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妊娠しやすいカラダづくり No.769 2018/3/11
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・最新ニュース解説: 妊娠中の食と子のアレルギー
・当社製品&サービス
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2018年3月5日 編集長コラム
カギは「光」にあり
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20180305.html
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最新ニュース解説 Mar.2018__________________________________________
妊娠中の食と子のアレルギー
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妊娠中のプロバイオティクスやオメガ3脂肪酸のサプリメント摂取が出生児のアレルギーのリスク低下に寄与する可能性があるとする研究結果が、イギリスから発表されています(1)。
プロバイオティクスというのは、乳酸菌やビフィズス菌など、身体によい影響を及ぼす微生物を含む食品のことで、オメガ3脂肪酸には主に魚の油に豊富なDHAやEPAなどがあります。
研究は、英国食品基準庁から委託され、インペリアル・カレッジ・ロンドン医学部教授が中心となり、1946年から2014年まで妊娠中や授乳中の女性の食と児のアレルギー発症リスクについてのの400編の論文(対象者総数が150万人)のデータを統合し、解析したものです。
妊娠後期や授乳中にプロバイオティクス食品を食べることで出生児の湿疹のリスクが1000人あたり44症例の発症減に相当するレベルで低下することが、また、妊娠中や授乳中にオメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取することで出生児の食物アレルギーのリスクが1000人あたり31症例の発症減に相当するレベルで低下することが示唆されています。
プロバイオティクスにしても、オメガ3脂肪酸のサプリメントにしても、摂取時期は示されていますが、どれくらいの量を摂ればよいのかはわかりませんが、最も数の多い論文のデータを統合し、解析した結果です。
このように妊娠中の食事が出生児のアレルギー発症に関連について調査した研究は、数多く実施されています。
日本でも、つい最近、2010年から2013年の妊娠女性を登録し、女性とその出生児を追跡調査した出生コホート研究データベースを使用し、妊娠初期に妊婦が野菜を多く摂取すると、出生児が2歳になったときの喘息症状の発症率が低くなるという研究結果が国立成育医療研究センターの産科グループから発表されています(2)。
511名の妊娠初期の女性の食事状況を質問票で調査し、野菜の摂取量を野菜全般、葉野菜、アブラナ科、緑黄色野菜別に摂取量で5つのグループにわけて、子どもの2歳時点の喘息の発症率を比べています。
その結果、妊娠初期の総野菜摂取量が多いほ発症率は低くなり、最総野菜摂取量の最も多かったグループの女性の子どもは最も少なかったグループの子どもの比べて喘息発症リスクは41%低かったとのこと。
アブラナ科や葉野菜も同様でしたが、緑黄色野菜だけは統計学的に有意な差ではなかったようです。
対象者は、決して多くはありませんが、日本人を対象にした研究であり、妊娠初期に葉野菜やアブラナ科野菜を中心とした野菜を摂取することは、お子さんの喘息発症リスクの低下に寄与するかもしれません。
プロバイオティクスは腸内細菌を善玉菌優勢にし、腸内環境を整えると言われています。また、オメガ3脂肪酸は体内で最終的には抗炎症に働く物質に変換されますし、野菜にはさまざまなポリフェノールが含まれています。
子どものアレルギー発症の原因やメカニズムについては、まだまだ、わかっていないことのほうが圧倒的で、妊娠中の食事で解決できるものではありません。
ただし、腸内環境も、必須脂肪酸も、ポリフェノールも、私たちの身体の調子を整えることに深く関与しています。
子どものアレルギーは増えていることは、私たちにとって、昔にあったけれども、今は少なくなったり、なくなったちしたもの、反対に、昔はなかったもの、少なかったものが、今は増えているようなものが関与していることは間違いありません。
そういう意味では、自分たちの生活については保守的な価値や考えをベースに置くことがよいのかもしれません。
◎文献)
1)PLoS Med. 2018 Feb 28;15(2):e1002507
2)Eur J Clin Nutr. 2018 Feb 12. [Epub ahead of print]
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編集後記____________________________________________________________
それぞれの地域特有の食文化がありますが、それらは長い歴史の中で取捨選択された結果、残ったということで、そのことは、そのまま、有用性の証になると言えるのかもしれません。
地中海食は体外受精の治療成績に寄与するという研究報告が数多くありますが、それも、地中海沿岸地域の伝統的な食べ方がベースになったものです。
その地方で獲れ、栽培される食材を、その地方に昔から使わる調理法で食べるのが、その地方に住む人たちにとっての正しい食生活と言えるのでしょう。
昔の事をたずねて、そこから新しい知識・見解を導くこと、まさに、温故知新ですね。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.769
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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