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VOL.664 健全な老化と不自然な老化

2016年03月06日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.664 2016/3/6
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・編集長コラム:自然な老化と不自然な老化
・編集室からのお知らせ:臨床試験被験者を募集しています
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2016年3月3日 最新ニュース
全粒穀物の摂取量と体外受精治療成績
http://www.akanbou.com/news/news.2016030301.html
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2015年2月29日 曇り時々雨、のち晴れますように
ヤマアラシのジレンマ
http://goo.gl/PyrXlS
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2016年2月29日 授かるレシピ
【授かるベーシックレシピ】話題のニトスキで、スパニッシュオムレツ!
http://www.akanbou.com/column/recipe/20160229.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


編集長コラム Mar.2016______________________________________________
 
 健全な老化と不自然な老化
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アメリカ生殖医学会誌の最新号では「染色体に異常のない(正常な)胚盤胞
を移植しても妊娠、出産に至らない原因を考える」という特集が組まれてい
ます。

パート1の今月は成育環境、すなわち、卵子や精子、胚を悪くするもの、そ
して、パート2の来月は子宮内膜(母体側)の受け入れ能力、すなわち、胚
の着床を障害するものがテーマになっています。

なるほど、染色体に異常のない胚盤胞が得られれば、胚を悪くしないように
すること、胚が子宮に着床することを妨げないようにすることがポイントに
なるのだなということがわかります。

要するに、染色体の異常は防ぎようも、治しようもなく、どうしようもない
ので、私たちに出来ることとして、成育する環境と着床する環境を整えてお
くことが妊娠の確率を少しでも高くするために取り組むべきテーマだという
ことですね。

そこで、今月の特集記事から、成育環境を整えること、中でも、「卵子や精
子、胚を悪くしないために自分たちに出来ること」にスポットをあててみた
いと思います。

女性が年をとること、すなわち、老化現象、そして、女性や男性の体内の悪
い環境は、卵子や精子、胚に備わった「生きようとする力」を弱めます。

そのことは完全に防いだり、逆転させることはできないにしても、少しでも
妊娠に近づくために、どのように考え、取り組めばいいのかということです。


━ 最も大きい加齢の影響

女性が年をとることによって、卵巣内の卵子の総数が少なくなり、個々の卵
子が老化します。その結果、妊娠できるだけの力を備えた卵子が排卵したり、
採卵できる頻度が少なくなり、妊娠率が低下します。

筆者らは、卵子の細胞質でエネルギーをつくっているミトコンドリアの数や
活力が低下し、エネルギーの産生効率が落ちることが関与しているのではな
いかとして、そのエビデンスを紹介しています。

それに対して、ミトコンドリアでエネルギーをつくる最終段階に関わってい
る補酵素であるコエンザイムQ10に着目しています。老齢マウスを使った研
究では、コエンザイムQ10の投与によって卵細胞のミトコンドリア活性の上
昇、採卵数や妊娠率、出産率の改善が確かめられているとのこと。また、卵
巣機能が低下した高齢女性に体外受精前の2ヶ月間、コエンザイムQ10を1
日に600mg飲んでもらったところ、偽薬を飲んでもらったグループの女性に
比べて染色体異常の胚の割合が低かった、ただし、統計学的に有意な差では
なかったということです。

また、加齢による影響として、男性ホルモンや女性ホルモンの前段階のホル
モンであるDHEAの分泌量が低下し、それに伴い男性ホルモンレベルが適切
な範囲にないことから卵の成熟障害に関与している可能性を指摘しています。

卵巣機能が低下した高齢の女性患者がDHEA1日に75mgを2〜3ヶ月摂取
し、体外受精に臨んだところ、それまでに比べて採卵数や良好胚数の増加、
妊娠率の向上が認められているとのこと。

3つ目は、年齢が高くなることで活性酸素の発生量が増え、反対に抗酸化物
質の量が減ることで、酸化ストレスの増大が卵子や精子、胚の成育障害に関
与するというものです。

酸化ストレス対策は後述する生活習慣の改善と抗酸化物質の摂取です。特に
男性は酸化ストレスにより精子DNAが損傷され、もしも、パートナーの女性
が高齢になるほどDNAの修復力が低下するため顕微授精の治療成績が悪くな
ることを指摘しています。対策として、禁欲期間の短縮とオメガ3系脂肪酸
や抗酸化サプリメントの摂取が有効であるとの研究を紹介しています。


━ 加齢以外で卵子や精子、胚を悪くするもの

◎肥満

肥満はホルモンバランスの悪化だけでなく、酸化ストレスの増大にも関わり、
卵子や精子、胚を悪くし、体外受精や顕微授精の治療成績を低下させるとい
います。たとえ、妊娠できたとしても、妊娠継続や出産に伴うあらゆるリス
クが高まることから不妊治療を開始するまでに適正な体重(BMI)を維持し
ておくことを推奨しています。また、肥満女性にとっては強めの運動に取り
組むことで体外受精の妊娠率の改善が認めらているとのこと。

さらに、オメガ3脂肪酸や抗酸化サプリメントを抗炎症や抗酸化のために摂
取することのメリットを指摘しています。

◎喫煙

喫煙は卵子も、精子も、悪くすることが明らかで、体外受精の成績を悪化さ
せるとも明らかとのこと。喫煙が酸化ストレスを増大させるので、どうして
も禁煙できない男性は抗酸化サプリメントの摂取だけでも実行すべきだとい
います。また、禁煙した場合、その害を和らげるために3〜6ヶ月は不妊治
療を開始するのを待ったほうがいいかもしれないとのこと。

◎飲酒

男女の飲酒は体外受精の妊娠率を低下させ、流産率を高めるので体外受精に
臨むカップルは治療前と治療期間中は飲酒を控えるべきだとしています。

◎カフェイン

古い研究では1日に0-2mg(カフェイン入り飲料を飲まないか、デカフェ飲
料1杯に相当)のカフェイン、つまりはカフェインを摂取しないほうが体外
受精の成績がよいとの報告がある一方で、最近のいくつかの研究ではカフェ
インの摂取は体外受精の成績に関連しないと報告されているとのこと。今後、
明確なデータが出るまではカフェイン摂取も控えめにすべきとしています。

◎AGE(終末糖化産物)

AGEはたんぱく質と糖が結合することによって出来てしまう物質で食後の血
糖値が高い状態が続くとAGEもつくられやすくなり、酸化ストレスを増大さ
せます。AGEが多くつくられるようになると卵子や精子、胚が悪くなり、体
外受精の治療成績の悪化に密接に関与すると報告されています。対策として
は、食生活を改善し、食後高血糖を避けるべきとのこと。

◎ビスフェノールA

卵巣の反応が悪い女性はそうでない女性に比べて尿中ビスフェノールAレベ
ルがほぼ2倍で、低い着床率の目安になるという研究報告があり、さらには
ビスフェノールAは流産のリスク増大や精子の質の低下に関連しているとも
言われているとのことです。ビスフェノールAの摂取源は主にプラスティッ
ク容器や缶詰、そして、ほとんどのクレジットカードのレシートとのこと。

◎運動

適度な強度と頻度の運動は女性にとっても、男性にとっても、血流をよくし、
細胞内の抗酸化力を高め、酸化ストレスを抑制することで卵子や精子、胚に
良好な環境をつくりますが、激しい運動は、かえって、酸化ストレスを増大
するので、避けるべきとしています。

◎食生活

バランスのよい食生活を守っているカップルほど体外受精の妊娠率がよい、
また、地中海食に近い食生活のカップルほど体外受精の妊娠率がよいという
オランダの研究があります。バランスのよい栄養摂取や地中海食の特徴は、
抗酸化、抗炎症体質に寄与し、卵子や精子、胚の健全な成育につながるので
はないかと指摘しています。

◎ストレス

ストレスは身体がストレス反応を優先させ、生殖機能は後回しされることで
卵子や精子、胚を守りきれなくなり、体外受精の妊娠率の低下に関与するこ
とがこれまでの多くの研究で明らかになれてきました。認知行動療法やマイ
ンドフルネスなど適切な方法でストレスをマネジメントすることで治療成績
が改善されることを示す研究も増えています。


━ 健全な老化と不自然な老化

妊娠しやすいカラダづくり、すなわち、「妊娠のために自分たちにできるこ
と」は、結局、「卵子や精子、胚を悪くしないこと」に集約されます。

現時点の最新、かつ、最先端の研究で卵子や精子、胚を悪くするような環境
をつくるものを長々と解説しました。

一言で言えば、それは老化現象によるもので、それを防いだり、逆転させる
ことはできません。

年には勝てないということですが、肥満や喫煙、お酒やカフェインなどの嗜
好品の取り過ぎ、食生活の乱れ、ストレスは、それ、そのものも卵子や精子、
胚を悪くしますが、老化現象と相乗が最もダメージを大きくすることがわか
りました。

つまり、不自然な老化です。

大切なことは健全な老化を受け入れ、不自然な老化を排除することです。

そして、勇気づけられるのは、不自然な老化は逆転させることができるかも
しれないということです。

ただし、食べること、栄養を補充すると、動くこと、休むことは成育環境に
密接に関連しているということは、無闇矢鱈な妊活は不自然な老化を招くこ
ともあると言えます。

エビデンスにもとづいた取り組みとは、特別なことはなにもありません。当
たり前なものばかりです。

自分たちに必要な取り組みを考え、卵子や精子、胚の成育に良好な環境をつ
くりましょう。

それは、きっと、自分たちにとっても良好な環境であるはずです。


◎参考にした文献
Aging and the environment affect gamete and embryo potential:
can we intervene?
Fertility and Sterility.2016; 105: 548-559.
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↓編集長コラムバックナンバー
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/
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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com

編集室からのお知らせ________________________________________________

 臨床試験被験者募集のお知らせ
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現在、抗糖化サプリメント摂取による妊娠補助効果の臨床試験を行っており、
ご参加していただける方を募集しております。

詳細は以下の臨床試験募集要項をご覧ください。
http://www.akanbou.com/docs/clinical-trial.pdf

*臨床試験被験者募集についてのご質問は編集室では対応できません。
 募集要項に記載されている医療機関にお問い合わせください。


当社製品____________________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 http://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

3月、別名、弥生月のスタートです。弥生の語源を語源辞典で調べてみると、
「弥」は、いよいよ、ますますという意味。そして、「生」は、その字の意
味する通りですね。

つまり、弥生とは、ますます、新しい命が芽生えることを意味するわけです。

確実に気温が上がってくると、卵巣が卵子を成熟させる力も高まり、排卵率
も上がります。これまで、同じようにカラダに働きかけれも、その反応がよ
くなってくるということに他なりません。

人間は、他の哺乳動物と違い、発情期があるわけではないのですが、大自然
の影響を確実に受けるようです。

年度末で、いろいろ、あわただしくなることもありますが、身も心も、新し
い生命を迎えるべく、大切に手入れしておきたいものです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.664
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整
理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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・自社配信: 1,747部
・まぐまぐ: 3,777部
・合計部数: 5,524部(3月6日現在)
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