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妊娠しやすいカラダづくり No.739 2017/8/13
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今週の内容__________________________________________________________
・最新ニュース解説:カップルのお酒やカフェインは体外受精の治療成績に影響するのか?
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・編集後記
最新ニュース解説 Aug.2017__________________________________________
カップルのお酒やカフェインは体外受精の治療成績に影響するのか?
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体外受精の治療に入る前の飲酒と治療成績との関係を調べた最新の研究結果がデンマークとアメリカから発表され、いずれの研究でもマイナスの影響が及ぼさなかったというものでした。
■デンマーク・コペンハーゲン大学の研究(1)
2006年1月から201年9月迄にデンマークで実施された12,981組のカップルの29,834周期で、6,697人の赤ちゃんが生まれました。治療開始前にカップルのそれまでの飲酒状況を調べ、飲酒量と治療成績との関係を調べました。
飲酒量によって4つのカテゴリー、(1)お酒を飲まない、(2)少量(週に1-2単位)飲む、(3)中程度に飲む(週に3-7単位/女性、3-14単位/男性)、(4)ヘビードリンカー(週に7単位以上/女性)、14単位以上/男性)に分けました。
その結果、飲酒量と出産率は関連せず、治療に入る前の飲酒量はその後の体外受精の出産率には影響しないことがわかりました。
■アメリカのハーバード大学の研究(2)
マサチューセッツ総合病院でART治療を受けている300名の女性の治療前1年間のアルコールやカフェン摂取量と493治療周期の体外受精や顕微授精の治療成績との関係を調べました。
治療開始前に食物摂取頻度調査票に回答してもらい、過去1年間のアルコールやカフェインの摂取量を算出しました。
1日のアルコールやカフェイン摂取量で5つのグループ(アルコール/0g、0.1-6.0g、6.1-12.0g、12.1-24.0g、24.1-85.8g、カフェイン/0.3-50g、50.1-100、101.1-200、200.1-300、300.1-642)にわけ治療成績との関連を解析しました。
その結果、アルコール、カフェインともに摂取量と治療成績の関連はみられませんでした。また、アルコールもカフェイン、いずれの飲料による違いについても関連はみられませんでした。
この結果から、ART治療前の1年間の中程度のアルコール摂取量、たとえば、1日12g以下、カフェイン摂取量、たとえば、1日200mg未満程度であれば、治療成績にマイナスの影響を及ぼさないことがわかりました。
■アルコールやカフェインの摂取量の目安
コペンハーゲン大学の論文中に記載されている1単位のアルコール量は国によって大きく異なりますので注意が必要です。
◎国別の1単位のアルコール量
・日本:20g
・アメリカ:14g
・デンマーク、イタリア:12g
・フランス、オランダ、オーストラリア、ニュージーランド:10g
・イギリス:8g
日本は世界で見ると突出して多いことがわかります。その ため、文献中の 1drink は、日本の 1 単位ではなく、それぞれの国のアルコール量で見る必要があります。
また、ハーバード大学の論文中に記載されている飲料別のアルコールやカフェイン量は以下の通りです。
◎アルコール
・ライトビール1缶(355mL):11.3g
・レギュラービール1缶(355mL):12.8g
・ワイン1グラス(118mL):11.0g
・蒸留酒1ショット(44mL):14.0g
◎カフェイン
・コーヒー1杯(237mL):47mg
・清涼飲料水(炭酸飲料355mL):46mg
・チョコレート(1オンス28g):7mg
研究で問題ないとされた中適度の飲酒量の1日12gは、缶ビールで1本程度、ワインでグラス1杯程度ということになります。
また、カフェイン量を1日200mg以内にしようとするとコーヒーだけで4杯迄ということになりますが、緑茶をはじめ、コーヒー以外にもカフェインを含む飲料はありますので、2-3杯以内と考えておくのが無難かもしれません。
■男性のカフェイン摂取量がパートナーの治療成績に影響するかもしれない
今回のハーバード大学の研究では治療に入る前の女性のアルコールやカフェインの摂取量と治療成績の関連を調べていますが、今年の2月に同じくマサチューセッツ総合病院でART治療を受けるカップルの男性パートナーのアルコールやカフェイン摂取量とパートナーの女性の治療成績との関連を調べた研究結果を発表しています。
それによりますと、驚くべきことに、男性パートナーのカフェインやアルコール摂取量は治療成績と関連し、男性がカフェインを多く摂っているカップルほど着床率や妊娠率、出産率が有意に低かったというのです。
どの程度かと言いますと、男性パートナーのカフェイン摂取量が最も多かったグループ(≧272mg/day)のカップルと最も少なかったグループ(<99mg/day)のカップルの調整後の出産率は、それぞれ、19%、55%というものです。
その反対に、男性パートナーがアルコールを多く摂っているカップルほど着床率や妊娠率、出産率が有意に高く、男性パートナーのアルコール摂取量が最も多かったグループ(≧22g/day)のカップルと最も少なかったグループ(<3g/day)のカップルの調整後の出産率は、それぞれ、61%、28%だったとのこと。
アルコールやカフェインの影響は女性ではなく、男性にみられたというわけで、精子はアルコールやカフェインの影響を受けやすいということなのかもしれません。
■治療周期中や妊娠中はお酒やカフェインは控えたほうが無難かもしれない
このように、治療に入る前まではアルコールやカフェインについては、それほど神経質になる必要はないようです。
ただし、いずれも適度な量にしておくこと、また、デンマーク、アメリカのいずれの研究グループも指摘しているのは、平均的な摂取量が適量でも、1回あたり、大量の飲むような飲み方はやめたほうがいいということ、そして、治療周期や妊娠判明後は女性はアルコールもカフェインも控えたほうが無難であるとのことです。
※)文献
1)Reprod Biomed Online. 2017;35: 52-160.
2)Hum Reprod. Advance Article doi.org/10.1093/humrep/dex237
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