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VOL.779 不妊治療開始後でも自然妊娠できる確率はどれくらいあるのか?

2018年05月20日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.779 2018/5/20
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:不妊治療開始後でも自然妊娠できる確率はどれくらいあるのか?
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2018年5月19日 最新ニュース
原因不明や軽度男性不妊カップルの不妊治療開始後1年間の自然妊娠率
http://www.akanbou.com/news/news.2018051901.html
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info@akanbou.com


最新ニュース解説 May.2018__________________________________________

 不妊治療開始後でも自然妊娠できる確率はどれくらいあるのか?
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原因不明、もしくは、軽度の男性不妊で、不妊治療を開始したカップルでも、その後1年に約25%の割合で自然妊娠に至ることが、オランダで実施された研究で明らかになりました(1)。

大変興味深い研究です。

◎不妊治療をはじめた後の自然妊娠の可能性について

日本生殖医学会は「不妊症」を以下のように定義しています。
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「不妊症」とは、なんらかの治療をしないと、それ以降自然に妊娠する可能性がほとんどない状態をいいます。特に病気のない健康な男女が妊娠を希望し、避妊をせず夫婦生活(セックス)を営むと「一定期間内」に大多数の方が妊娠します。しかし「一定期間」を過ぎても妊娠しない場合、その後いくらタイミングを取っても自然に妊娠する可能性は低くなるため、不妊症と診断することが出来ます。
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そして、上記の一定期間とは「1年」としています。

要するに、「避妊せずにセックスをしても、1年以上妊娠しない場合に不妊症と診断され、それ以降、自然に妊娠する可能性がほとんどない」と、学会では決められているわけです。

そのため、不妊治療をはじめる適切なタイミングとは「授からない期間が1年を超えた時点」ということになります。

ただし、「それ以降、自然に妊娠する可能性がほとんどない」とされているのですが、実際には治療をお休みしている周期に自然妊娠したとか、治療をやめた後、自然妊娠したという話を聞くことがあります。

もしも、不妊原因が、両側卵管閉塞(切除)や無排卵、或いは、無精子症であれば、自然妊娠の可能性はゼロと考えざるを得ませんが、原因不明、或いは、軽度の男性不妊であれば可能性はあるはずです。

では、そのようなカップルにおける、不妊治療開始後1年間の自然妊娠の確率はどの程度なのか、それを調べたのが、今回の研究なのです。

◎どのような研究だったのか

オランダでINeS研究という研究が行われました。それは、原因不明、もしくは、軽度の男性不妊のカップルにとって、どんな治療方法から治療をスタートするのがよいのかを調べること目的とした無作為比較対照試験でした。

具体的には、原因不明、もしくは、軽度の男性不妊のカップル602組を無作為に、3周期の単一胚移植+凍結融解胚移植を受けるグループ、6周期の自然周期の体外受精胚移植を受けるグループ、そして、6周期の卵巣刺激を伴う人工授精を受けるグループにわけ、それぞれの治療効果を比較したというものでした。

今回の研究はこの臨床試験の結果を二次解析したものです。

602組のカップルで治療開始後1年で342症例の妊娠が確認されましたが、その内、77症例は治療のなかった周期での自然妊娠で、統計学的に算出した推定される自然妊娠率は24.5%だったというのです。

そして、推定自然妊娠率は女性の年齢が高いほど、また、不妊期間が長いほど低くなり、女性の年齢と不妊期間別(1年・2年・3年)の自然妊娠率は以下の通りでした。

18歳:35%・33%・31%
23歳:33%・30%・28%
28歳:30%・28%・26%
33歳:28%・26%・24%
38歳:25%・24%・22%

この結果から、原因不明、もしくは、軽度の男性不妊であれば、不妊治療開始後1年間で約25%の確率で自然妊娠する可能性があることがわかったというわけです。

◎不妊治療を開始してもたくさん性交すべき

もしも、不妊治療を開始した後は性交の頻度が少なくなったのであれば、自然妊娠のチャンスを低くしていることになります。

それは、治療をはじめたら自然妊娠の可能性は、ほぼないという前提によるものと思われますが、今回の研究結果が正しければ、原因不明や軽度の男性不妊であれば、それは誤った認識であることがわかりました。

貴重な機会を損失していると言わざるを得ません。

一方、もしも、両側卵管閉塞や無排卵、重度の男性不妊で、自然妊娠の可能性が、ほぼないというケースでも、不妊治療を開始後、性交を少なくすべきではありません。

なぜなら、性交することで女性の身体の免疫システムが妊娠に有利に働くこと(2)、また、頻繁に射精することで男性の精液中の精子の質がよく(精子DNA断片化率が低く)なること(3)が、これまでの研究でわかっているからです。

つまり、どんな不妊原因であろうとも、夫婦生活が基本であるということになります。

当たり前のことですが。


文献)
1)Hum Reprod. 2018; 33: 919-932.
2)Fertil Steril. 2015; 104: 1513-1521.
3)Fertil Steril. 2017; 108: 998-992.

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編集後記____________________________________________________________

不妊治療をはじめると夫婦生活(性交)が極端に少なくなる、或いは、セックスレスになるという話をよく耳にします。

それは、不妊治療のあいまの自然妊娠の機会を放棄したり、不妊治療の治療成績にもマイナスの影響を及ぼすことになりかねません。

忘れてしまいがちですが、夫婦生活が基本ですね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]    VOL.779
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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