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妊娠しやすいカラダづくり No.642 2015/10/4
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今週の内容__________________________________________________________
・編集長コラム:妊娠のためだけでなく将来の生活習慣病予防にもなる
・編集室からのお知らせ
・編集後記
編集長コラム Oct.2015_____________________________________________
妊娠のためだけでなく将来の生活習慣病予防にもなる
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翻訳書「妊娠しやすい食生活」の原著は、栄養と生殖機能の関連研究を専門
とするハーバード大学のチャバロ先生の著書「The Fertility Diet」という
本です(http://www.akanbou.com/shoku/)。
なにをどう食べると、卵巣の働きがよくなったり、悪くなったりするのかに
ついて書かれているのですが、そのもとになっている研究は「看護師健康調
査」という女性看護師を対象に長期間に渡って実施されている大規模な疫学
調査です。1976年にはじまり、25万人以上の女性看護師が参加しています。
日本でもアメリカにならって同じような疫学研究を実施しようということで
2001年にスタートしたのが「日本ナースヘルス研究(JNHS)」で、日本の
女性看護師を対象に生活習慣と健康に関する調査が現在も進行中です。
この日本ナースヘルス研究の最初の2年間の約45000人の女性のデータを解
析した結果、ある意味、ショッキングな内容の報告がなされています。
それは、卵巣性不妊の女性は、不妊でない女性に比べて45歳以降に高血圧に
なるリスクが約1.7〜1.9倍高く、45歳未満で糖尿病にかかるリスクが約3倍
高いことがわかったというのです。
卵巣性不妊は、主に、排卵障害でそのうちの約8割がPCOS(多嚢胞性卵巣
症候群)ではないかとしています。
このことは、現在、排卵しづらくさせている原因というか体質が、年齢とと
もに生活習慣病を招く可能性が高いということを物語っています。
日本人女性の生活習慣と健康に関してわが国における最も信頼のおける疫学
調査による報告です。
そもそも、PCOSの原因はよくわかっていませんが遺伝的なものが関わって
いると言われています。
そのため、不妊治療では対症療法的に排卵誘発剤を使って排卵させて妊娠を
目指し、体外受精も積極的に行います。
ただし、肥満や内臓脂肪過剰な女性に多かったり、やせていてもインスリン
が効きにくく、糖や脂質の代謝に異常をきたすケースが多かったりすること
から、食生活の改善や運動などの生活習慣を見直すことで、排卵しやすくな
ることが知られています。
月経不順を自覚していても不妊治療を受けるようになってはじめてPCOSだ
とわかるようになるケースも少なくないと聞きます。
もしも、排卵誘発剤を使った不妊治療で妊娠、出産できたとしても、自分は
糖尿病や高血圧になりやすい体質であると認識するようになれば、その後の
生活も違ってくるはずです。
食生活や運動などで、少しずつでも体質の改善に取り組むことで、将来、生
活習慣病を予防し、回避するきっかけになれば、「災い転じて福となす」こ
とになります。
妊娠しづらいことを経験することは、決して、悲しむべきことばかりではな
いのかもしれません。
*文献:Ovarian infertility is associated with cardiovascular disease
risk factors in later life: A Japanese cross-sectional study.
Maturitas ARTICLE IN PRESS
http://www.maturitas.org/article/S0378-5122(15)30050-5/abstract
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http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/
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編集後記____________________________________________________________
人間の細胞の総数は60兆個だと言われていたように思いますが、37兆個く
らいではないかと、最近、新たな説が浮上していたようで、全く知りません
でした。
それにしても、人間の身体の働きの、とてつもない精巧さには、驚かされる
ばかりです。
今日、NR・サプリメントアドバイザーの認定団体である日本臨床栄養学会の
総会があったのですが、そこで、それまで名前くらいしか知らなかった「マ
イクロRNA」の働きのほんの一端を垣間見て、ここ最近、なかったくらい驚
いたというか、興奮しました。
国立がんセンターで、「マイクロRNA」を使ってがんの早期診断や治療の研
究プロジェクトの開発責任者の先生の講演を聞いて、です。
人間のマイクロRNAは2500種類以上あって、遺伝子の発現量を増やしたり、
減らしたりもしているそうで、たとえば、あるマイクロRNAの働きの異常が
がんの原因になるというのです。
そして、細胞内だけでなく、血液中でもみつかっているそうで、その種類と
量を測定することで、超早期にがんをみつけることができるようになるのだ
そうです。
もしも、卵細胞の老化に関わる遺伝子の発現をマイクロRNAでコントロール
できれば、卵子の質をよくすることもできるかもしれません。
最も驚いたのが、野菜や果物中に存在する物質がマイクロRNAの働きを左右
するということです。
最先端の研究が進めば進むほど、まわりまわって、食生活や生活習慣も大切
さを教えてくれたというわけです。
栄養素はエネルギーやからだをつくったりしているだけではないようです。
凄すぎます。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.642
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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