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VOL.782 妊活カップルの魚の摂取量と性交回数や妊娠率の関係

2018年06月10日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.782 2018/6/10
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今週の内容__________________________________________________________

・お詫びと訂正
・更新情報
・最新ニュース解説:妊活カップルの魚の摂取量と性交回数や妊娠しやすさの関係
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記


お詫びと訂正________________________________________________________

編集長コラムで誤った記載がありました。
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前号(VOL.781)の編集長コラム「妊活カップルに糖質制限は必要なのか?」に誤りがありました。

以下の通り訂正致します。

ハーバード大学が2万人の女性看護師を2年毎に食事調査を行い8年間追跡した結果を紹介したところで、『全粒穀物のような「精製度の高い穀物」を多く食べる女性は排卵障害の不妊症になりやすいという報告がなされていて(1)』と記載しましたが、全粒穀物は精製の「高い」穀物ではなく、精製度の「低い」穀物です。

正しくは、『「精製度の高い穀物」を多く食べる女性は排卵障害の不妊症になりやすく、反対に全粒穀物のような「精製度の低い穀物」を多く食べる女性は排卵障害の不妊症になりにくいという報告がなされています(1)。』です。
http://www.akanbou.com/mailmagazine/20180603.html

一番重要なところを間違えてしまい、申し訳ございませんでした。また、多くの読者の方から誤りをご指摘いただきありがとうございました。

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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2018年6月5日 編集長コラム

妊活カップルに糖質制限は必要なのか?
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20180605.html
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2018年6月4日 曇り時々雨、のち晴れますように
試験を控えています
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20180604.html
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最新ニュース解説 Jun.2018__________________________________________

 妊活カップルの魚の摂取量と性交回数や妊娠しやすさの関係
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魚介類をたくさん食べるカップルほど、性交回数が多く、妊娠までの期間が短いという、アメリカで実施された健康な妊活カップルを対象としたLIFE Stydyの結果が公開されました(1)。

LIFE studyとは、アメリカ小児健康・人間発達研究所による「The Longitudinal Investigation of Fertility and the Environment (LIFE) Study」のことです。

具体的には、テキサス州とミシガン州在住の健康な(不妊症ではない)妊娠を希望するカップル、501組を、2005年から2009年までフォローし、環境中の化学物質やライフスタイルが妊娠しやすさや生殖機能に及ぼす影響について調べています。

これまでにも多くの論文が発表されていますが、今回の研究では、カップルの魚介類(ツナ缶や魚、カニ、エビ、そして、貝など)の摂取頻度と性交回数や妊娠しやすさとの関係を調べています。

研究開始時に過去1年間の魚の摂取頻度を確認し、研究開始後は魚介類の摂取頻度や性交を記録してもらい、妊娠率は妊娠検査薬を用いて避妊をやめてから妊娠までにかかった期間をもとに算出しています。

実際、どの程度だったのかといいますと、魚介類を食べる頻度が周期あたり8回以上だったカップルと1回以下だったカップルの妊娠までにかかった期間から算出した妊娠率を比較すると、61%も8回以上だったカップルのほうが高かったというのです。

また、大変興味深いことに性交回数も魚介類をよく食べるカップルのほうが多く、周期あたり8回以上魚介類を食べたカップルはどちらも1回以下だったカップルに比べて22%多かったというのです。

なぜ魚介類をよく食べるカップルはそれほど食べないカップルよりも性交回数が多く、妊娠しやすいのでしょうか?

研究チームは、魚油が主な供給源である「EPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸」を多く摂取しているからではないかとしています。

もう1つ、魚をよく食べる家庭は、食生活が健康的であるだけでなく、健康的な生活を営んでいることから、性生活も充実しているのではないかというのです。

要するに魚介類を多く食べることについて、栄養素摂取とライフスタイルの2つの面から妊娠にプラスに働くのではないかというわけです。

◎オメガ3脂肪酸の影響
オメガ6系脂肪酸やオメガ3系脂肪酸は体内でつくることが出来ない必須脂肪酸で、食事から摂るしかありません。

そのため、食事内容でそれらの摂取量やバランスが変わり、たとえば、肉はよく食べるけれども、魚はあまり食べない食生活はオメガ3系脂肪酸が不足する可能性が高くなります。

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、細胞膜を構成する成分や炎症やアレルギー反応に関与する生理物質の原料になることから生殖機能に深く関与することが知られていて、これらの摂取バランスと妊娠しやすさの関係については多くの研究報告がなされています。

体外受精を受けた女性を対象としたオランダの研究ではオメガ3脂肪酸のα-リノレン酸やDHAの摂取量が多いほど良好胚の数が多く(2)、顕微授精を受けた女性患者を対象としたイランの研究では採卵時の卵胞液中のEPA濃度が、非妊娠女性に比べて妊娠女性のほうが高かったとの報告がなされています(3)。

また、ハーバード大学のEARTH研究でも、DHAやEPAの食事やサプリメントからの摂取量や血中濃度が高いほど妊娠率や出産率が高かったと報告しています(4)。

このようにオメガ3脂肪酸は体外受精や顕微授精の治療成績とも相関するようです。

◎魚を多く食べるライフスタイルの影響
私たちは、2016年5月に名古屋と東京で開催された、妊娠を希望するカップルを対象としたイベントにて、食習慣や睡眠習慣、体格についてのアンケート調査を実施しました。

その結果から、魚類をよく食べるカップルは、欠食や偏食が少なく、全体に健康的な生活を送っておられました。

今回の研究でも、魚をよく食べるカップルは、ライフスタイル全般が健康的で、性生活も充実しているので、性交回数も多かったことがわかりました。

性交回数が多いほど妊娠率が高くなるのは当然のことです。

◎食べ方や性交回数の背景にあるライフスタイル
魚をたくさん食べることや性交回数を増やすことは高い妊娠率と関連することは、これまでも多くの研究で明らかになっています。

今回の研究では、「健康的なライフスタイル」が、そのベースにあることがわかりました。

つまり、魚をたくさん食べること、性交回数が多いこと、そして、早く妊娠に至ること、これらはいずれも、日常の健康的な生活の「結果」である、ということです。

見つめるべき、目指すべきは、決して、「魚を多く食べること」でも、「性交回数を増やすこと」でもなく、「夫婦で生活を楽しむこと」ではないでしょうか。


文献)
1)J Clin Endocrinol Metab Online First.
2)Fertil Steril 2011; 95: 1820-1823.
3)Lipids Health Dis 2017; 16: 18.
4)Hum Retrod. 2018; 33: 156-165.

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・翻訳書:妊娠しやすい食生活
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・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

つくづく、妊娠成立に関与する因子は多岐に渡ることを思い知らされます。ただ、それを貫くスタイルがあるということも事実のようです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]    VOL.782
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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・合計部数: 4,898部(6月10日現在)
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