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妊娠しやすいカラダづくり No.597 2014/11/23
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・今月の特集:妊娠を希望するカップルのアルコール摂取について考える
・連載企画:第6回 アルコールとの上手な付き合い方
・お知らせ:「体外受精のためのヨガセラピー」受講申込受付中
・私たちが運営するサイト
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2014年11月17日 ドクターに訊く
40代の不妊治療について考える
http://www.akanbou.com/doctor/interview19/
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
今月の特集 Nov.2014_________________________________________________
妊娠を希望するカップルにとってのアルコール摂取について考える
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季節柄、お酒を飲む機会が増えることと思います。妊娠を望むカップル、不
妊治療を受けているカップルにとって、アルコール摂取については、少々、
気になることだと思います。
「飲み過ぎ」は健康に損なうことは言うまでもありません。また、妊娠中や
授乳中はお酒は控えるべきことはよく知られていると思いますが、妊娠前に
ついては、飲酒の影響はどのように考えればいいのかについて考えてみます。
まず、厚生労働省が飲酒についてのガイドラインを定めているのでそれを確
認しておきましょう。
━ 厚生労働省による飲酒のガイドライン
厚労省は「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適
度な飲酒として、1日平均純アルコールで20グラム程度である」と定めて
います。
1日の飲酒量の目安の「アルコール20グラム」は日本の基準飲酒量の1単
位に相当します。
ただ、これだけではどれくらい飲めるのかよくわかりません。お酒の種類に
よって、アルコール度数が異なりますので、アルコール20グラムというの
はどれくらいの量なのか、それぞれのお酒の種類ごとの1単位の量は以下の
通りです。
・ビール(アルコール度数5度) 中ビン1本(500ml)
・缶チューハイ(アルコール度数5度)1缶(約500ml)
・ワイン(アルコール度数14度) グラス1杯(約180ml)
・日本酒(アルコール度数15度) 1合(180ml)
1日に飲む量はこれくらいまでにしておきましょうということです。
さらに、厚労省は週に2日は休肝日にするように提案していますので「週に
5単位」ということになります。
ただし、これは、あくまで、一般向けのガイドラインで、残念ながら妊娠希
望のカップルのためのガイドラインは決められていません。
それでは、これまでアルコール摂取と妊娠する力の関係について調べた研究
が多数実施されていますので、それらをみていくことにしましょう。
━ アルコール摂取と妊娠する力
これまでアルコール摂取量と妊娠する力の関係を調べた研究報告では、アル
コール摂取量が多くなると、やはり、妊娠しづらくなるとしています。
ただし、週に5単位くらいの飲酒量であれば、妊娠しづらくなるとするもの
もあれば、影響しないとするものもあり、反対に妊娠しやすくなるという報
告もあったりして、「いろいろ」なのです。
代表的な論文を紹介しましょう。
スウェーデンの研究でストックホルム在住の7,393人を対象にアルコール摂
取と不妊症のリスクとの関係を18年間に渡って調べたところ、週に7単位以
上飲酒する女性は、週に2~7単位未満飲酒する女性に比べて不妊症リスク
が58%高く、週に2.5単位未満しか飲酒しない女性は週に2~7単位未満飲
酒する女性に比べて不妊症リスクが35%低かったといいます。
また、7,760人のデンマーク女性を対象に平均4.9年間追跡調査した研究で
は、女性の年齢が30歳未満であれば、アルコールの摂取量は妊娠に影響を及
ぼさなかったのに、30歳を超えると、週に7単位以上飲酒する女性は、週に
1単位未満の女性に比べると、不妊症のリスクが2.26倍だったと報告してい
ます。
アルコールの摂取量が多くなるほど妊娠しづらくなり、その影響は年齢が高
いほど顕著になるというわけです。
その一方で、飲酒したほうが妊娠しやすくなるとの報告もあるのです!
29,844人の妊婦にアルコール摂取と妊娠するまにかかった期間を調べたデ
ンマークの調査では、週に14単位以上の飲酒は妊娠しづらくなるが、週に
7単位以下)であれば、飲酒すは妊娠するまでの期間に影響を及ぼさず、全
く飲まない女性に比べて妊娠しやすくなったというのです。
また、アルコールの種類別に妊娠するまでに要した期間を調べてみると、ワ
インを飲む女性はワインを飲まない女性やビールやスピリットを飲む女性に
比べて摂取量に関わらず、妊娠までの期間が短いとの結果が出ています。
このような感じですから、過去の研究データに基づいて「これくらいであれ
ば妊娠することに影響しない」という量を明確にすることが難しそうです。
おそらく、アルコールの影響については個人差が大きいことやアルコールを
飲む女性は喫煙率は高いといったことがあるのかもしれません。
次に、体外受精の治療成績へも影響となると、少し、様子が違ってきます。
━ アルコール摂取と体外受精の治療成績
体外受精の治療成績には比較的少ない摂取量でも影響を及ぼすとの報告がな
されています。
体外受精に臨む2,545組のカップルを対象にアルコール摂取量と4,729周期
の治療成績との関係を調べたアメリカの研究です。
週に4drinks以上のアルコールを摂取する女性は、それ未満の女性に比べて、
出産率が16%低く、女性も、男性も週に4drinksのアルコールを摂取する
カップルは、どちらもそれ未満しか飲まないカップルに比べて、出産に至る
確率は21%、受精率が48%低かったとのこと。
ここで、注意しなければならないのはアメリカの基準飲酒量です。アメリカ
では1drinkとか、2drinksとしています。これは日本の1単位、2単位と
は違って、日本の1単位がアルコール20グラムであるのに対して、アメリ
カの1drinkはアルコール14グラムとされています。
ですから、この論文で体外受精の治療成績に影響が認められた4drinksと
いうのはアルコール54グラムで、日本では2.7単位ということになります。
体外受精の治療成績の場合は、比較的、少量でも影響を及ぼすという印象を
受けます。
これは体外受精を受けるようなカップルでは、年齢をはじめ、アルコールの
影響が大きくなるような背景があるのかもしれません。
本当のところはわかりませんが。
━ アルコール摂取と妊娠させる力
男性のほうはそれほどの影響を及ぼさないようです。
1996~2007年にヨーロッパとアメリカの8,344名の男性のアルコールの摂
取量と精液所見の関係を調べた研究(6)があります。
それによりますと、対象者の内訳は、パートナーが妊娠経験のある1,872名
(18~45歳)と若い男性6,472名(18~28歳)でしたが、アルコール摂取
量と精液所見には関連性は見られまでした。
それどころかパートナーの男性がお酒を飲むほうが治療成績がよいとの報告
もあるのです。
体外受精に臨む男性パートナーのアルコール摂取と体外受精の妊娠率の関係
を調べた研究では、1日に22g以上のアルコールを飲む男性は3g未満の男性
に比べてパートナーの周期あたりの妊娠率が4.5倍だったとのこと。
驚きましたが、そもそも、お酒はタバコと違って、身体や心によい影響を及
ぼす面もあるようですので、妊娠にプラスに作用することもあり得るという
ことなのかもしれません。
いずれにしても男性にとっては適度な飲酒は問題ないと言えそうです。
━ 目安は「週に1日か2日、少量を」
このように、これまでの研究報告からアルコールの摂取量が多くなるほど妊
娠しづらくなることは明らかです。
ただし、一般に適量とされている量では相反する結果が報告されており妊娠
を希望される女性のための許容される(妊娠に影響しない範囲の)飲酒量を
設定することは困難です。
一方、体外受精の治療成績には少量でも影響を及ぼすようです。
そんな中でも、アメリカ生殖医学会やイギリス政府機関では妊娠を望む女性
のための飲酒量の目安やガイドラインを設けています。
まず、アメリカ生殖医学会では1日2ドリンク以下としています。アメリカ
の場合、1ドリンクは14グラムとされていますので1日28グラム以下と
なり、厚労省の一般向けの目安量を上回ります。
やはり、アルコールの処理能力の人種間の差が大きいのかもしれません。こ
れはあまり参考にはなりません。
一方、イギリスは厳格です。イギリスの政府機関であるNICE((National
Institute for Clinical Excellence)のガイドラインでは「週に
1~2回、1~2ユニットを超えないこと」となっています。
イギリスの基準飲酒量はユニットで1ユニットは8グラムです。ですから、
お酒は週に1回、多くても2回程度にしましょう。そして、その場合、アル
コール8グラムを目安にし、16グラムを超えないようにしましょう」とい
うことになります。
アルコール8~16グラムを、それぞれのお酒の種類で換算してみます。
・ビール(アルコール度数5度) 200~400ml
・ワイン(アルコール度数14度) 約72~144ml
・日本酒(アルコール度数15度) 約72~144ml
海外の目安をそのまま取り入れるのはナンセンスですが、より厳格なイギリ
スのガイドラインを参考にするのが無難だと思います。
「週に1日か、2日、少量を」ということになります。
あくまで、厳格な目安です。ただ、不妊治療を受けていて、気になるけれど
も飲みたいという方にとっては安心して楽しめるラインではあると思います。
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連載企画____________________________________________________________
納得して、美味しく、楽しく食べよう
~妊娠、出産にふさわしい「食」を考える
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この連載では、健康なお子さんの妊娠、出産を目指していらっしゃる皆さん
が、それにふさわしい体をつくるために、どのように食べたらいいのかとい
うことについての知識をお伝えし、日常生活で実践しやすい食事についてア
ドバイスさせていただきます。
第6回 アルコールとの上手な付き合い方
こんにちは。すっかりと気温が低くなりましたね。私は先日、家のドアにか
けているリースを秋のイメージからクリスマスのものへと衣替えしました。
そうこうしているうちに年末年始になります。人が集うことが増える時期で
す。お酒を楽しむこともしばしばあるでしょう。お酒は飲み方や飲む人の体
質によっては体に良くないことがありますが、ポイントをおさえれば気持ち
よく楽しめます。良い飲み方のポイントをご紹介します。
下記で該当している点がないかチェックをしてみてください:
・お酒を飲むとつい人様に迷惑をかけてしまう。
・お酒を飲んだ翌朝はすっきりと起床ができなかったり、朝食欲がない。
・翌日までお酒が残る。
・疲れがたまっている。
・健康診断で異常値がある。
・肥満やお腹周りが気になる。
5つ目の項目についてですが、アルコールの摂り過ぎによって健康診断で異
常値が出やすいのは肝臓の健康をみる項目(γ-GTP)、血中脂質(中性脂肪、
コレステロール)、尿酸値、糖代謝の項目(血糖値、ヘモグロビンA1c)、
高血圧などです。
いかがでしょうか。一つでも該当をしていれば飲み方を見直したいところ。
アルコールを定期的に摂取する人で飲酒量を今よりも控える必要がある場合
は、休肝日を設けると効果的です。お酒を控える日はアルコールフリーのド
リンクや炭酸飲料で代用するのがお勧めですよ。
お酒を飲むと太りがちな人は、おつまみでこってりとした料理や揚げものを
好んで良く食べる、〆にラーメンやデザートをがっちり食べる、酔って長時
間食べ続けるなどの傾向があります。反対に全く食べずに多量に飲酒をする
人もいます。その場合は肝臓に負担がかかり、疲労や病気のリスクが高まり
ます。お酒を飲むときは適度なつまみを摂りましょう。内容は栄養バランス
の良いものを。おすすめなのは和食です(ただし揚げ物は避けましょう)。
枝豆、焼き鳥、冷ややっこ、お刺身、野菜の煮物、鍋料理などが良いでしょ
う。アルコールの身体への影響を減らすために、飲み会の前にスポーツドリ
ンク、100%果汁ジュース、牛乳などで水分補給をしたり、飲み会の途中
でチェイサーを準備して水割りやお湯割りを楽しむのも良いアイデアです。
自宅でお酒を飲む人は缶入りの飲料を買うことがありますね。最近は発泡酒、
第3のビール、アルコールテイスト飲料など、様々な種類のアルコール飲料
が増えました。発泡酒と第3のビールは製造過程や原料が通常のビールと異
なるということと、酒税の関係でビールよりも価格が抑えられているのが大
きな特徴です。家計の負担がビールよりも軽くなるので自宅で晩酌を楽しむ
人の強い味方になるでしょう。
「カロリーオフ」、「糖質オフ」、「プリン体オフ」といった言葉が、パッ
ケージに書かれているものも多くなりました。牛乳が「普通牛乳」なのに対
して、低脂肪乳や無脂肪乳が「加工乳」と区分されるのと同様、製造過程で
なんらかの手が加えられている飲料になります。手が加えられているからと
いって不自然で体に悪いというわけではなく、むしろ、昨今の健康ブームに
のって、より様々な人のタイプに対応しているのでしょう。
ただ、いくら飲料に「カロリーオフ」、「ノンカロリー」と書かれているか
らといって、つまみや日中の食事、間食を気にしなければ肥満にならないの
かといったらそうではありません。日頃の食生活や運動を気に掛けるととも
に、先に述べたような健康的なつまみを摂ったり、自分にとって適度な量の
アルコールをたしなんだりして、楽しい時間をお過ごしください。
*この連載は月1回お届けしています。
▼著者プロフィール
山田聡子(やまだあきこ)
管理栄養士。日体協公認スポーツ栄養士。健康運動指導士。
現在、Jリーグ大宮アルディージャの専属栄養士として、また、これまで、
全日本男子柔道やプロスポーツ選手をスポーツ栄養士としてサポート。さら
に、一般の方への栄養サポートの他、専門学校や栄養セミナー講師として活
動中です。
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編集後記____________________________________________________________
おかげさまで、翻訳書「妊娠しやすい食生活」が重版になりました。全国
の書店で、細く長く、売れているようで、本当に嬉しい限りです。
「食べること」は、本当に大切です。
卵子や精子、そして、受精卵、胚、胎児と、それぞれの段階の新しい命は、
私たちが食べて取り入れた栄養素を使って、刻々と、活発に、育っていく
わけですからね。
新しい命が成育するエネルギーも、新しい命の材料も、すべて、私たちが
食べたもので出来ているのです。
つまり、私たちの食生活なり、だということです。
そのために、正しい情報に接してもらいたい、そう願い、ハーバード大学
のチャバロ先生がそれまでの研究成果をもとに書かれた本を翻訳しました。
よければ、是非、お読みください。
http://www.akanbou.com/shoku/
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.597
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整
理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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◎発行部数
・自社配信: 1,704部
・まぐまぐ: 4,101部
・合計部数: 5,805部(11月23日現在)
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