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VOL.701 食事はどのように妊娠力に関係するのか

2016年11月20日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.701 2016/11/20
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:食事はどのように妊娠力に関係するのか
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2016年11月19日 曇り時々雨、のち晴れますように
ダイゴさん、すごい、けど・・・
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20161119.html
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2016年11月16日 最新ニュース
不妊クリニック通院カップルの男性パートナーの地中海食スコアと精子の質
http://www.akanbou.com/news/news.2016111801.html
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info@akanbou.com


最新ニュース解説 Nov.2016___________________________________________

 食事はどのように妊娠力に関係するのか
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体外受精を受けているカップルの男性パートナーの食習慣が地中海食に近いほど精子濃度や精子数、運動率が良好だったというギリシャの大学の研究結果が生殖医学誌に掲載されました。

これまで、単品の食品と精子の質との関連についての研究報告が多数なされています。

たとえば、野菜や果物、オメガ3脂肪酸、魚は良好な精液所見に関連し、反対に、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、加工肉、砂糖入り清涼飲料水などは精子の質の低下に関連するというものです。

ところが、私たちの食事は食品を単品で食べるのではなく、いろいろな食品を組み合わせて食べています。

そのため、1つずつの食品ではなく、実際に日常で食べている食品の組み合わせ、すなわち、「食事パターン」と精子の質と関係を調べる研究が行われるようになりました。

そして、これまで最も研究されている食事パターンが「地中海食」です。

━ 地中海食に近い食べ方をしている男性ほど精子の質が高い

ギリシャのヘロコピポ大学の研究チームは、パートナーが体外受精や顕微授精を受けている男性225名を対象にした研究を実施しました(1)。

まずは、食事摂取頻度調査票と呼ばれるアンケートで、75種類の食品や飲料の摂取頻度や摂取量を調べ、その結果から「地中海食スコア」を算出します。

地中海食スコアというのはどのくらい地中海食に近いかを数値化したもので、スコアが大きいほど地中海食に近くなります。

地中海食に関連する11種類の食品の摂取量や摂取頻度を6段階(0-5)で点数化し、それを合計するという方法で算出(0-55)します。

11種類の食品は以下の通りです。

◯多く食べるほどスコアが高くなる食品
・無精製穀物(全粒穀物、全粒粉パン、全粒粉パスタ、玄米他)、じゃがいも、果物、野菜、豆類、魚、オリーブオイル

×多く食べるほどスコアが低くなる食品
・赤身肉や鶏肉、全脂肪乳製品(チーズ、ヨーグルト、牛乳)、アルコール

要するに、地中海食とは、精製度の低い穀物を主食にして、野菜や果物、豆類、魚を多く、オリーブオイルを使い、肉類が少ないという食べ方ということになります。

そして、スコアが低いグループ(30以下)、中のグループ(31-36)、高いグループ(37以上)の3つのグループに分け、精液検査結果との関係を調べましたところ、スコアが低いグループは高いグループに比べて精液検査の結果が基準値を下回る男性の割合が高いことがわかりました。

つまり、食事パターンが地中海食に近い男性のほうが精液検査の結果が良好であったというのです。

━ 地中海食と妊娠する力の関係

実は、地中海食は女性の妊娠する力とも関係しているという研究報告もいくつかなされています。

スペインの2万人以上の大学卒業生を対象とした大規模な疫学調査に参加した女性を対象にした試験では、食事パターンが地中海食に近いことと不妊症リスクの低いことが有意に関連したと報告しています(2)。

また、オランダのエラスムス大学で体外受精や顕微授精に臨む161名の女性を対象に実施した研究では、地中海食スコアが高い女性は妊娠率が高かったと報告しています(3)。

このように地中海食は、男性の妊娠させる力、女性の妊娠する力にも関連しているというわけです。

━ 卵子や精子のための体内環境をつくる

これらは、あくまで、関連を調べた研究であって、食習慣を地中海食に近い食べ方に変えると精子の質がよくなったとか、妊娠率が高くなったことを確かめたわけではありません。

ただし、地中海食に特徴的な食品を組み合わせた食べ方は妊娠に有利に働く可能性が高いと考えられています。

なぜなら、地中海食とは、食後高血糖の上昇が穏やかで、抗炎症や抗酸化、抗糖化に働く栄養素が見事に組み合わせられているからです。

食後高血糖や炎症、酸化、そして、糖化ストレスは、いずれも卵子や精子を悪くすることがわかっています。

そのため、地中海食は、卵子や精子が育まれるのに良好な体内環境に寄与すると考えられるのです。

それだけではありません。

一昨年、世界を驚かせた研究結果がハーバード大学によって発表されています。それは、地中海食に近い食事パターンほどテロメアの長さが長いことを確かめたというものでした。

つまり、地中海食は長寿にも関連することがわかったというのです。

卵子や精子の細胞だけでなく、体細胞の若さも保つことができるかもしれないというわけです。

━ 地中海食を日常の食事に取り入れる

地中海食を日々の食事に取り入れてみましょう。

1)主食を精製度の低い穀物、例えば、玄米・全粒粉パン、全粒粉パスタに変える。
2)週に4回程度は魚や魚介類をメインにし、肉をメインにするのは週1、2回程度に。
3)毎日、野菜や果物、特に、新鮮な野菜をたくさん食べる。
4)毎日、大豆食品、低脂肪乳製品を食べる。
5)豆類、ナッツ類、種子類を習慣的に食べる。
6)油はオリーブオイルをメインに使う。
7)精製された砂糖や穀物は極力少なくする。
8)アルコールは赤ワインがお勧め、砂糖に入った清涼飲料水は飲まない。

お気づきになったかもしれませんが、地中海食の特徴は「加工度がとても低い」ことです。そして、食品の組み合わせは、和食に近いものがあります。

地中海食と言えば、オリーブオイルやトマトを使った料理、ワインを連想されるかもしれませんが、レシピそのものは重要なことではありません。

要は、加工度の低い食材を使い、精製度の低い穀物を主食にして、野菜や果物、豆類、魚を多く、一価不飽和脂肪酸を使い、肉類を少なく食べるいという組み合わせです。

━ 食品の組み合わせに着目し、美味しく食事を楽しむ

そもそも、地中海食が世界中で注目されたのは、この地域に住む人が長寿だったことです。

そして、栄養学的、生理学的に、その秘訣が研究され、安定した食後血糖や抗炎症、抗酸化、抗糖化に働く食べ方であることがわかってきました。

おそらく、長い長い年月をへて、経験的に健康で、美味しく食べる方法が蓄積された結果なのでしょう。

私たちの健康によい食品の組み合わせは、卵子や精子にもよいことは理屈抜きで理解できますし、長い歴史の裏付けはなによりのエビデンスです。

そして、もう1つ、毎日の食事を美味しく、楽しむイベントとして大切にすること、これも地中海食から学べる大切なことだと思います。


■文献
1)Hum Reprod. 2016 Advance Access Nov.14
2)Fertil Steril. 2011(96)1149.
3)Fertil Steril. 2010(94)2096.

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11月27日 不妊相談会(東京)
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12月4日 Fine祭り2016 全国おしゃべり会special in 東京
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・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
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・翻訳書:妊娠しやすい食生活
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・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

これからの季節、夜の入浴は必須です。

冷えた体をあたため、血流をよくして、その日にたまった老廃物をスムースに排泄し、気持ち的にもすっきりして、快眠のためにも、大切にしたいものです。

ポイントは、ぬるめにすることだそうです。

熱いお湯のほうがあたたまるように思うかもしれませんが、熱いお湯だと長く入ってられないんですね。長くつからないと、芯からあたたりまらないからです。

そのため、ぬるめのお湯に、最低でも20分、汗ばむくらいは入るのがよいようです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.701
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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