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VOL.603 自然な老化と不自然な老化

2015年01月04日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.603 2015/1/4
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今週の内容__________________________________________________________

・2015年を迎えて:自然な老化と不自然な老化
・編集後記


2015年を迎えて Jan.2015_________________________________________
 
 自然な老化と不自然な老化
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毎年、ICMART(高度生殖補助医療モニタリング国際委員会)という組織
が世界の国々の体外受精や顕微授精の実施数や治療成績を発表しています
が、昨年末に2007年の集計結果が発表されました。

それによると、2007年も、日本は体外受精の治療周期数が世界で最も
多く、治療あたりの成功率が世界で最も低い国でした。

これは、ひとえに患者の年齢によるもので、卵子提供がまだまだ一般的で
ない日本では、どうしても成功率の低い治療を繰り返し、妊娠を目指さざ
るを得ないという状況にあることを、はっきりと、物語っています。

世界最高レベルにあるとされている日本の生殖補助医療をもってしても、
年齢的な問題、すなわち、「卵子の老化」を克服することができないとい
うことを物語っているとも言えます。

2015年においても、卵子の老化をどう受け止め、どう対処すべきかは、
30代半ば以降で体外受精に臨むカップルにとって、避けては通れない、
最も重要なテーマだと思います。

そこで、2015年のはじめての妊カラでは、老化について2つの観点か
ら考えてみたいと思います。

まず、老化の進み方について。

当たり前のことですが、そもそも、老化は時間がたつことで、私たちの体
に起こるさまざまな働きの低下のことです。

ですから、時間を逆転させることが出来ないように、老化したものを元に
戻すことは出来ません。

ただし、老化は、あくまで、生き物の「個体」に起こる変化で、個体差が
あると言われています。

つまり、細胞ごとに起こる変化であり、細胞ごとに老化の進み具合が異な
るということです。

卵子の老化で言えば、卵巣内に存在するすべての卵子が同じように老化が
進むわけではなく、老化が遅く、若々しい卵子や老化が進み、生命力の低
下した卵子が混在しているということになります。

そのため、若々しい卵子が生育し、排卵してくれば(採卵できれば)、妊
娠できる可能性が高くなり、老化が進んだ卵子が生育し、排卵すれば(採
卵されれば)、妊娠の可能性は低くなるというわけです。

ここで、知っておきたいことは、長い眠りからホルモンに促され、生育し
てくるのは、全くのランダム(偶然)で、決して、若々しい卵子から生育
してくる(採卵される)わけではないということ。

つまり、卵巣には卵子の質のよしあしを選別する働きはないということで
す。

ですから、どんな卵子が排卵される(採卵される)かを支配するのは「運」
ということになります。

次に老化の種類について。

老化には「自然な老化」と「不自然な老化」があります。

そして、自然な老化は個体を守ってくれる面がありますが、不自然な老化
では、老化のスピードが早く、個体に不要なダメージを与える面がありま
す。

また、自然な老化は喜んで受け入れるべきもので、不自然な老化はできれ
ば避けたいものと言えるかもしれません。

それでは、なにが老化を不自然にはやめてしまうのでしょう?

これまでの抗加齢医学の研究でわかっていることがいくつもあります。

一言で言えば「バランス」です。

食(栄養)、動き(運動)、休息(睡眠)のバランスがとれた状態では自
然に老化が進み、それらのバランスがとれていない状態では老化が不自然
に早まるというものです。

栄養(5大栄養素)や運動、休息は不足しても、過剰になっても老化を早
め、休息は不足しても、老化を早めてしまうというわけです。

いくら身体によいと言われているからといって、特定の成分や食材をとっ
たり、特定の生活習慣に固執すると、かえって、バランスを崩してしまい
かねません。

卵子の老化で言えば、卵子や受精卵、胚の生育環境を整えるために栄養や
運動、休息のバランスを心がけることは自分でコントロールできることと
言えるかもしれません。

もう一つ、一番大切だと思うこと。

自然な老化は、異常なことでも、ましてや病気でもない、生き物の自然な
なりゆきです。

自然な老化を肯定的に観る、すなわち、身体の働きの低下以上に、経験に
よって得られるものに喜びや価値を見出すという生き方も、若々しさを保
つことに寄与するのかもしれません。

老化を早めることは、ある意味、「生」を粗末にすることになり、自然な
老化を受け入れ、そこに喜びや価値を見出すことは「生」を大切にすると
いうことになると信じます。

今年も「生」を大切にし、「生」に感謝する、そんな年にしたいと思いま
す。

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編集後記____________________________________________________________

今年もあかるく、よい年にしましょう!

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