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妊娠しやすいカラダづくり No.655 2016/2/7
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・編集長コラム:当たり前なことにこそ
・今週のおすすめ本:「脳内」メラトニン・トレーニング
・編集室からのお知らせ(1):埼玉妊活セミナーが開催されます
・編集室からのお知らせ(2):臨床試験被験者を募集しています
・当社製品&サービス
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2015年2月6日 曇り時々雨、のち晴れますように
シロクロン
http://goo.gl/yHvG2m
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2016年2月3日 最新ニュース
大豆食品の摂取はBPAの治療成績へのマイナスの影響を緩和する
http://www.akanbou.com/news/news.2016020301.html
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2016年2月1日 授かるレシピ
【卵胞すくすくレシピ】デミグラス缶を使わないハヤシライス
http://www.akanbou.com/column/recipe/20160201.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
編集長コラム Feb.2016_____________________________________________
当たり前なことにこそ
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マスコミ報道で環境ホルモンについてのセンセーショナルな報道をみかけな
くなって久しくなります。ただ、環境省のサイトをみてみると、環境ホルモ
ンの問題がなくなったわけではなく、もっと落ち着いてというか、科学的に
と言うべきか、専門家の間では、どんな物質がどのくらいの量でヒトや動物
にどのような作用を及ぼすのか、研究が続けられているようです。
http://www.env.go.jp/chemi/end/
そもそも、環境ホルモンとは、ビスフェノールAやノニルフェノールやオク
チルフェノール、そして、DDTなど、環境中に存在し、生物に対してホル
モンのような影響を及ぼすもので、体内のホルモンの合成を邪魔したり、ホ
ルモンの本来の作用を弱めたり、強めたりして悪さを働きます。
ホルモンの作用が混乱させられるというこで、生殖機能への影響が最も懸念
されてきました。当然、不妊症の原因にもなっているのかもしれないという
ことで、アメリカのハーバード大学を中心に研究が続けられています。
不妊症との関係に限らず、環境ホルモンの影響については、白黒をつけるこ
とが難しいのですが、最新の研究報告から、改めて、食生活の大切さを感じ
ます。
━ ビスフェノールAと妊娠力の関係に大豆が介在
ビスフェノールAはポリカーボネートの原料に使用されていて、ポリカーボ
ネート製の哺乳瓶や食器や容器などから飲食物に溶けだすとして問題視され
ている化学物質です。
ハーバード大学では大学病院で体外受精を受けている女性を対象に継続した
研究を実施しています。
2012年には174名を対象に(1)、2013年には209名を対象に(2)、尿
中のビスフェノールA値と治療成績との関係を調べたところ、ビスフェノー
ルA値が高い女性ほど、胞状卵胞数(AFC) や採卵数が少なかったとの
報告がなされています。
要するにビスフェノールA値が高いと卵巣の反応が悪かったというものです。
2015年に発表された研究(3)では被験者を256名に増やし、ビスフェノー
ルA値と375周期の妊娠率や生産(出産)率との関係まで踏み込んで調べま
した。
その結果は、予想に反してビスフェノールAと妊娠率、生産率は関連しなかっ
たというものでした。
仮説通りにならなかったことで、ハーバード大学の研究者らは「なにか」がビ
スフェノールAのマイナスの影響を緩和しているのかもしれないと考え、過去
の研究を調査したところ、ネズミを使った実験で、餌に大豆を混ぜたネズミは
ビスフェノールAが高くても妊娠率が低下せず、餌に大豆を混ぜなかったネズ
ミではビスフェノールAが高いほど妊娠率が低下したことを知り、このことが
ヒトにもあてはまるのではないかとの仮説を立て、臨床試験を実施しました。
体外受精に臨む239名の女性に過去3ヶ月間の大豆食品の摂取量を調べ、尿中
のBPA濃度を測定し、大豆食品の摂取が尿中BPA濃度と347周期の治療成績と
の関係にどのように影響を及ぼすのかを解析しました(4)。
その結果はまさに仮説通りでした。
大豆食品を食べていなかった女性では尿中BPAの濃度が高くなるほど治療成績
が低くなるという傾向があった一方で、大豆食品を食べている女性では低くな
らなかったというのです!
━ DDTと妊娠力の関係にもビタミンB群が介在
環境ホルモンが生殖能力に対するマイナスの影響を食品成分が緩和していると
考えられる研究結果はこれまでにも報告されています(5)。
環境ホルモンはDDTで、かつて、殺虫剤や農薬に使われていた有機塩素系の
合成化学物質で、現在、日本国内では製造や使用が禁止されていますが、分解
されにくく、長期間に渡って土壌や水に残留し、食物連鎖を通じて人間の体内
に取り込まれ、生殖機能の低下や発がん性をはじめ、健康にさまざまな悪影響
を及ぼすと考えられています。
上海交通大学医学院の研究で、新婚女性291名を対象に、血中のビタミンB6や
ビタミンB12、葉酸濃度、DDT濃度を測定して、ビタミンB群が不足しているグ
ループと充足しているグループに、血中のDDT濃度が高いフループと低いグルー
プに分け、その後、2年間の妊娠率や初期流産率との関係を調べています。
その結果、ビタミンB群が充足している女性の妊娠率はDDTの濃度に関係しま
せんでしたが、ビタミンB群が不足しているとDDT濃度が高い女性は低い女性
に比べて妊娠率が56%も低かったというのです。
また、DDT濃度が高い女性は流産のリスクが高い傾向がありましたが、葉酸の
濃度が高くなるごとに流産率は45%低いことがわかったとのこと。
━ 妊娠、出産をベースで支える「食」
食事することで摂取する栄養素でエネルギーをつくり、体を構成する材料にし
ています。
そして、妊娠、出産に際しては、新しい命が発育するためのエネルギーをつく
り、新しい命の材料になります。
環境ホルモンの生殖機能への影響についての一連の研究報告に接して、改めて、
食べることが妊娠、出産をベースのところで支えてくれているのだということ
を感じました。
ビスフェノールAの妊娠率低下を大豆が緩和していることを臨床試験で確かめ
たのは、翻訳書「妊娠しやすい食生活」の原著者で、ハーバード大学準教授の
チャバロ先生でした。
チャバロ先生の研究チームは以前から大豆食品や大豆イソフラボンの生殖機能
への影響に注目し、さまざまな臨床試験を実施してきました。
先生は、「偏りなく、なんでも健康的に食べること」が一番大切なことだとし
て、大豆食品も通常の食事で食べることが大切だと言います。
ただし、大豆イソフラボンをサプリメントで摂るのはリスクがあるのでお勧め
しない、大豆食品をよく食べている日本人は尚更のことだとも指摘されました。
・文献
1)Human Reproduction 2012; 27: 3583
2)Reprod Toxicol 2013; 42: 224
3)Human Reproduction 2015; 30: 2120
4)J Clin Endocrinol Metab 2016 Online First
5)Am J Nutrition 2014; 100: 1470
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↓編集長コラムバックナンバー
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/
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今週のおすすめ本____________________________________________________
「脳内」メラトニン・トレーニング
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メラトニンは「睡眠ホルモン」と呼ばれています。暗くなるとメラトニンが
分泌され、身体に"眠りなさい"という信号が送られ、明るくなると、その分
泌が止まります。夜になると眠くなり、明るくなると目覚めるのは、「メラ
トニン」というホルモンが演出しているからです。
そして、睡眠の質は、私たちの健康状態、そして、妊娠力をも左右します。
つまり、メラトニンを大切にすることは睡眠の質を高めるだけでなく、健康
状態や妊娠力をも高めることになるのです。この本は、その方法をわかりや
すく、かつ、具体的、網羅的に教えてくれています。
・妊娠しやすいカラダづくりBOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/isbn10-4761264918.html
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編集室からのお知らせ(1)_________________________________________
埼玉妊活セミナー開催のお知らせ
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昨年9月に発足した男性不妊を専門とし、臨床にあたっている泌尿器科医で
構成されているNPO法人男性不妊ドクターズ主催の埼玉妊活セミナー(講演
会と個別相談会)が開催されることが決定致しました。
開催概要は以下の通りです。
日時:2016年2月28日(日)
時間:12:30~16:00
場所:獨協大学天野貞祐記念館(埼玉県草加市)
定員:講演会400名・相談会50名
費用:無料
主催:NPO法人 男性不妊ドクターズ
http://www.mids.jp/
プログラム:生殖医療専門医による講演と相談会の2部構成です。
第1部(12:30~14:10)
講演1:「知っておきた妊活事始め」
梅ヶ丘産婦人科院長 辰巳賢一 先生
講演2:「意外と身近な男性不妊のお話」
獨協医科大学越谷病院リプロダクションセンター長 岡田弘 先生
講演3:「栄養と運動で妊娠力をUPしましょう!」
大宮レディスクリニック院長 出居貞義 先生
第2部(14:20~16:00)
相談会:不妊治療専門のドクター・看護師・胚培養士による個別相談
埼玉妊活セミナーへは専用の申し込みフォームから事前に参加申し込みくだ
さい。第2部の個別相談は当日会場にて先着順にて受け付けます。
*お申込は以下のフォームからお申し込みください。
http://maleinfertility.jp/blog/?page_id=1626
*詳細はパンフレット(PDF)をダウンロードください。
http://www.akanbou.com/docs/ninkatsuseminar.pdf
*お問合せ:埼玉妊活セミナー事務局宛下記のアドレスにメールにて受付
seminar@maleinfertility.jp
編集室からのお知らせ(2)__________________________________________
臨床試験被験者募集のお知らせ
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現在、抗糖化サプリメント摂取による妊娠補助効果の臨床試験を行っており、
ご参加していただける方を募集しております。
詳細は以下の臨床試験募集要項をご覧ください。
http://www.akanbou.com/docs/clinical-trial.pdf
*臨床試験被験者募集についてのご質問は編集室では対応できません。
募集要項に記載されている医療機関にお問い合わせください。
当社製品____________________________________________________________
・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
http://babyandme.jp/
・翻訳書:妊娠しやすい食生活
http://www.akanbou.com/shoku/
・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/
編集後記____________________________________________________________
寒い日が続きます。妊娠するのに、冷えは大敵であることは、皆さん、ご承
知のことと思いますが、さて、最も効果的な冷え対策というと、思ってらっ
しゃることは、バラバラだったりします。
もちろん、こうしなければならない!なんていうルールはあるわけじゃなく、
皆さん、気にいった、自分にあった方法で取り組むのがいいのですが、知っ
ておいてほしいのは、最も、効果が持続するのは、「自家発電」です。
つまり、自分でたくさんの熱を発する、これに尽きるということです。いく
ら、外から温めても、悲しいかな、その効果は一時的なものなんですね。
そのための自家発電のための3原則。
「ご飯をちゃんと食べる、特に、朝ごはんで、たんぱく質を食べること、身
体をよく動かすこと、複式呼吸」です。
要は、しっかり食べて、しっかり燃やすという、究極の冷え対策です。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.660
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整
理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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◎発行部数
・自社配信: 1,704部
・まぐまぐ: 3,702部
・合計部数: 5,406部(2月7日現在)
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ラムの実行に伴う結果に関しては、当社の責任の範囲外とさせて頂きます。
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