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VOL.747 砂糖入り清涼飲料水は体外受精の治療成績にマイナスの影響を及ぼす

2017年10月08日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.747 2017/10/8
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:砂糖入り清涼飲料水は体外受精の治療成績にマイナスの影響を及ぼす
・イベント&セミナー情報
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・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2017年10月3日 曇り時々雨、のち晴れますように
対人関係療法
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20171003.html
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2017年10月2日 編集長コラム
「こんなはずじゃなかった」にならないために
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20171002.html
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最新ニュース解説 Oct.2017__________________________________________

 砂糖入り清涼飲料水は体外受精の治療成績にマイナスの影響を及ぼす
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妊娠にマイナスの影響を及ぼす飲料として、アルコールやカフェインを心配されることが多いようですが、アルコールやカフェインよりも、砂糖に気をつけたほうがよいかもしれません。

砂糖入り清涼飲料水は、体外受精の治療成績にマイナスの影響を及ぼす可能性があるというハーバード公衆衛生大学院による研究結果が10月4日にアメリカ生殖医学会誌のオンライン版に掲載されたからです(1)。

研究は、飲料が体外受精の成績にどのような影響を及ぼすのか調べるべく、2014年1月から2016年8月までに不妊治療や遺伝病の着床前診断のために体外受精を受けた340名の女性(平均年齢:31.5歳)を対象に実施されたとのこと。

被験者の女性に、卵巣刺激を開始した日、もしくは、採卵日に、飲料の摂取についての質問票に回答してもらいました。質問票では14種類の飲料を挙げて、飲んでいるかどうか、飲んでいる場合にはその量と頻度について尋ねています。質問票の回答内容からカフェインの摂取量を算出しました。

そして、カフェインやそれぞれの飲料の摂取量と体外受精の治療成績(新鮮胚による1回の移植)の関係が解析されました。

その結果、平均カフェイン摂取量は1日に163.5mg(インスタントコーヒー約2.5杯に相当)でしたが、トータルのカフェイン摂取量と採卵数や成熟卵数、受精卵数、トップクオリティ胚数のいずれとも関連しませんでした。

飲料別の摂取量では、カフェイン入りティーの摂取量が多くなると採卵数や成熟卵数が有意に少なく、反対にハーブティーの摂取量が多いと採卵数や成熟採卵数が有意に多かったとのこと。

特に、砂糖入り清涼飲料水の摂取量が多いと総採卵数や成熟卵数、されには、受精卵数や良好胚数も有意に少なく、砂糖入り清涼飲料を飲む女性は飲まない女性に比べて、平均、採卵数が1.1個、成熟卵数が1.2個、受精卵数が0.6個、少なかったといいます。

また、283回の胚移植の結果、116例のhCG陽性、102例の臨床妊娠、そして、83例が出産に至りましたが、カフェイン摂取量はいずれの成績とも関連しなかったのに対して、砂糖入り清涼飲料水の摂取量が多いほど臨床妊娠率、出産率が有意に低くなり、砂糖入り清涼飲料水を1日に0.1から1杯飲む女性は飲まない女性に比べて、出産まで至った確率が12%、1日に1杯以上飲む女性になると飲まない女性に比べて16%低かったというのです。

尚、カフェイン入りティーやハーブティーは妊娠率や出産率には関連しなかったとのことです。

これらのデータから、砂糖入り清涼飲料水は、カフェインを含む含まないに関係なく、体外受精の治療成績にマイナスの影響を及ぼす可能性があると結論づけています。

カフェイン入りティーが採卵数や成熟卵数が少なかったことと関連したのは、そこに入れられた砂糖の影響ではないかと考えているようです。

砂糖入り清涼飲料水が生殖機能に悪さを働くのは、糖の代謝異常を介するものというのが専門家の一致した見解です。

砂糖入り清涼飲料水に含まれている砂糖のは、私たちが飲み物に入れる砂糖の量を遥かに超える量です。

たとえば、各飲料に含まれる砂糖をスティックシュガーの本数に換算すると、スポーツドリンク500ml中には7〜18本分、野菜や果物ジュースで5〜8本、炭酸飲料に至っては14〜20本です。

現実にはこれだけの量を摂取することはありませんというか、出来ませんが、清涼飲料水には飲みやすく加工されているので、美味しく飲めるのです。

そのため、吸収の早い糖類を大量に飲むことになり、高血糖状態を招きます。そうすると喉が渇きますので、さらに砂糖入り清涼飲料水を飲むことになり、この悪循環が糖の代謝異常を招くことになります。

そして、糖の代謝異常が招く、高血糖や高インスリンは卵子や胚の成育を障害することが知られています。

そもそも、砂糖入り清涼飲料水は同じメカニズムで細胞老化を引き起こし、さまざまな生活習慣病のリスクの上昇につながることが明らかになっています。

そのため、砂糖入り清涼飲料水に20%以上の課税をすることで、肥満や糖尿病、虫歯などで苦しむ患者を減らせると、世界保健機関(WHO)が提言しているほどです。

砂糖入り清涼飲料水メーカーは、顧客の健康よりも自社の利益を優先していながら、その一方で血糖値が心配な人のためのサプリメントを販売しているのは、消防士がせっせと放火しているようなものです。

砂糖入り清涼飲料水がマイナスの影響を及ぼすのは体外受精の治療成績だけではなく、自然妊娠でも同様です。

デンマークで3628名の妊活女性を対象とした研究で、砂糖入り清涼飲料水を1日に1本未満、1本、2本、3本以上飲む女性は飲まない女性に比べて妊娠の確率が、それぞれ、11%、15%、16%、52%低くなることがわかったとの報告がなされています(2)。

さらに、砂糖入り清涼飲料水は男性の精子の質にもマイナスの影響を及ぼすようです。

ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、18から22才の健康な男性を対象に、砂糖入り清涼飲料水の摂取状況と精液所見や生殖ホルモン値との関係を調べたところ、砂糖入り清涼飲料水をたくさん飲む男性ほど精子運動率が低かったと報告しています(3)。

これらのことから、妊活を開始したカップルは、飲み物に気をつけるべきですが、注意したいのは「健康飲料」という触れ込みの飲料に大量の砂糖が含まれていることです。

そのため、飲料を選ぶ際には商品名や広告ではなく、「原材料」をチェックすべきです。

自分の生殖力は自分で守らなければなりません。


文献)
1)Fertil Steril Articles In Press(2017/10/4 publishied)
2)Epidemiology 2012; 23: 393-401.
3)Hum Reprod. 2014; 29: 1575-1584.

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