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VOL.789 妊娠中の葉酸補充と出生児の脳の発達

2018年07月29日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.789 2018/7/29
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:妊娠中の葉酸補充と出生児の脳の発達
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2018年7月27日 曇り時々雨、のち晴れますように
学界参加してきました
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20180727.html
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最新ニュース解説 Jul.2018__________________________________________

 妊娠中の葉酸補充と出生児の脳の発達
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妊娠中の葉酸補充は出生児の脳の良好な発育に関連するというハーバード大学のグループによる研究結果が医学誌「JAMA Psychiatry」に掲載されました(1)。

葉酸と言えば、妊娠、出産に際して最も重要なビタミンで有名です。

葉酸は、ビタミンB群に属し、補酵素として、アミノ酸やたんぱく質など、私たちの身体にとって重要な物質の合成に関与していて、DNAの合成や細胞の増殖に必須です。

妊娠期は、胎児にとっても、母親になる女性にとっても、細胞分裂が最も活発に行われるので、とりわけ大切になります。

そのため、妊娠前から妊娠初期(3ヶ月)迄、サプリメントで補充することで胎児の二分脊椎症や無脳症などの先天異常の発症リスクが約70%も低下することがわかっていますが、葉酸が不足すれば、胎児の先天異常だけでなく、さまざまなリスクが高くなります。

その中で、出生児の自閉症スペクトラムなどの精神疾患のリスクとの関連について、多くの疫学研究による報告がなされています(2)が、明確な結論は出ていませんでした。

◎どんな研究だったのか
アメリカでは1996年に1998年までに全ての食品メーカーは穀物への葉酸添加を法律で義務づけることを決定しました。

妊娠前の女性が葉酸を不足しないように主食に葉酸を添加し、全国民に強制的に葉酸を摂取させているのですが、このような国は現時点で世界で81か国あります。

既に20年になりますが二分脊椎症などの神経管閉鎖障害の発症数がこの法律の施行後に劇的に減少したことが検証されています。

因みに、日本では厚労省が妊娠前の女性に葉酸補充を推奨していますが補充するかどうかは個人のまかせているために穀物に添加しているような国と比べると先天異常の発症率は高くなっています。

さて、今回の研究では、妊娠中の葉酸摂取が出生児の脳の発育に影響するのかどうかを調べるべく、3つのグループの子どもを対象に研究を実施しています。

ハーバード大学医学部の関連病院であるマサチューセッツ総合病院で、生まれた子ども292名。そして、フィラデルフィア神経発達コホート研究(PNC)に参加した子ども861名、もう1つ、脳の発達のためのNIH(アメリカ国立衛生研究所)MRI画像研究(NIH)に参加した子ども217名です。

共通しているのは、全員、なんらかの理由で脳のMRI検査を受けていることです。

そして、子どもを出生時期で3つのグループ、1つは葉酸添加の法律が公布される前(1996年以前)の葉酸非摂取群、もう1つは法律の公布と施行の間(1996年から1998年)の葉酸部分的摂取群、そして、法律の施行後(1998年以後)の葉酸摂取群にわけ、同年齢の子どもの脳の発育状況をグループ間で比較しました。

その結果は驚くべきものです。

マサチューセッツ総合病院出生児では両側前頭葉、側頭葉の大脳皮質の厚みが葉酸摂取群で厚く、脳の成熟度が高かったことがわかりました。また、PNCやNIHの子どもでも葉酸摂取群のほうが脳の成熟度が高く、精神疾患の発症リスクが低かったというのです。

このことから、妊娠前から妊娠中に葉酸が添加された穀物を食べることで出生児の脳の発育や成熟が良好になり、精神疾患の発症リスクが低くなることが示唆されました。

◎妊娠3ヶ月以降の葉酸補充について
厚労省は先天異常の発症リスク低減を目的とした葉酸の補充は、妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月迄、通常の食事摂取に加え葉酸400µg をサプリメントから毎日摂取することを推奨しています。

妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月迄としているのは、先天異常の発症が妊娠の極初期に発生するためです。

そのため、妊娠3ヶ月以後については、サプリメントによる補充を推奨していません。

今回の研究結果から妊娠3ヶ月以降も出生児の健康を目的に葉酸のサプリメントを出産まで継続して摂取してもいいかもしれません。

ただし、その一方で、妊娠後期の葉酸サプリメント過剰摂取は出生児のアレルギーの発症リスク上昇に関連するという研究報告(3)がいくつかなされています。

そのため、継続する場合、厚労省が設定している食事以外のサプリメント摂取の上限量である1000μgを超えないように注意する必要があります。

◎全体のバランスが最重要
葉酸補充の先天異常の発症リスク低減効果は高いレベルのエビデンスとされていますが、それでも葉酸補充で100%予防することは不可能です。

原因が葉酸不足だけではないからです。

このように1つの栄養素ですべてが解決できるわけではありません。

お子さんの脳の発育についても言うまでもないことです。そのため、すべての食事でさまざまな食材をまんべんなく食べることが基本です。


文献)
1)JAMA Psychiatry. 2018 Jul 3. [Epub ahead of print]
2)JAMA Psychiatry. 2018; 75: 176.
3)Am J Epidemiol. 2009; 170: 1486.
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編集後記____________________________________________________________

先週の26日(木)、27日(金)の2日間、千葉の幕張メッセで第36回日本受精着床学会が開催され、私たちの会社は企業展示とランチョンセミナーを共催しました。

企業展示ブースには2日間で多くの先生にお越しいただき、また、ランチョンセミナーも満席の盛況で、かつ、可能な限り、聴講し、勉強できて、実りの多い学会参加でした。

私たちから情報を発信し、提供できただけでなく、貴重な情報を得て、経験をすることが出来ました。

これらを活かして、さらに還元していきたいとの意を強くしました。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]    VOL.789
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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