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VOL.606 葉酸サプリメントを選ぶ際のポイント

2015年01月25日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.606 2015/1/25
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今週の内容__________________________________________________________

・今月の特集:妊娠前、妊娠中の葉酸サプリメントを選ぶポイント
・連載企画:第8回 健康的に体重を増やす食べ方
・お知らせ:「体外受精のためのヨガセラピー」受講申込受付中
・私たちが運営するサイト
・編集後記


今月の特集 Jan.2015_________________________________________________

 妊娠前、妊娠中の葉酸サプリメントを選ぶポイント
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葉酸はビタミンB群の一つで、DNAの合成や修復、働きに深く関与してい
ることから、妊娠、出産の際の最重要ビタミンであると言えます。

細胞が分裂、増殖する際に、DNAが正確に複製されなければなりません。

そして、妊娠時には細胞が最も活発に分裂する時期ですから、当然、葉酸の
必要量、重要度が跳ね上がります。

もしも、葉酸が不足すると胎児の神経管閉鎖障害などの先天異常のリスクが
高くなることがわかっています。

ところが、そんな重要な役割を担っているにもかかわらず、食事だけでは必
要量を摂り切れないビタミンでもあります。

そのため、アメリカでは、小麦粉やシリアルなどに葉酸を添加するように法
律で決めています。つまり、強制的に葉酸を補充させているわけです。日本
では、そこまでは介入していませんが、厚生労働省は妊娠前から1日400
マイクグラムの葉酸をサプリメントで摂るように推奨しています。

翻訳書「妊娠しやすい食生活」の原著者であるハーバード公衆衛生大学院の
チャバロ先生の研究チームは、葉酸の摂取量の多い女性ほど体外受精や顕微
授精の治療成績が良好であったという研究結果を昨年の秋に発表しています。
http://www.akanbou.com/news/news.2014091401.html

そのため、私たちはお子さんを望む女性がサプリメントで栄養素を補充する
のであれば、最低限、この葉酸を摂ることをお勧めしています。

ただ、この数年、大切な時期に服用するので、品質が高く、安心して飲める
サプリメントを選びたいという女性が増えていて、多くの質問や相談が寄せ
られます。

そこで、よくある質問にお答えする形で、妊娠前、妊娠中の葉酸サプリメン
トを選ぶポイントを整理してみました。

━ 天然の葉酸がいいの?

天然の葉酸、すなわち、野菜や果物中の葉酸は吸収されにくいので、原料と
してはふさわしくありません。また、そもそも、野菜や果物から抽出した葉
酸の原料はサプリメントの原料として存在しません。

食べ物中に存在する葉酸は「ポリグルタミン酸型」といって、グルタミン酸
が複数結合している形になっているため、そのままでは消化器官から吸収さ
れません。

ポリグルタミン酸型の葉酸は、酵素によって、グルタミン酸が切り離され、
「モノグルタミン酸型」葉酸になってはじめて吸収されるようになります。

食事だけでは葉酸が不足しやすい理由の一つです。

そのため、サプリメントの原料としてベターなのはモノグルタミン酸型葉酸、
すなわち、合成の葉酸ということになります。

前述した通り、現在、葉酸のサプリメントを製造する際に原料として使える
のは合成葉酸(モノグルタミン酸型)と葉酸含有酵母(モノグルタミン酸型
葉酸を酵母に取り込ませた形態)の2つです。

合成葉酸は製造レベルが低いと生体が活用できない形態の葉酸が含まれるこ
とがありますが、葉酸含有酵母では酵母に取り込まれているのでそのような
心配はありません。合成葉酸の場合は高い製造技術でつくらたものを選ぶこ
とが大切です。

因みに、厚労省が推奨するのはモノグルタミン酸型葉酸です。また、これま
での臨床研究もモノグルタミン酸型が使われていることも付け加えておきま
す。

━ 合成葉酸は子どものアレルギーのリスクが高くなると聞いたので心配

適正な量(400~800マイクログラム)であれば心配ありません。

論拠は、妊娠中期以降に多量の葉酸をサプリメントで摂ると子どもに喘息が
多く出現したという研究報告のことだと思います。

ただし、子どもに喘息のリスクが高くなるかどうかは、葉酸の原料(合成か
天然か)ではなく、葉酸の量です。

前述の通り、葉酸はDNAの働き(発現)にも関与しています。そのため、
葉酸は不足しても、過剰になっても、不都合なことは起こり得るのです。

因みに厚生労働省は食事摂取基準で葉酸をサプリメントで摂る場合の上限量
を1000マイクログラムとしています。この範囲内であれば心配ありませ
ん。

また、繰り返しになりますが、現在、葉酸の原料は合成葉酸か、合成葉酸を
酵母に取り込ませた葉酸含有酵母の2つしかなく、天然原料を使用したサプ
リメントという選択肢は、そもそも、存在しません。

━ 葉酸の他に栄養素が入っていたほうがいいの?

1日に400マイクログラム以上のモノグルタミン酸型葉酸(合成葉酸)を
補充することで出生児の神経管閉鎖障害などの先天異常のリスクが70%低
減するという確立されたエビデンスがあります。

そのため、葉酸だけでもよいのですが、葉酸にビタミンB6、12がブレン
ドされているとベターです。

なぜなら、葉酸はビタミンB群の仲間で、チームで働くという性質があるか
らです。

B6とB12と一緒のほうがホモシステインという「悪玉アミノ酸」を分解
する働きが高くなることがわかっています。

ホモシステインは卵質を悪くしたり、流産や早産のリスクを高めたりすると
いう研究報告があります。

また、そもそも論なのですが、葉酸が不足しやすい遺伝傾向にある人が日本
人の約15%いると言われています。

遺伝的に葉酸をうまく利用できないのですが、もちろん、そのような体質で
も、サプリメントで葉酸を1日400マイクログラム以上補充すれば問題あ
りません。

ただ、そのような遺伝傾向をもった方はホモシステインを変換する力も低い
ことがわかっていますので、葉酸+B6+B12のチームで補充するほうが
ベターです。

━ 葉酸のサプリメントを摂るとお腹がゴロゴロなるのですが

葉酸のサプリメントをつくる場合、葉酸の量はマイクログラム単位なので極
微量で、ほこりみたいなものです。

そのため粒やカプセルにすると、ほとんど添加物になってしまいます。

そして、添加物として「乳糖」が使わていることがあります。乳糖は牛乳に
含まれているのですが、日本人には「乳糖不耐症」の方が多くいて、そんな
方は牛乳を飲んだり、乳糖を摂るとお腹がゴロゴロなります。

━ 添加物が心配です

前述の通り、葉酸そのものは、超微量なので、葉酸のサプリメントをつくる
場合、タブレットやカプセルの隙間を添加物で埋めざるを得ません。

そのため普通につくると99.999%は添加物になってしまいます。

もちろん、前述の通り、どんな添加物が使われているのかラベルでチェック
することが大切ですが、やはり、少しでも不要なものは摂りたくないと思わ
れ方も少なくないと思います。

その場合は、タブレットやカプセルの隙間を添加物ではなく、さほどコスト
に反映せずに、意味のある栄養素で埋めているものを選ぶのがよいと思いま
す。

━ おわりに

最近多く寄せられている質問をピックアップしました。おそらく、葉酸のサ
プリメントについてのさまざまな情報がネット上にあふれているからだと思
います。

医薬品と違い、サプリメントはなんの規制もありません。厚生労働省は妊娠
の可能性のある女性に葉酸のサプリメントを摂るように推奨いていますが、
製品を選ぶのは自己責任にまかせますというのが行政の考え方です。

医薬品は命にかかわるので、国が規制し、国民を守っていますが、サプリメ
ントは医薬品ほどリスクが大きくないので、そこまでやる必要はないという
ことです。

ただ、サプリメントといえども、品質の良し悪しはあります。ましてや、妊
娠前、妊娠中という大切な時期に飲むものです。

だからこそ、自分で情報を取捨選択し、自分で理解し、納得のいくものを選
ぶことが大切だと思います。

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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連載企画____________________________________________________________

 納得して、美味しく、楽しく食べよう
 ~妊娠、出産にふさわしい「食」を考える
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この連載では、健康なお子さんの妊娠、出産を目指していらっしゃる皆さん
が、それにふさわしい体をつくるために、どのように食べたらいいのかとい
うことについての知識をお伝えし、日常生活で実践しやすい食事についてア
ドバイスさせていただきます。

第8回 健康的に体重を増やす食べ方

皆さん、こんにちは。お正月が明けて日常の生活リズムを取り戻しつつある
今日この頃ですね。いかがお過ごしでしょうか。私が住む関東ではまだ寒い
日が続いていて、インフルエンザや風邪が猛威を振るっています。健康管理
には気を付けましょう。その一方でわずかですが以前よりも日が長くなった
り、旬のいよかんの香りをかいだりすると春の訪れも感じてきます。

さて前回の記事では減量をテーマにしましたが、今回はその反対、増量につ
いてお伝えします。体重を増やすべき人がより健康的に増量するためにはど
うしたらいいのでしょうか。

まずは前回同様、ご自身のBMIを確認して現状把握をしましょう。BMI
は体重÷身長(m)×身長(m)で算出ができ、18.5未満だと「やせ」に分
類されます。ただし、「やせ」に分類されたとしても過去の体重の推移が成
人後大きな変動はなく、健康診断などでも異常がないようであればそれほど
心配をする必要はありません。妊娠のためにもう少し体重を増やした方がい
いとアドバイスをもらった方や、ここ数か月で3kg以上体重が意図せず落ち
てしまった方などは体重キープや増量を検討しましょう。

増量の大鉄則は、摂取カロリー(飲食で得られるカロリー)が消費カロリー
(主に動いて燃えるカロリー)を上回ることです。でもその前に行ってほし
いことがあります。

それは胃腸を良い状態に保つことです。

いくらがんばってたくさん食べたとしても、食べたものがきちんと消化・吸
収できなければ増量はおろか体に負担をかけてしまいます。

せっかくがんばるのであれば実になることを行いましょう。

私はかなり体格が良いので増量をする必要はありませんが、胃腸が弱く、す
ぐにお腹を壊してしまうのが悩みでした。その悩みを解決するために行った
のは、ある一定期間記録をとることです。数ヶ月間毎日食べたものとその日
の体調、体重、体脂肪率などを記録し、月末が来たら記録の見直しを行いま
した。

そうすると発見があり、ある食材を口にすると必ずお腹を壊していることが
分かったのです。それらの食材は、脂ののった牛肉とひじきでした。味は大
好きなのですが体が受け付けないようです。そこでこれらの食材を口にする
機会を減らしたところ、お腹を壊す回数も劇的に減りました。胃腸の健康に
影響を与えるものは食品以外にもあります。体の疲れ、睡眠不足、脱水、冷
え、精神的ストレスなど。まずは自分がどのような時に胃腸の調子が悪いの
かを突き止めて解決をし、なるべく良い状態を継続できるようにしましょう。

胃腸の健康が維持できるようになったら、次にすることは食事量を今よりも
増やすことです。

一度にたくさんの食事量をとるよりは、食べる回数を分け、一日トータルで
考えて以前よりもたくさん食べられるようにしましょう。まずは1日3食の
食事を欠かさないことです。もちろん食事の内容は「栄養フルコース型」の
食事「(1)主食、(2)おかず、(3)野菜、(4)果物、(5)牛乳、
乳製品」を。

急に品数を増やすのが難しい場合は、できる範囲内から増やしていくことか
らでOKです。今まで昼食を食べなかった人が、うどんを食べるようになり、
そのうどんに具をプラスして月見うどんにするなど、、、。食べなかった時
と比べたら栄養状態が断然改善していきます。無理のないようにがんばって
いきましょう。

3食確保できるようになったら、次は間食をとってみましょう。

食事と食事の間が長い時に何かを口にすると良いでしょう。なるべく食事も
間食も時間を決めると食べることが習慣になりやすく、食事摂取量を保つこ
とにつながります。間食はお菓子を食べるタイミングではなく、食事で摂り
きれなかったものを摂る小さな食事です。内容のお勧めはナッツ、ドライフ
ルーツ、牛乳、ヨーグルト、小ぶりのおにぎり、焼きもち、肉まん、果汁
100%のジュースや野菜汁と果汁があわさった100%ジュースなど。

ものを食べる時は良く噛んであわてずに食べましょう。

ゆっくりと食べると少量でお腹がたくさんになってしまいますね。でもあわ
てて食べると噛む回数が減り、消化不良を起こします。元気になる栄養をい
ただきます、という感謝の気持ちを込めて楽しみながら召し上がってくださ
い。一度に全部食べられなかった時は食べ物を残し、違うタイミングでまた
口にしましょう。

体重の増量幅ですが、理想体重の5%以上は1か月以内に増やさないように
しましょう。これは急に体重を増やして内臓や関節などに負担をかけたくな
いためです。

また、食事を増やしながら運動も心掛けていただくといいですね。有酸素運
動は余分な体脂肪が増えるのを防いでくれますし、筋肉に刺激を与えるよう
なトレーニングは筋力アップにつながります。体を動かすと適度に空腹を感
じますので、疲れない程度の軽い運動をお勧めします。

*この連載は月1回お届けしています。

▼著者プロフィール
山田聡子(やまだあきこ)
管理栄養士。日体協公認スポーツ栄養士。健康運動指導士。これまで、全日
本男子柔道やプロスポーツ選手をスポーツ栄養士としてサポート。さらに、
一般の方への栄養サポートの他、専門学校や栄養セミナー講師として活動中。
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体外受精に臨む女性の"リラックス"をお手伝いするプロジェクト________

「体外受精のためのヨガセラピー」受講申込受付中!
 http://www.akanbou.com/yoga/
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体外受精のためのヨガセラピーを開催しています。

体外受精のヨガセラピーとは体外受精の補完療法として、「リストラティブ
ヨガ」をベースにしたプログラムです。

体外受精の補完療法とか、リストラティブヨガとか、わかりづらいところが
あると思いますので、以下のページで解説しています。
http://www.akanbou.com/yoga/idea.html

体外受精を受けていらっしゃる方、計画していらっしゃる方だけでなく、不
妊治療を受けていない方も大歓迎です。

受講の申込を受け付けています。コース内容の詳細や受講に関して、ご不明
な点等ありましたらお気軽にお問い合わせください。

とにかく、本当のリラックス状態を経験してみてください。

▼体外受精のためのヨガセラピー公式サイト
http://www.akanbou.com/yoga/

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ヨガセラピーに関してのお問い合わせは下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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私たちが運営しているサイト__________________________________________

▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
http://www.akanbou.com/

▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 ~ ふたりで知っておきたいオトコのこと」
http://www.akanbou.com/dansei-funin/

▼お子さんを望まれるふたりのためのサプリメント
→「BABY&ME」
http://babyandme.jp/

▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html


編集後記____________________________________________________________

太り過ぎると妊娠しづらくなりますが、やせ過ぎてもよくありません。実
際、アメリカやヨーロッパと比べて、日本では肥満よりも、「やせ」が現
実的な問題です。

その中でも、やせようとしてやせているケースもあれば、太りたいけども
太れないというケースもあるようです。

そんな方に、今回の記事が参考になればと思います。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.606
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします
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理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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