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妊娠しやすいカラダづくり No.794 2018/9/2
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・今月のトピックス:子宮内フローラと着床環境(後半)
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2018年9月2日 最新ニュース
食事パターンと精子劣化リスクとの関係
http://www.akanbou.com/news/news.2018090101.html
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今月のトピックス Aug. 2018_________________________________________
子宮内フローラと着床環境(後半)
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今週は新しい月になりましたが、先週のトピックス「子宮内フローラと着床環境」の前半に引き続き、後半をお届けします。
前半では、従来、無菌と考えられてきた子宮内にも微生物が常在していること、比較的、その多様性に乏しいこと、そして、子宮内常在微生物のほとんどを占めるラクトバチルスが90%未満と非優勢な状態では着床不全のリスクが高まるかもしれないという内容でした。
今週は、その対策について、すなわち、子宮内のラクトバチルスが少なく、着床にマイナスの影響を及ぼしているかもしれないという場合、ラクトバチルスを増やし、子宮内の環境を改善する方法について考えてみたいと思います。
ただし、そもそも、子宮内に細菌が常在していることがわかったのが、つい最近のことです。
よって、子宮内フローラの妊娠しやすさへの影響についても、その対策についても、研究途上あところがあることを知っておく必要があります。
また、古くから常在細菌の存在やその異常が招くさまざまなリスクが知られていた腸内や膣内でさえ、それらの細菌叢異常に対する治療法が確立されているとは言い難い状況にあると言っても過言ではありません。
そうは言うものの、腸内や膣内の細菌叢異常への対策としてある程度有効性が認められている方法があり、これまでのところ、子宮内細菌叢異常への対策として、それらの方法が試みられているように思います。
それは、膣内細菌叢と子宮内細菌叢が相関していることがわかっているからです。つながっているので、当然と言えるかもしれません。
■抗生剤・プロバイオティクス・プレバイオティクス・シンバイオティクス
具体的には抗生剤の服用やプロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクスなどがあり、それぞれに特徴があります。
◎抗生剤
子宮内の細菌叢の悪化の原因となっているであろう雑菌の発育を、抗生剤によって阻害し、ラクトバチルス優勢な環境をつくろうとします。
ただし、抗生剤によっては、有益な細菌の発育まで阻害し、かえって、細菌叢異常を悪化させてしまうリスクもあります。
◎プロバイオティクス
プロバイオティクスとは、乳酸菌やビフィズス菌などに善玉菌そのものを摂取、もしくは、膣剤投与するものです。
因みにラクトバチルスは乳酸菌の一種です。
医薬品や医薬部外品もあれば、サプリメントもありますが、たいていは、数種類の乳酸菌やビフィスズ菌、酪酸菌、糖化菌がブレンドされています。
膣剤は国内の医薬品にないので、海外の医薬品が処方されます。
ラクトバチルスそのものを増やすことになったり、善玉菌を増やし、悪玉菌を抑制しようとするものです。
ただし、ラクトバチルスにはいくつもの種類があり、いずれのラクトバチルスがよいのか個人差があったり、善玉菌を摂取しても常在するかどうかはやってみなければわかりません。
◎プレバイオティクス
プレバイオティクスはプロバイオティクスのように善玉菌そのものを摂取するのではなく、善玉菌の増殖を促進、活性化し、環境を改善しようとするものです。
腸内細菌叢を改善するための代表的なプレバイオティクスにはオリゴ糖や食物繊維などがありますが、膣内のラクトバチルス増殖作用があるプレバイオティクスにラクトフェリンがあります。
ラクトフェリンはヒトの母乳、特に出産後数日の間に多く分泌される初乳や涙、唾液、血液などに含まれる感染防御機能をもったタンパク質です。
悪玉菌が増殖するのに鉄が必要とされるのですが、ラクトフェリンには強力な鉄結合作用があるため悪玉菌の増殖を抑制する抗菌作用がある一方で、ラクトバチルス増殖作用があり、効果は最も安定的かもしれません。
ラクトフェリンは経口摂取ですので、腸内細菌の改善も期待できます。
◎シンバイオティクス
プロバイオティクスを摂取する場合、善玉菌を定着させるためにプレバイオティクスを一緒に摂取することをシンバイオティクスと呼んでいます。
適切なプロバイオティクスとプレバイオティクスの組み合わせは理想的と言えるかもしれません。
以上のような方法があります。
■もちつ、もたれつの(共生)関係を大切にする
腸内環境(細菌叢)は、食事内容や生活習慣と密接に関連していることが知られていますが、腸内細菌叢は早産のリスクと関連するという研究報告もあり、生殖機能と間接的に関与している可能性が大です。
歯周病による感染が流産や早産のリスクを高めることもよく知られています。
そのため子宮内や膣内の環境を整える際には生殖器官だけでなく、腸内環境も意識することが大切です。
バランスのとれた食生活や生活リズム、睡眠、運動、ストレスマネージメント、また、食品添加物や加工食品、過度の飲酒、喫煙は避けることなどがポイントです。
また、抗生剤の必要以上の使用も避けるのが無難です。
特に、食習慣が変われば、腸内環境も変わります。
ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品やプロバイオティクスなを積極的に食べ、動物性脂肪や加工食品などを控えることはよく知られています。
また、それもさることながら、日々の習慣、たとえば、食事を楽しむ、食べ過ぎない、たまに断食をする、ストレスや怒りをうまくコントロールすることも、とても大切なことだと思います。
腸内にしろ、生殖器にしろ、微生物と私たちは「お互いに」なくてはならない関係です。
つまり、もちつ、もたれつの、共生関係なわけです。
であれば、よい細菌に定着してもらうには、私たちもよい宿主になる必要があるということになります。
一方的によくなってもらおうというのは、虫が良すぎるはなしではないかと思います。
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編集後記____________________________________________________________
細菌叢の改善は総力戦ですね。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.794
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