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妊娠しやすいカラダづくり No.608 2015/2/8
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・今月の特集:水銀の妊娠する力や赤ちゃんへの影響について考える
・お知らせ(1):横浜市妊活セミナー
・お知らせ(2):体外受精のためのヨガセラピー
・私たちが運営するサイト
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2015年2月7日 最新ニュース
毛髪水銀濃度と体外受精の治療成績の関係
http://www.akanbou.com/news/news.2015020701.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
今月の特集 Feb.2015_________________________________________________
水銀の妊娠する力や赤ちゃんへの影響について考える
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水銀やカドミウム、ヒ素、鉛などの有害な重金属は女性や男性の生殖機能に
影響を及ぼす可能性があるとの研究報告があります。
それらは知らず知らずのうちに私たちの体内に取り込まれることから、漠然
とした不安を抱いてしまいがちです。特に、水銀(メチル水銀)は魚に含ま
れていて、妊婦にとってはおなかの赤ちゃんにも影響を及ぼすかもしれない
と聞くと、なおさらのことです。
そこで、今月は「水銀の妊娠する力や赤ちゃんへの影響について」まとめて
みました。
━ 注意すべきは魚からのメチル水銀
水銀には大きく金属水銀、無機水銀、有機水銀(メチル水銀)の3つの形態
にわけられ、自然環境中ではこれらの間で互いに変化しています。この中で
日常生活で身体に取り込む可能性が大きいのは魚からのメチル水銀です。
それは、海中にわずかに溶けている無機水銀の一部が水中の特殊な細菌の働
きによってメチル水銀に変わり、それが生態系の食物連鎖によって魚介類な
どの生き物に蓄積するからです。そのため、小さくて、草食の魚よりも、大
きな肉食の魚のほうがメチル水銀濃度が高くなります。
そして、私たちが魚を食べると、微量ですがメチル水銀が身体に入ってくる
というわけです。
━ 神経系が発育中のおなかの赤ちゃんに影響を与える可能性
体内に取り込まれたメチル水銀はアミノ酸の一種であるシステインと結合し、
別のアミノ酸であるメチオニンとよく似た構造になり、消化管から吸収され
ます。
通常、脳や胎児は体内に入り込んだ有害物質から守られるように脳の入り口
や胎盤を通過させないようになっているのですが、メチオニンは重要な必須
アミノ酸で、脳や胎児に欠かせないので、システインと結合したメチル水銀
もメチオニンと間違って簡単に通してしまうのです。
そのため過剰なメチル水銀を摂ると水俣病のような神経系の障害が発症して
しまうことになるのです。
一方、胎児にはメチル水銀を排泄できないので、母親よりの血中濃度よりも
高くなり、神経系が発育途上であるため、その影響を受けやすくなり、その
濃度によっては言語力や注意力などの低下としてあらわれるおそれがあると
いうわけです。
ただし、出生後はすでに神経系は出来上がっていますので心配する必要はあ
りません。また,メチル水銀は母乳中には出にくいことがわかっていますの
で、授乳中も心配はありません。
注意が必要なのは神経系が発育途上にある胎児です。
━ メチル水銀と妊娠する力(体外受精の治療成績)の関係
まずは、メチル水銀と体外受精の治療成績の関係を調べた研究報告がいくつ
かあります。
メチル水銀濃度は血中濃度を調べているものもありますが、多くは毛髪の濃
度を測定しています。髪の毛や爪をつくっておるたんぱく質にもシステイン
が多く含まれるためメチル水銀は髪の毛に出てくるからです。
ハーバード公衆衛生大学院が関連病院のマサチューセッツ総合病院で実施し
ている臨床試験が水銀と体外受精の治療成績への影響について象徴するよう
な研究報告のように思います。
それは、体外受精を受けている女性を対象に、毛髪水銀濃度と治療成績の関
係を調べたもので、2004年の12月にスタートし、現在です。
2010年に1回目の報告がなされ、次に2011年、そして、2015年、
つい最近、3回目の結果が報告されました。
1回目の被験者数は120名の170周期を対象としたもので、毛髪水銀の
濃度が高い女性ほど胚盤胞到達率が高かったという結果でした。予期せぬ結
果でした。
また、2回目は195名の271周期になり、今度は水銀濃度が高い女性ほ
ど受精率が低かったという結果で、1回目と相反するものでした。
そして、3回目は205名の229周期で、水銀濃度と治療成績には関連性
が見られなかったというものでした。
要は、同じ試験であるにもかかわらず、対象者と周期数が増えていく度に、
異なる結果が出たわけです。
研究チームはオメガ3脂肪酸の影響を指摘しています。
この試験では同時に魚の摂取状況についても調べていて、毎回、魚の摂取量
が多い女性ほど毛髪水銀濃度が高かったことを確かめています。
オメガ3脂肪酸は妊娠、出産に必須な脂肪酸で、胚の正常な発育に欠かせな
い働きを担っていることが知られていて、オメガ3脂肪酸をよく摂り、また、
オメガ6脂肪酸に対するオメガ3脂肪酸の比率が高いほど、胚の発育が良好
であるとの報告がなされています。
要するに有害なメチル水銀の摂取源である魚には「同時に」大切なオメガ3
脂肪酸も豊富に含まれているということになり、そのために被験者数が多く
なる度に異なる結果が出たのではないかというわけです。
━ メチル水銀と赤ちゃんの健康の関係
実は妊婦の水銀濃度と赤ちゃんの発育との関係も同じようなことが言えるの
です。
こちらは、妊婦の食事由来の低濃度メチル水銀がその後の子の発育に与える
影響を調べた調査研究として、デンマーク領フェロー諸島前向き研究とセイ
シェル小児発達研究があります。
魚を比較的よく食べる地域の妊婦を対象に長期間に渡って子どもへの影響を
調べているのですが、例によって、相反する結果が出たことから大きな論争
を巻き起こしたことが知られています。
セイシェル小児発達研究の最新の報告では、水銀濃度と子の神経発達に直接
の関連は見られなかったものの、オメガ3脂肪酸の濃度が高かったグループ
の母親は水銀濃度も高かったにもかかわらず、子の運動発達指標が高かった
ことがわかったというのです。
ただし、多価不飽和脂肪酸であるオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の比
率が高かった母親の子どもだけは、水銀の濃度が高くなるほど運動発達指標
が低くなる傾向が見られたこともわかったとのこと。
胎児の発育への影響も同様に、メチル水銀は胎児の神経系の発育のはマイナ
スの影響を及ぼすものの、同時に摂取するオメガ3脂肪酸は胎児の神経系の
発育に必須の脂肪酸であるので、魚をよく食べて、水銀濃度の高い女性の子
どもには、時としてマイナスの影響が出ることがあり、時としてプラスの影
響が出ることもあるというわけです。
━ なにをどう注意すべきなのか(1)
研究報告の結果だけを見ているとよくわからないという印象を持ってしまう
かもしれませんが、メチル水銀は妊娠や胎児の発育には有害であり、オメガ
3脂肪酸は妊娠や胎児の発育には欠かせない栄養素であることは間違いあり
ません。
そのため、水銀が含まれているからといって、魚を全く食べないということ
は得策ではありません。
知っておかなければならないのは全ての魚に同じように水銀が含まれている
わけではありません。
海中の生態系の食物連鎖によって蓄積するわけですから、食物連鎖の上位に
いる魚ほど多くの水銀が蓄積することになります。
厚生労働省は以下の通りです。
+)注意が必要な魚(1週間に刺身1人前、切身1切れ以内に)
キンメダイ、ツチクジラ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチ(メ
バチマグロ)、エッチュウバイガイ、マッコウクジラ
+)注意が必要な魚(1週間に刺身半人前、切身2分の1切れ以内に)
キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ(インドマグロ)、ヨシキリ
ザメ、イシイルカ、クロムツ
○)特に注意が必要でない魚
キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サン
マ、タイ、ブリ、カツオなど
一目瞭然ですね。
マグロなどは1〜2週間に1回以下にしたほうが無難ですが、サケやアジ、
サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなどのポピュラーな魚は心配せ
ずに、食べても大丈夫なようです。
むしろ、積極的に食べるべきです。
━ なにをどう注意すべきなのか(2)
有害な物質は水銀だけではありません。また、私たちの身体にどのように取
り込まれるのか、完全に把握し、取らないようにすることは困難です。
であれば、排泄力を高めるほうが現実的です。
有害な重金属の排泄経路は、だいたい、呼気、尿、便、汗などです。
ですから、複式呼吸など、深く、ゆっくりとした呼吸を習慣化すること、有
酸素運動で汗をかくことを習慣化すること、食物繊維や乳酸菌などで腸内環
境を整え、快便を習慣化することで、排泄力は高まるはずです。
端的に言えば、バランスのよい食生活や適度な運動、適度な休息という、至
極あたりまえな生活習慣を通して、生活の質を高めることが大切だという結
論になるというわけです。
・厚生労働省「これからママになるあなたへお魚について知っておいてほし
いこと」
http://urx2.nu/h6QH
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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
編集室からのお知らせ________________________________________________
横浜市妊活セミナーのご案内
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横浜市こども青少年局は、「いつかは」、「今すぐ」こどもが欲しい方、そ
れを応援したい方を対象に、妊娠・出産に関する啓発イベントを開催します。
専門医師2名による講演会をはじめ、不妊に悩む当時者同士でのおしゃべり
会や不妊症看護認定看護師、認定臨床エンブリオロジスト(胚培養士)によ
る個別相談も実施します。
開催概要は以下の通りです。
開催日時:平成27年2月22日(日)12:30開演(12:00受付開始)
開催場所:横浜情報文化センター6F情文ホール
http://www.idec.or.jp/shisetsu/jouhou/access.php
対 象 者:妊活に関心のある方(市内市外、男女問わず)
*小学生以下の方は、ご入場いただけません。保育はありません。
開催内容:以下の通りです。
第1部:専門医師の講演会 12:30~14:20
「今、知っておきたい卵子の話」
講師:浅田 義正 先生(医療法人浅田レディースクリニック 理事長)
「意外と身近な男性不妊のお話」
講師:岡田 弘 先生(獨協医科大学越谷病院泌尿器科主任教授)
第2部(1):不妊スペシャリストによる相談コーナー 13:00~16:00
不妊症看護認定看護師、認定臨床エンブリオロジスト(胚培養士)に個別相
談できます。当日会場にて先着順にて受付します。
第2部(2)不妊当事者同士での おしゃべり会 14:40~16:10
不妊当事者限定、少人数のグループで行ないます。妊活セミナー(おしゃべ
り会)の事前申し込みが必要です。
申込方法:下記申込みフォーム
横浜市妊活セミナー(講演会)申込みフォーム
http://urx2.nu/h6Si
横浜市妊活セミナー(おしゃべり会)申込みフォーム
http://urx2.nu/h6So
*講演会とおしゃべり会どちらも希望される場合は、それぞれお申込みが必
要です。
申込期間:平成27年1月20日(火)~2月20日(金)
*定員になり次第お申し込みを終了します。
定 員:講演会 230名、おしゃべり会 50名
*おしゃべり会は不妊当事者限定です。
共 催:NPO法人Fine
問 合 せ:こども青少年局こども家庭課 横浜市妊活セミナー担当
TEL:045-671-3874
・開催案内チラシ
http://urx2.nu/h6SD
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イベントについてのお問い合わせ先は以下の通りです。
こども青少年局こども家庭課 横浜市妊活セミナー担当
TEL:045-671-3874
体外受精に臨む女性の"リラックス"をお手伝いするプロジェクト________
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ただ、本当のリラックス状態に入るための、ちょっとした「コツ」のような
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ヨガセラピーに関してのお問い合わせは下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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私たちが運営しているサイト__________________________________________
▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
http://www.akanbou.com/
▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 ~ ふたりで知っておきたいオトコのこと」
http://www.akanbou.com/dansei-funin/
▼お子さんを望まれるふたりのためのサプリメント
→「BABY&ME」
http://babyandme.jp/
▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html
編集後記____________________________________________________________
私たち人間って、周囲の環境や自然の影響を強く受けるものです。毎日、快
適に暮らすために、いろいろと工夫できることがあります。
「緑」を周囲に置いたり、「緑」を見に出かけることもその一つのようです。
なぜなら、人間って、緑を見ると、ココロが穏やかになり、健康が増し、そ
して、創造力も豊かになることがわかっているからです。
たとえば、窓から緑の木々や植え込みがみえる病室に入院している患者のほ
うが、見えない病室の患者よりも、回復率が高く、刑務所の窓から森や畑が
みえるほうが、囚人の病気にかかる率が低下するそうです。
また、オフィスの植物の鉢を置くほうが社員の創造力が高まり、緑の多い区
域のほうがコンクリートばかりの区域よりも犯罪発生率が低いのだそうです。
このように、人間は緑を見ると安心したり、落ち着くのは、人間が誕生した
原始時代では、緑が豊かなところは、その近くに食べる物が豊富にあるとい
う証拠になるという、進化心理学で理解できると、専門家は考えているそう
です。
快適な生活のために緑をうまく活用していきたいものですね。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.608
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整
理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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