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妊娠しやすいカラダづくり No.728 2017/5/28
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・トピックス：男性不妊患者のライフスタイル改善は有効なのか？
・イベント＆セミナー情報
・当社製品＆サービス
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2017年5月26日 最新ニュース
男性不妊へのトマトジュースの効果
http://www.akanbou.com/news/news.2017052601.html
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トピックス May.2017________________________________________________
男性不妊患者のライフスタイル改善は有効なのか？
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不妊症の原因は、女性側と男性側に、それぞれ、半々くらいあって、男性不妊の４分の３はOAT症候群（oligoasthenoteratozoospermia syndrome）だと言われています。OAT症候群とは、聞きなれないかもしれませんが、精子の数が少ない、精子の運動率が低い、正常形態の精子が少ないケースの総称です。
実際、精液検査の結果、１つの項目の数値だけが低いというケースは少なく、精子濃度や精子運動率、正常精子形態率、いずれも低いことが多く、ほとんどのケースがOAT症候群というわけで、なんらかの理由で正常な精子がつくられにくい状態であると考えられています。
そして、そのOAT症候群のほとんどのケースは原因不明であることから、確実に効果が期待できる治療法がないのが現実で、男性不妊外来ではビタミンB12製剤や漢方薬、抗酸化剤などを試しながら、その程度によって、女性パートナーへの人工授精や体外受精、顕微授精を行い、妊娠を目指すことになります。
つまり、男性側に原因があったとしても、最終的な治療は女性に行われることになるわけです。
ただし、男性の精子の状態が少しでも改善できれば、女性側の治療のステップダウン、すなわち、顕微授精が体外受精に、あるいは、体外受精が人工授精に、さらに、人工授精が自然妊娠で妊娠が期待できるようになるかもしれません。
そこで、重度のOAT症候群の男性を対象にライフスタイルの改善と抗酸化サプリメントの摂取の精液所見への効果を確かめた研究報告（※）がなされましたのでご紹介します。
■ライフスタイル改善＋抗酸化サプリメント
エジプトとアメリカの研究グループは、2012年5月から2014年6月にかけて、1ミリリットル中の精子濃度が500万未満、前進精子運動率が40%以下、精子奇形率が99%を超える重度のOAT症候群の男性不妊患者210名を対象に半年間のライフスタイル改善と抗酸化サプリメントの組み合わせが精液所見を改善させるのかかどうかを確かめました。
尚、被験者の平均年齢は34.37歳、平均BMIは26.1、平均不妊期間は6年でした。
具体的な内容は以下の通りです。
１）抗酸化サプリメント（1日あたりビタミンCを1000mg、ビタミンEを400mg、L-カルニチンを2000mg）を摂取する。
２）2日に1回射精する。
３）禁煙、深酒をしない、汚染物質を避ける。股間の温度上昇を避ける。バランスのとれた食生活。
これらを半年間実行した結果、精液所見は以下のように有意に改善されました。
精子濃度（ml中）：215万 → 237万
精子運動率 ：24.03% → 29.77%
前進精子運動率 ：2.27% → 6.16%
奇形率 ：99.93% → 99.53%
そもそも、重度のOAT症候群の男性不妊患者を対象にしていることもあって、半年間のライフスタイル改善と抗酸化サプリメント摂取で、精液所見が基準値を上回るような改善はみられませんでしたが、精液量以外は全ての検査項目で有意な差をもって改善されています。
■女性への治療にプラスの影響を及ぼす可能性は？
今回の研究は重度のOAT症候群の男性が、半年間、ライフスタイルを改善し、抗酸化サプリメントを摂取することで、その前後の精液所見の変化を明らかにしたに過ぎず、比較対照試験でライフスタイル改善と抗酸化サプリメントの有効性を検証したわけでは、決して、ありません。
そのため、OAT症候群の男性不妊患者にとって治療の替わりになるとは、到底、言えるものではありません。
ただし、精液所見が改善される可能性があり、女性の治療に対するサポートにはなるかもしれません。
特に、精液所見が改善されているということは、精子の質の指標となる精子DNAの損傷率が改善されている可能性があり、もしも、精子の質が改善されているのであれば女性の治療にプラスの影響を及ぼすかもしれません。
■女性パートナーの年齢に考慮することが重要
もう一つ、今回の研究で知っておくべきことは、半年間かけているということです。
ライフスタイルの改善や抗酸化サプリメントによる改善にはある程度の期間が必要であるということになります。
そもそも、精子がつくられるのに約3ヶ月かかるとも言われています。
そのため、OAT症候群と診断され、まずは、男性の精子の改善を試みる場合、パートナーの女性の年齢によっては、半年間かけることが女性への治療成績を低下させてしまうことになりかねません。
つまり、有効性が約束されていないことに時間をかけ過ぎるのは得策ではないということです。
女性の年齢によっては、男性側を改善してから女性の治療を検討するという段階を踏むことでいたずらに時間をかけるのではなく、男性側の改善を試みると同時に女性への治療を実施することが必要になってくるかもしれません。
■二人で新しい命を迎える環境をつくる
妊娠の成立には、女性側、男性側のさまざまなファクターが複合的に関係しているに違いありません。
そのため、これだけをやっておけば大丈夫という世界観では、妊娠率を低下させてしまう可能性が高くなります。
ライフスタイルや栄養状態は、不妊の原因というよりも妊娠率を低下させてしまうリスク要因の一つと捉えておくべきです。
そのため、単に、妊娠率の向上だけにこだわるよりも、新しい命にためのよりよい環境を整えるという意識で取り組むことが、もっと大切なように思います。
◎文献
Effect of modifiable lifestyle factors and antioxidant treatment on semen parameters of men with severe oligoasthenoteratozoospermia.
Y. Magdi et al.
Andrologia （Early View Article. October 2016 First published.）
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編集後記____________________________________________________________
これから暑い季節を迎えます。季節の変わり目ということで、体調が思わしくないと感じていらっしゃる方もいるかもしれません。
ところが、大切な仕事がある。その上に、大切な治療があるという方もいるでしょう。
ともすれば、いろいろなことに抵抗し、流され、そんなことを繰り返しているうちに呼吸が浅くなってしまうことがよくあります。
そこで、少し、立ち止まって、呼吸法を取り入れてみてはいかがでしょうか？
いつでも、どこでも、すぐに出来ます。吐いて、吸うこと、ゆっくりと、長く、吐くこと、この２つがポイントです。
そして、自分の呼吸への意識を高めます。
きっと、カラダとココロの変化に驚くようになると思います。
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妊娠しやすいカラダづくり［毎週末発行］ VOL.728
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編 集：細川忠宏（日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー）
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