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VOL.703 いい加減な情報が氾濫している問題への対処を考える

2016年12月04日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.703 2016/12/4
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今週の内容__________________________________________________________

・編集長コラム:いい加減な情報が氾濫している問題への対処を考える
・当社製品&サービス
・編集後記


編集長コラム Dec.2016_____________________________________________

 いい加減な情報が氾濫している問題への対処を考える
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医療関連情報サイトに「いい加減な情報」、すなわち、根拠があいまいな情報を載せていたことを批判され、運営企業がサイトを閉鎖したことが話題になり、さまざまな議論を巻き起こしています。

そもそも、今回は運営企業が上場会社であったことから、その社会的責任が問われ、問題が大きくなったわけで、インターネット上で「いい加減な情報」が氾濫していることは、今更、驚くようなことでも、騒ぎ立てることでもなく、もはや、「普通」のことであることは、皆さんもご承知の通りです。

そして、「妊活情報」も例外ではなく、いろいろな情報があふれています。

そこで、今年最後の編集長コラムでは、いい加減な情報(妊活情報)が氾濫している問題への対処を考えてみたいと思います。

1)問題は「向こう側」にあるのではなく、「こちら側」にある

現実の問題として、妊活や不妊治療には「タイムリミット」があり、かつ、先の「見通しが立ちにくい」ところがあります。

そんな中では、情報が必要です。なぜなら、その情報をもとにして、ふたりで話し合い、ふたりが納得の行く答えをみつけていくという作業というか、プロセスがとても大切だからです。

ところが、その、肝心の情報がいい加減なものであれば、納得の行かない答えを導いてしまいかねません。

そういう意味で、「正しい情報」に接することは、とても、大切です。

ただし、現在進行形で妊活や不妊治療に取り組んでいるカップルにとって、いい加減な情報が氾濫している現状を批判したり、嘆いてたりしてみても、得られるものはなにもありません。

また、そもそも、初めから、ふたりにとっての「正しい情報」や「納得できる答え」が存在するわけでもありません。

情報にはいろいろな情報があることを前提として、その中から自分たちで取捨選択し、そこから、自分たちの「答え」を導く精度を高めていくしかありません。

つまり、問題は「向こう側」にあるのではなく、「こちら側」にあるというわけです。

2)どうにもならないこととどうにかなることを区別する

当たり前な話ですが、自分たちにはどうにもならないことは、いくら頑張って努力してみても、高額なお金をかけてみても、どうにもなりませんし、なにも産み出しませんが、自分たちがどうにかできることは頑張ったり、努力したりする甲斐があります。

要するに、時間や労力、コストをかける領域を選ぶことがリターンの大きさを決めるということです。

たとえば、卵子の質、そのものはよくすることは叶いませんが、卵子の成育環境、すなわち、母親になる女性の体内環境はその人の取り組みででどうにかすることが出来ます。

3)情報が信頼できるかどうかを吟味する

いったい、なにを信じればいいのか?という声を耳にすることが、度々、あります。

少なくとも、医療情報については、その情報の「根拠」によって、ある程度は信頼性を判断することが出来ます。

たとえば、医療情報の信頼性を判断するステップとして、公衆衛生の専門家である坪野吉孝先生が、著書「食べ物とがん予防ー健康情報をどう読むか」で以下の6つのステップを提唱されています。

ステップ1:具体的な研究に基づいているか?
ステップ2:研究対象はヒトか?
ステップ3:学会発表か?論文報告か?
ステップ4:定評のある医学専門誌等に掲載された論文か?
ステップ5:研究デザインは信頼性の高いものか?
ステップ6:複数の研究で支持されているか?

ステップ5と6は研究にも、その研究方法によって信頼性のレベルがあるということで、以下の順番になっています。

1 システマティックレビュー/メタ解析
2 無作為比較対照試験(RCT)
3 非無作為化比較対照試験
4 症例・対照試験、コホート研究
5 症例報告
6 専門家の意見

一見、難しそうに見えるかもしれませんが、ヒトを対象にした研究が行われ、その領域の代表的な医学誌に掲載されているか、そして、その研究方法は対象者をランダムに分け、効果を確かめた試験かどうかということです。

もちろん、信頼性が高い情報が、そのまま、自分たちにふさわしい情報であるとは限りません。あくまで、ある医療情報が信頼できるかどうかをはかる目安があるということです。

4)栄養素の優先順位に照らす

妊娠には○○がよいとか、悪いとか、よく耳にします。○○にはいろいろな栄養素や食品、食材が入ります。

確かに魅力的なフレーズではあるのですが、それでは、毎日、同じものを食べるわけにもいかないし、仕舞いには混乱したり、ストレスになってしまいかねません。

知っておくべきは、栄養素には優先順位があるということ、すなわち、自分の健康を維持したり、新しい命を育むためには、必要な栄養素の顔ぶれと重要度は決まっているということです。

顔ぶれを重要度が高い順に挙げます。

空気、水、3大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)、微量栄養素(ビタミン・ミネラル)、食物繊維です。

大切なことは、これらが過不足ないということ、すなわち、「バランス」です。

生きていくために、妊娠、出産のためには、これら以外の成分も必要ですが、それらは上記の栄養素をもとにして、体内でつくっています。

5)自分のことは自分にしか決められないことを知る

ここまでのことは、誰にでも言えることです。

ところが、自分たちの「正解」、すなわち、自分たちにふさわしい答えは、自分たちにしか出せません。

なぜなら、自分たちのことは自分たちにしかわからないから、そして、自分たちのことは自分たちが一番真剣だからです。

正しいことだからと言って、自分にはできないこと、やりたくないことは、やる必要がありません。それどころか、やってはいけません。

また、所詮、他人にとって「自分たちのこと」は他人事です。

そういう意味で、自分のことは自分で決めるべき、いや、自分にしか決めることができません。

つまり、答えを「外」に求めるよりも、「内」に求めるほうが効率的、かつ、現実的です。

6)最後に

情報というのは、いろいろな発信者が、いろいろな目的で発信しているので、鵜呑みにしないで、自分で取捨選択しましょうということです。

もちろん、私たちの発信する情報についても、です。

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編集後記____________________________________________________________

女性の場合、歯周病などによる歯茎の炎症が、早産や流産のリスクを高めることはよく知られていますが、男性ではED(勃起不全)のリスクを3倍にするとの研究報告がなされています。

EDはストレスなどの心因性のものが多いとされていますが、それ以外では血管疾患が一般的です。血管がせまくなると血流が十分に届かなくなると考えられているからです。

一方、慢性歯周炎は全身性血管疾患を引き起こすことがあり、そのためEDのリスクを高めると考えられているようです。

歯茎の炎症は全身に及ぶのですね。

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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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