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VOL.643 排卵期以外でも、AIHやIVF、ICSIを受けていても

2015年10月11日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.643 2015/10/11
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:排卵期以外でも、AIHやIVF、ICSIを受けていても
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2015年10月6日 編集長コラム
妊娠のためだけでなく将来の生活習慣病予防にもなる
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20151006.html
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2015年10月5日 曇り時々雨、のち晴れますように
生殖物語
http://qq4q.biz/osOO
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2015年710月5日 授かるレシピ
【ピタッと着床レシピ】5分で完成!トマトリゾット
http://www.akanbou.com/column/recipe/20151005.html
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2015年10月5日 最新ニュース
食事パターン(地中海食・西洋型)と精巣の働き
http://www.akanbou.com/news/news.2015100501.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


最新ニュース解説 Oct.2015___________________________________________
 
 排卵期以外でも、AIHやIVF、ICSIを受けていても
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たとえ、排卵期以外でも、人工授精や体外受精、顕微授精を受けていても、
たくさん性交したほうが妊娠に有利であるという免疫的なメカニズムを確
かめた研究結果が発表されました。

不妊治療は、たいていは「タイミング指導」からはじまります。それは性
交のタイミングが妊娠の確率を左右するからです。

ところが、性交の「タイミング」だけでなく、「回数」も妊娠率を左右す
ることが知られています。

妊娠の可能性があろうが、なかろうが、すなわち、排卵期以外でも、とに
かく、たくさん性交したほうが妊娠しやすくなるのです。

その理由として、どうも、女性の身体に備わった免疫システムが関わって
いるのではないかと考えられてはいましたが、本当のところはよくわかっ
ていませんでした。

ところが、アメリカのインディアナ大学の研究チームがそのメカニズムを
確かめたとの研究結果を発表して、大変な話題になっています。

とても有用な情報、かつ、人間の身体の働きの精巧さを教えてくれて感動
的でさえあります。

早速、ご紹介します。


━ 免疫と生殖のつなひきとは?

精子や胚、胎児は女性の身体にとっては「異物」です。ですから、女性の
免疫システムは、当然、それらを排除しようとします。これは妊娠、出産
することの障害になります。

つまり、そもそも、免疫と生殖、すなわち、外からの侵入者を排除し、自
分の身体を守る働きと、精子を受け入れ、遺伝的に自分の半分の胚や胎児
が成長していくことの間には大きな「矛盾」があるというわけです。

ただし、これまでの研究で、精子を子宮の入り口で排除していた頚管粘液
の質が排卵が近づくと変化し、精子を受け入れるようになったり、妊娠す
ると女性の免疫システムが変化し、胎児を守るように働くようになること
が知られていました。

インディアナ大学の研究チームは、カップルの性行為も免疫システムに妊
娠をサポートするような影響を及ぼしているのではないかと考え研究を行
いました。


━ 性行為が免疫システムに及ぼす影響を調べる

パートナーと活発な性行為のある女性14名とパートナーがいなくて性行為
のない女性16名の月経期、卵胞期、排卵期、黄体期の4回、唾液を採取し、
唾液中の2つの生殖ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)、そして、
2つのサイトカイン(インターフェロンγ(IFN-γ)、インターロイキン-4
(IL-4))の値を測定し、性行為と免疫システムの関係を調べました。

サイトカインというのは、免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、
細胞と細胞の間の情報伝達を行うホルモンのような働きをします。

IFN-γは、ヘルパーT細胞のTh1細胞から、IL-4はTh2細胞から分泌され、こ
の2つのサイトカインのバランスを介してさまざまな免疫反応が働いているこ
とが知られています。

そして、これまでの研究は、妊娠中はTh2が優位になり胎児を守るような、
また、Th1が優位になると流産を起こるような免疫反応が働くことがわかっ
ています。

つまり、Th2(IL-4)が優位な状態は妊娠をサポートするような、Th1(IF
N-γ)が優位な状態になると妊娠を阻害するような免疫反応が、それぞれ、
起こるというわけです。

果たして、試験の結果は仮説を支持するような内容で、活発な性交がある女
性の黄体期はTh2のサイトカインが優位にあり、反対に性交のない女性では
そのようなTh2の優位性は見られませんでした。

活発な性行為は排卵後の妊娠をサポートするような免疫反応を引き起こす働
きがあることが確かめられたのです。


━ 人工授精や体外受精を受けていても活発な性行為は妊娠に有利に働く

性行為をたくさんの回数行うことによって、タイミングだけでなく、免疫シ
ステムが妊娠をサポートしてくれるというのです。

これまでの研究でも、タイミングをあわせようとするよりも、回数を増やす
ほうが妊娠率が高くなると報告されていますが、その背景には免疫システム
の働きも関与しているはずです。

そして、声を大にして伝えたいのは、このことは自然妊娠だけでなく、人工
授精や体外受精、顕微授精の治療周期でも同じことが言えるということです。

不妊治療を受けるようになると、特に体外受精や顕微授精などの高度な治療
を受けるようになると性交回数が減ってしまう現象が報告されています。

元々、夫婦間の性交が少なかったから不妊治療を受けるようになったのかも
しれませんし、高度治療になると妊娠のための性交が必要なくなると思うよ
うになったのかもしれません。

もしも、そうだとすれば、大変、「もったいない」ことです。

人工授精でも、体外受精でも、顕微授精でも、たくさん、性交すべきです。

そのことによって、子宮内で胚が着床するように身体が後押ししてくれるよ
うになり、少しでも妊娠率の向上に寄与するはずです。


━ 性交は精神的にも肉体的にも生殖機能にプラスになる

妊娠、出産はカップルの協働作業であることは言うまでもありませんし、不
妊治療もカップルで協力し、励まし合い、支え合い、取り組むものです。

性交はカップルの関係性を高めます。そして、今回、排卵期以外でも、そし
て、不妊治療を受けていても、アクティブな性交は妊娠にプラスに働くこと
がわかりました。

つまり、性行為は妊娠を望むカップルにとって、精神的にも、肉体的にも、
プラスに働くというわけです。

夫婦の「性」を大切にしたいですね。

・文献:Sexual activity modulates shifts in TH1/TH2 cytokine profile
across the menstrual cycle: an observational study.
Fertility and Sterility ARTICLE IN PRESS.

Interaction of menstrual cycle phase and sexual activity predicts
mucosal and systemic humoral immunity in healthy women.
Physiology & Behavior 2015; 152: 92-98

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当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 http://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/


編集後記____________________________________________________________

3連休の真ん中です。

先週もここに書きましたが、最先端の研究が進み、いろいろなことが明らか
になってくるにつれて、人間の基本的な行い、たとえば、食べること、動く
こと、寝ること、そして、性交することの偉大さというか、影響の大きさに
感心させられるようになります。

今回、紹介した研究も、本当に感動し、痺れました。

人間の身体の働くは、本当に、とてつもなく、凄いです。

もっと、自分たちの身体を信じて、お互いの身体を大切にしたいですね。

心の底からそう思います。

よい連休をお過ごしください。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.643
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来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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