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VOL.780 どんな食べ方が精子の質によい影響を及ぼすのか

2018年05月27日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.780 2018/5/27
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:どんな食べ方が精子の質によい影響を及ぼすのか?
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2018年5月27日 曇り時々雨、のち晴れますように
お花その2
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20180527.html
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2018年5月21日 最新ニュース
体外受精を受ける女性患者への鍼治療の出産率への効果:RCT
http://www.akanbou.com/news/news.2018052101.html
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最新ニュース解説 May.2018__________________________________________

 どんな食べ方が精子の質によい影響を及ぼすのか?
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4種類の食事パターンと精液検査結果の関係を調べたところ、アメリカの政府機関が推奨する食生活指針に近い食べ方が最も良好な精液検査結果と関連したというイスラエルからの研究結果(1)がアメリカ生殖医学会誌に発表され、注目されています。

この研究が関心を集めているのは、これまで、特定の食事パターンと精子の質との関連を調べた研究報告は数多くなされていましたが、初めて、代表的な4種類の食べ方と精液検査結果の関連を調べ、比較したからです。

最も精液検査結果とリンクしたのはAHEI(Alternative Healthy Eating Index)と呼ばれている食事パターンで、アメリカの農務省と保健福祉省から出されている「アメリカ人のための食生活ガイドライン」にどれだけ近いかを測るための尺度として用いられているものです。

具体的には、野菜や精製度の低い穀物、オメガ3脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸、ナッツ類を多く食べ、適度な飲酒を心がけ、赤身肉や加工肉、精製された穀物、砂糖入り清涼飲料水を少なくするという食べ方です。

◎4種類の食事パターンと精子の質
イスラエルの不妊治療クリニックに通院するカップルの男性パートナー、280名を対象に過去半年間の111種類の食品を食べた頻度と量を調べ、4種類の食事パターンにどれだけ近い食べ方をしているかスコア化しました。

食事パターンは以下の通りです。

1)HEI(Healthy Eating Index):健康的な食生活指数。アメリカ食生活ガイドラインに近いかをスコア化したもの。
2)DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension):高血圧を予防し治療するための食事法
3)aMED(alternate mediterranean diet):代替地中海食
4)AHEI(alternate Healthy Eating Index):代替健康食指数。HEAの改訂版。

そして、それぞれの食事パターンスコアで4つのグループにわけ、最もスコアが高かったグループと低かったグループの男性の精子濃度、総精子数、精子運動率、正常精子形態率を比較し、tぷ経学的に解析しています。

その結果は、どの食事パターンでも、概ね、最高スコアの男性は最低スコアに比べて精液検査結果が良好でした。

つまり、健康的な食べ方をするほど精液検査の結果は良好であるという傾向が見られたということです。

そして、食事パターンの中でも、特に、AHEIが最も良好な精液検査結果に関連し、精子濃度、総精子数、正常精子形態率で、最低スコアに比べて最高スコアの男性は有意に高かったというのです。

このように地中海食や高血圧予防食も精子の質にはよい影響を及ぼしているものの、アメリカ食生活指針に近い食べ方が最もよい影響を及ぼしていると考えられるというわけです。

◎なぜ、食事パターンなのか?
これまで、栄養素の摂取状況は精子の数や運動率に影響を及ぼすという研究報告は数多くなされています。

それは、特定の栄養素や食品の摂取量と精液検査結果の関連を調べた研究です。

ところが、そもそも、栄養素は食事から複数の栄養成分として摂取され、さまざまな相互作用が生じています。

要するに、私たちは栄養素や食品を単体で摂取しているわけではないということです。

そのため、精子の質によい影響を及ぼすための食事内容を知ろうとすると、単独の栄養素や食品ではなく、食べ方、すなわち、食事パターンに着目する必要があるわけです。

実際、最近の栄養疫学研究では、それぞれの地域や人種の伝統的な食べ方やそれぞれの国の行政機関が推奨する食べ方の特徴を食事パターン化し、それぞれの食事パターンにどれだけ近いかをスコア化して、生活習慣病の発症リスクや死亡率などとの関連を調査し、健康的な食生活に改善する際の指標が示されるようになっています。

◎地域や人種にふさわしい食バランスが重要
食事内容は、個人差があることもさることながら、人種間の体格や体質、食文化の違いが大きく反映されます。

そのため、人種や地域、食文化によって、健康的な食事内容も異なります。

今回の研究は、イスラエルで、イスラエル人男性を対象に実施されたもので、4種類の食事パターンも、アメリカで推奨されている食生活指針や地中海食、そして、高血圧を予防するために食事内容がベースになっています。

その結果、AHEIと呼ばれている食事パターンが最も精子の質によい影響を及ぼすというものでした。

要するに、特定の地域に伝統的な食事法である地中海食や特定の疾患の予防になる食事法であるDASH食よりも、アメリカ人のための食生活ガイドラインに基づいた食生活がよりふさわしいというわけです。

つまり、それぞれの国が自国民のために作成している健康的な食事指針がベターであるということになります。

このことから、日本人男性にとっては、日本の農林水産省と厚生労働省が作成した食事バランスガイドをベースにすることがよいと言えるのかもしれません。

実際に、日本人を対象に、この「食事バランスガイド」の順守度と脳や心血管疾患死との関連を調べた大規模研究が実施され、ガイドの順守度が高いほど全死亡率が低くなるという研究結果(2)がなされています。

食品からみれば、野菜や果物、精製度の低い穀物、魚、豆類を多くたべ、精製度の高い穀物や肉類、加工食品、砂糖入り清涼飲料水はほどほどにすること、ただし、ベースとして最も大切なことは、日本人の食事バランスガイドに基づいたバランスであるということになると思います。

参考)
・日本人の食事バランスガイド
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html

文献)
1)Fertil Steril 2018; 109: 809
2)BMJ 2016; 352: i1209

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編集後記____________________________________________________________

食事については、「なにを」食べるかということもさることながら、「どのように」食べるかが大切ですね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]    VOL.780
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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