理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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◎発行部数
・自社配信: 1,409部
・まぐまぐ: 4,272部
・合計部数: 5,681部(5月25日現在)
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