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妊娠しやすいカラダづくり No.593 2014/10/26
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今週の内容__________________________________________________________
・今月のトピックス:アメリカ生殖医学会レポートその1
・編集室から:体外受精のためのヨガセラピー
・編集室から(2):Fine祭り2014開催のお知らせ
・私たちが運営するサイト
・編集後記
今月のトピックス Oct.2014___________________________________________
男性のアルコールやカフェイン摂取と体外受精治療成績の関係
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今年のアメリカ生殖医学会(ASRM)は、10月18日(土)から22日
(水)まで、ホノルルで開催されました。
私(細川)は、昨年12月に翻訳出版した「妊娠しやすいカラダづくり」の
原著者であるハーバード大学のチャバロ先生にお会いするために、昨年のボ
ストンに引き続き、参加してまいりました。
チャバロ先生は、昨年、お会いした際にお話されていた通り、体外受精に臨
む女性がその男性パートナーの食生活や栄養素の摂取状況と治療成績との関
係を、ハーバード大学関連病院であるマサチューセッツ総合病院で高度生殖
補助医療を受けているカップルを対象に調査され、多くの論文を発表されま
した。
そして、今年のアメリカ生殖医学会では、チャバロ先生のこれまでの10年
間の食生活やライフスタイルと生殖機能の関連研究を評価され、the Ira
and Ester Rosenwaks New Investigator Awardという賞を受賞
され、表彰されました。
それだけ、アメリカでも「妊娠しやすいカラダづくり」についての関心が高
まっているということでしょうか。
ハーバード大学のチャバロ先生をリーダーとする研究チームは、世界的に有
名な「看護師健康調査」で、女性の食生活と妊娠しやすさとの関係について
の研究を行ったことを皮切りに、女性だけでなく、男性の食生活やライフス
タイルと精液所見の関係まで、この分野でのアメリカだけでなく世界のリー
ダー的な存在と言えます。
私たちは、7〜8年前からチャバロ先生の研究に注目し、フォローし、論文
をサイトで紹介するだけでなく、「看護師健康調査」の結果を解説した一般
向けの本の日本語訳「妊娠しやすい食生活」を出版しました。
さて、前置きが大変長くなりました。今週は、そのチャバロ先生の研究チー
ムがホノルルで開催されたアメリカ生殖医学会で発表され、大きな関心を集
めた男性のカフェインやアルコール摂取とパートナーの体外受精の治療成績
との関連についてご紹介します。
━ 男性の生活習慣とパートナーの体外受精治療成績との関連研究の難しさ
この研究がなぜ高い関心を集めたかと言いますと、男性のカフェインやアル
コール摂取と精液所見との関連についてはこれまでもいくつもの研究が実施
されているのですが、体外受精の治療成績との関連については、初めてだか
らです。
そもそも、男性の生殖機能を調べる際に、精液所見は、あくまで、間接的な
目安にしか過ぎません。やはり、パートナーの妊娠率や出産率がより重要な
目安であるはずです。
ところが、これまでは男性のパートナーの女性の治療成績を追跡調査したり、
女性側の年齢などの影響を排除し、純粋に男性の生殖能力を反映した治療成
績を算出するのが難しいことから実施されていませんでした。
━ 男性のカフェインやアルコール摂取と体外受精治療成績との関係
ハーバード大学の関連病院であるマサチューセッツ総合病院で体外受精に臨
む105組の男性パートナー(平均年齢37歳)に治療開始前に食物摂取頻
度調査票でカフェインやアルコール摂取を調べ、その後の体外受精214周
期の妊娠率との関係を解析しました。
その結果、カフェイン、アルコール摂取量の中央値は、それぞれ、169ミ
リグラム/日、13グラム/日、周期あたりの妊娠率は55%でした。
そして、統計学的な処理の結果、男性のカフェイン摂取量が多いほど妊娠率
は低くなり、反対にアルコール摂取量が多いほど妊娠率は高くなりました。
1日のカフェイン摂取量が88ミリグラム未満の男性は周期あたりの妊娠率
が52%だったのに対して、265ミリグラム以上の男性では20%でした。
因みにカフェイン含有量は、コーヒーで150mlに100mg、ココア150mlで
50mg、抹茶150mlに48mg、ダイエットコーラでも350mlに45mg、さらに、
紅茶150mlには30mgとされています。
今回のデータをあてはめますと、1日のカフェインが265ミリグラムを超
えると妊娠率が大きく低下することから、目安といて、コーヒーは1日2杯
程度にとどめておくのが無難ということになります。
そして、1日に22グラム以上のアルコールを飲む男性は3グラム未満の男
性に比べてパートナーの周期あたりの妊娠率が4.5倍でした。
因みに500ミリリットル、アルコール度数5%のビールで20グラムのア
ルコール入りとのことです。缶ビールのロング缶よりも少し少ないくらいで
しょうか。
また、カフェイン、アルコール摂取量のいずても精液所見との関連が見られ
なかったとのこと。
━ 体外受精に臨む男性がパートナーのために出来ることとして
今回の結果は、カフェインやアルコール摂取量は精液試験の結果とは関連し
なかったのに、妊娠率はカフェイン摂取量と反比例し、アルコール摂取量と
比例の関係が見られたというものでした。
このことから、カフェインやアルコールの摂取量は精子の量や運動率、形態
に影響しないものの、精子の質に影響していると考えることが出来ます。
アルコールが妊娠率と比例していることが意外に思われるかもしれませんが、
たとえば、心臓病については、アルコールを飲む人にほうがリスクが低くな
ることが知られているように、「適量」のアルコールは健康にプラスに働く
ことが知られています。
体外受精に臨む男性が取り組めることとして、もしも、タバコを吸っている
のであれば禁煙すること、コーヒーを1日に3杯以上飲む習慣があるのであ
れば2杯程度にすること、そして、適量のアルコールであればそのまま飲み
続けてもよいということが言えると思います。
◎チャバロ先生インタビュー(2013年ボストンにて)
http://www.akanbou.com/doctor/interview17/
◎妊娠しやすい食生活
http://www.akanbou.com/shoku/
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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
編集室からのお知らせ________________________________________________
体外受精に臨む女性の"リラックス"をお手伝いするプロジェクト
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・定 員:12名
・講 師:小山 紀枝 先生
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・監修者:ルナワークス代表 岡部朋子先生
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http://www.akanbou.com/medical_yoga/
・監修者:東京慈恵会医科大学産婦人科講師 杉本公平先生
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主催:株式会社パートナーズ・妊娠しやすいカラダづくり
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info@akanbou.com
編集室からのお知らせ(2)__________________________________________
イベント「Fine祭り2014」のご案内
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原著者であるハーバード大学のチャバロ先生にお会いするために、昨年のボ
NPO法人Fineは、不妊当事者による、不妊当事者のための団体です。Fine
の主催する年に一番のビッグイベント、Fine祭り、今年も開催します。
もちろん、私たちも趣旨に賛同し、協賛しています。
今年のタイトルは、「Fine祭り2014 全国おしゃべり会special~日ごろ
言えない不妊の思い、仲間たちといっぱい話そう!~」で、札幌、名古屋、
大阪、福岡、東京の全国5カ所で開催する予定です。
プログラムは、二部構成で、第一部が専門家による講演と不妊体験者による
体験談、第二部はおしゃべり会です。
【第一部】
◆不妊治療専門医等による「講演」
妊娠の仕組みや不妊治療の最新情報をキャッチ!
◆不妊体験者による「体験談発表」
当事者の気持ち、悩み・・・生の声を聞いてみよう!
【第ニ部】
◆おしゃべり会
同じ悩みや経験を持つ仲間たちと、気兼ねなく思いっきりおしゃべりできま
す!あなたも、辛い思いを一人で抱えずに、仲間と話してみませんか?
◆不妊スペシャリスト相談
不妊症看護認定看護師の方やエンブリオロジスト(胚培養士)の方に、病院
では質問しづらいこと、検査や治療について知りたいことを相談できるチャ
ンスです!
※「Fine祭り2014」詳細はコチラ↓↓
http://j-fine.jp/matsuri/2014/matsuri.html
ぜひご参加ください♪
*過去に「Fine祭り」に参加された方の感想です。
・自分一人じゃないと本当に心から思えました。
・気持ちが楽になりました。また明日から頑張ります。
・悩んでいた事を親身になっていただき、不安がとれました。
・今日このおしゃべり会で久しぶりに笑うことができた。
<日程>
◆ 「Fine祭り2014 全国おしゃべり会special in 札幌」 ◆
日 時:2014年11月9日(日) 12:30~15:50(予定)
会 場:札幌エルプラザ 4階 札幌市男女共同参画センター
講 演:神谷博文先生(神谷レディースクリニック 院長)
◆ 「Fine祭り2014 全国おしゃべり会special in 名古屋」◆
日 時:2014年11月9日(日) 12:30~16:15(予定)
会 場:愛知県産業労働センター ウインクあいち
講演1:浅田義正先生(医療法人浅田レディースクリニック 理事長)
講演2:古井憲司先生(クリニックママ 院長)
◆「Fine祭り2014 全国おしゃべり会special in 大阪」 ◆
日 時:2014年11月16日(日) 12:30~16:15(予定)
会 場:つるやホール 第二ビル
講演1:渡辺浩彦先生(醍醐渡辺クリニック 院長)
講演2:田村秀子先生(田村秀子婦人科医院 院長)
◆「Fine祭り2014 全国おしゃべり会special in 福岡」 ◆
日 時:2014年11月16日(日) 12:30~16:15(予定)
会 場:アスクビル カンファレンスASC
講演1:詠田由美先生(アイブイエフ詠田クリニック 院長)
講演2:蔵本武志先生(蔵本ウイメンズクリニック 院長)
◆「Fine祭り2014 全国おしゃべり会special in 東京」 ◆
日 時:2014年12月7日(日) 12:30~16:15(予定)
会 場:東京文具共和会館
講演1:吉田 淳先生(木場公園クリニック 院長)
講演2:平山史朗先生(東京HARTクリニック 生殖心理カウンセラー)
◆「Fine祭り2014」関連ブログ◆↓
http://ameblo.jp/npofine/entry-11927763613.html
http://ameblo.jp/npofine/entry-11933493531.html
http://ameblo.jp/npofine/entry-11934988274.html
「祭り」ネーミングの由来はこちら↓
http://j-fine.jp/matsuri/p-a.pdf
▼「Fine祭り2014」お申込みはこちら↓
http://j-fine.jp/matsuri/2014/matsuri.html
私たちが運営しているサイト__________________________________________
▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
http://www.akanbou.com/
▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 ~ ふたりで知っておきたいオトコのこと」
http://www.akanbou.com/dansei-funin/
▼お子さんを望まれるふたりのためのサプリメント
→「BABY&ME」
http://babyandme.jp/
▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html
編集後記____________________________________________________________
昨年に引き続き、アメリカ生殖医学会に参加しました。今回はレポートその
1ということで、チャバロ先生をリーダーとするハーバード大学の研究チー
ムの発表を紹介しました。
次号以降で、妊娠しやすいカラダづくりについて、お役に立てるような研究
発表をご紹介していきます。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.593
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整
理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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◎発行部数
・自社配信: 1,670部
・まぐまぐ: 4,124部
・合計部数: 5,794部(10月26日現在)
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