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妊娠しやすいカラダづくり No.605 2015/1/18
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・最新ニュース解説:大豆食品の摂取と体外受精の治療成績
・お知らせ:「体外受精のためのヨガセラピー」受講申込受付中
・私たちが運営するサイト
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2015年1月13日 最新ニュース
大豆食品の摂取と体外受精や顕微授精の治療成績との関係
http://www.akanbou.com/news/news.2015011301.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
最新ニュース解説 Jan.2015___________________________________________
大豆食品の摂取と体外受精の治療成績
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エストロゲン(卵胞ホルモン)に似た働きをする物質が植物に含まれてい
て植物性エストロゲンと呼ばれています。最もなじみのあるのが大豆に含
まれるイソフラボンでしょう。
大豆食品には植物性エストロゲンが含まているので、とにかくたくさん食
べればいいのではないかということで、たとえば、大きくなる卵胞からエ
ストロゲンが分泌され、子宮内膜を厚くすることから、卵胞(低温)期に
豆乳を毎日飲めばいいとか、大豆食品だけでなく、イソフラボンそのもの
をサプリメントで摂ればいいとか、大豆イソフラボンにまつわる話はいろ
いろとあります。私たちのところにも多くの質問や相談が寄せられます。
そんな中、翻訳書「妊娠しやすい食生活」の原著者であるハーバード公衆
衛生大学院のチャバロ先生の研究チームが、「大豆食品の摂取と体外受精
の治療成績との関連」についての研究結果を発表してくれました。
結論は「普通に大豆食品を食べていれば十分」であるというものでした。
━ 大豆食品はたくさん食べるほど治療成績が高くなるのか?
ハーバード大学の関連病院のマサチューセッツ総合病院で体外受精に臨む
315名の女性に治療開始時直近の3ヶ月間の大豆食品の摂取量を回答し
てもらい、その後の治療成績との関係を調べました。
まず、大豆食品の摂取量とそこから算出したイソフラボンの摂取量別に、
イソフラボン摂取量ゼロ、摂取量(低)、摂取量(中)、摂取量(高)の
4つのグループにわけました。
各グループの1日あたりのイソフラボン摂取量
・イソフラボン摂取量(低)グループ:0.54-2.63mg/日
・イソフラボン摂取量(中)グループ:2.64-7.55mg/日
・イソフラボン摂取量(高)グループ:7.55-27.89mg/日
出産率をイソフラボン摂取量ゼロのグループと比べた結果
・イソフラボン摂取量(低)グループ:1.32倍
・イソフラボン摂取量(中)グループ:1.87倍
・イソフラボン摂取量(高)グループ:1.77倍
一目瞭然ですね。
大豆食品は食べない女性よりも食べた女性のほうが体外受精や顕微授精の
出産率が高くなっています。
ただし、摂取量の中グループと高グループの出産率はほぼ同じレベルです
ので、たくさん食べれば食べるほど治療成績が上がっていくわけでもない
と言えます。
ハーバード大学の研究は、もちろん、アメリカ人女性を対象にしたもので
す。そもそも、豆腐や納豆、お味噌といった大豆食品は日本の伝統食で、
毎日、口にしている人も多いと思います。
日本人のイソフラボン摂取量は厚生労働省の国民健康栄養調査では1日に
16~22mgで、今回の研究ではイソフラボン摂取量(高)グループになり
ます。
日本人にとっても、大豆食品は「普通に」普段の食事で食べていればそれ
で十分であり、大豆食品だけを増やす必要はないと言えます。
━ イソフラボンは補充すべきか?
それでは、イソフラボンを補充することについてはどうでしょう?
イソフラボンのサプリメントと不妊治療の治療成績との関係を調べた研究
報告が2件あります。
1件はクロミフェン(排卵誘発剤)でタイミング指導を受けている原因不
明不妊女性147名を対象にした試験で、クロミフェンにイソフラボンを併
用した場合と併用しなかった場合の妊娠率を比較しています。
1日120mgのイソフラボンを摂取したグループとしなかったグループの妊
娠率は36.7%と13.6%だったというもの。
もう1つは体外受精を受けている213名の女性に黄体補充時期に1日1500
mgのイソフラボンのサプリメントかプラセボ(偽薬)を飲んでもらったと
ころ妊娠率は30.3%と16.2%で、イソフラボンを飲んだグループのほう
が約2倍の妊娠率だったというものです。
いずれの試験でもイソフラボンのサプリメントを服用したほうが治療成績
が高かったというのですが、結果の解釈には注意が必要です。
それは、いずれも治療の補助として明確な使用目的があったというもので
す。1つはクロミフェンという排卵誘発剤と併用し、クロミフェンの抗エ
ストロゲン作用による副作用を回避しようというものです。もう1つは、
体外受精の胚移植後の黄体補充のサポートとして使われています。
そして、1日の摂取量が120mgと1500mgと大量です。
要するに、イソフラボンのサプリメントはドクターが必要と認めた場合に
それ相応の量で使うことで効果が得られるかもしれないと解釈すべきです。
自己判断で、かつ、安全とされている量で使うことの有効性は不明です。
━ 食品安全委員会の見解は?
日本ではこれまで内閣府の食品安全委員会が厚生労働省の要請を受けて、
大豆イソフラボンの安全な摂取量を示しています。
イソフラボンのサプリメントを使うことで月経周期が乱れるなどの健康被
害が起こったとする報告されていたからです。
その基準は以下の通りです。
大豆イソフラボンの1日の摂取目安量の上限値:70~75mg/日
イソフラボンサプリメントによる摂取量上限値:30mg/日
この上限値をどのように受け止めればいいのでしょうか?
実際に100gの大豆食品に含まれているイソフラボンの平均含有量は以下の
通りです。
豆腐一丁 60~80mg
納豆1パック 30~35mg
油揚げ1枚 8~16mg
豆乳200ml 52mg
いかがでしょうか。普段の食事だけで1日の上限値に達しそうな方も少なく
ないと思います。
要するにイソフラボンを食事以外に補充する必要はないということになりま
す。
━ 大豆食品で食べることのメリットは計り知れない
そもそも、イソフラボンは、多種多様な大豆食品を食べることで摂取するも
のです。
大豆食品にはイソフラボンだけでなく、植物性たんぱく質やカルシウムをは
じめとしてさまざまな成分と渾然一体となった状態で存在するわけです。
食事には「塊」を摂ることの相乗作用がついてきます。
ところが、イソフラボンだけを濃縮してたくさん摂ることで、食品では得ら
れなかった「効果」を得ることができることもありますが、食品では起こり
得なかった「マイナスのこと」も起こり得るようです。
大豆イソフラボンは食品に存在する形態そのままで吸収されるわけではあり
ません。腸内細菌によって分解され、「アグリコン型」になって体内に吸収
されるとされています。このような成分は少なくありません。
そのままで体内に吸収されないのは、おそらく、調節機能が働くからでしょ
う。
人間の精密な働きは驚異的です。
私たちに備わった力を信じたいと思います。
そもそも、イソフラボンは5大栄養素のような必須栄養素ではなく、不足す
れば代謝障害が起こるわけではありません。
バランスよく食べることに尽きると思います。
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ヨガ」をベースにしたプログラムです。
体外受精の補完療法とか、リストラティブヨガとか、わかりづらいところが
あると思いますので、以下のページで解説しています。
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http://funinavi.edia.ne.jp/index.html
編集後記____________________________________________________________
今週の特集はいかがでしたでしょうか?
栄養と生殖活動の関連を研究し続けているハーバード大学のチャバロ先生の
グループも大豆食品には以前から注目されていました。
今回ご紹介した論文のことも、昨年、ハワイで開催されたアメリカ生殖医学
会でお目にかかった際にもお話しされていて日本人の伝統食には敬意を払っ
ているとおっしゃっていたのが印象的でした。
わざわざ、大量の大豆食品を食べたり、イソフラボンを摂取したりするのは
リスキーだとのことでした。
和食文化をあらためて見直し、大切にしたいと思いました。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.605
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理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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