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妊娠しやすいカラダづくり No.799 2018/10/7
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今週の内容__________________________________________________________
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・編集長コラム:パラダイムシフト
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・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2018年10月6日 最新ニュース
カップルのカフェイン摂取と体外受精治療成績の関係
http://www.akanbou.com/news/news.2018100601.html
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2018年10月1日 曇り時々雨、のち晴れますように
心変わり、するものです
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20181001.html
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編集長コラム Oct.2018______________________________________________
パラダイムシフト
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最近、良好な胚の移植を繰り返しても妊娠に至らず、着床に問題があることが疑われる患者さんに、子宮内の細菌の種類や量を調べる検査を行うクリニックが増えています。
子宮内にも、腸内のように細菌がすみついていて、その細菌叢(細菌の集合体)の構成によっては着床しにくくなる可能性があることがわかってきたからです。
ラクトバチルス属菌という乳酸菌が優勢であれば問題ないのですが、優勢でない場合、胚の着床にマイナスの影響を及ぼすかもしれないというのです。
子宮内に共生する細菌のあつまりの顔ぶれが着床に関与している可能性があるとは驚きです。
そもそも、子宮内には細菌は「いない」とされてきました。ところが、遺伝子解析技術の飛躍的な進歩によって「いた」ことがわかり、そして、それらが着床に関与している可能性まで出てきたと。
全く新しい不妊のリスク因子が出現したというわけです。
それも、細菌という母体以外の生物との関わりからです。
まだまだ、研究段階ではありますが、もしも、その通りなのであれば、女性の「妊娠しやすさ」をどうみるか、大幅な修正を迫られることになります。
つまり、これからは、着床環境というものを、子宮の状態だけでなく、そこに共生する「細菌」も含めてとらえ直す必要があるということになります。
パラダイムシフトが起こりつつあると言っても過言ではないと、私、個人的には思っています。
もしも、そうなると、「妊娠しやすさ」や「どのように妊娠を目指すべきか」についての概念も変更を迫られるようになります。
子宮内常在細菌は、ヒトとは別個の遺伝子と細胞をもつ生物とは言え、共生関係にあります。
子宮内に寄生してはいるものの、宿主とさまざまなやりとりをし、言ってみれば「持ちつ持たれつ」の関係にあるということです。
そのため、その細菌叢のバランスが悪くなるのは、細菌の棲家である子宮内環境にも原因があるはずです。
持ちつ持たれつの関係を築き、維持し、共生してきた善玉菌がすみづらくなり、代わって、悪玉菌が優勢になってしまったのは子宮内が善玉菌よりも、悪玉菌に適した環境になってしまったからではないかと。
もちろん、外部から雑菌が膣を通じて侵入し、感染を引き起こしたことがきっかけになっていることがあるかもしれませんが、やはり、悪玉菌がすみやすい環境が用意されていなければ、素通りし、常在する(いつく)ことはないでしょう。
大切なことは、子宮内を悪玉菌が優勢になっている環境から善玉菌が優勢になるような、本来の環境に戻すことです。
悪玉菌が優勢だからといって、悪玉菌を叩けばいいというような、そんな単純なものではないはずです。
子宮内のラクトバチルスの優勢な状態が損なわれている場合、ラクトバチルスそのものを投与するという対策をとられることも多いようですが、それにしても善玉菌であるラクトバチルスが素通りせずに、常在する環境でないと効果は低くなってしまいます。
それでは、子宮内環境を、どのように改善すればよいのでしょうか。
子宮内環境は腸内環境とつながっているという多くの研究報告がなされています。
ヒトの腸内には1000種類、100兆個という気が遠くなるような数の細菌集団が生息していると言われています。
そして、この細菌集団はヒトの心身の健康状態に深く関わっていることがわかっています。
そのメカニズムは解明されているわけではありませんし、子宮内の細菌集団、ましてや、着床能にどのように影響を及ぼしているのかも未知です。
まだまだ、研究段階であり、状況証拠が少しずつ積み上がっているところではありますが、たとえば、歯周病が不妊や流産、早産のリスクを高めることはよく知られていますし、細菌性膣症による膣内の細菌集団の悪化も流産や早産のリスクを高めることもよく知られています。
そして、歯周病の患者さんの口腔内細菌叢や細菌性膣症の患者さんの膣内細菌叢が腸内の細菌叢と相関しているとの報告もなされています。
とにかく、ヒトのさまざまなところに生息する細菌叢はさまざまなものを介して全身とネットワークでつながっているというイメージです。
そして、腸内細菌に最も影響するのは「食」です。
私たちが食べているものを腸内の細菌も食べているからです。
そのため、私たちがどんなものをどれくらい食べるかが、細菌の種類や量を決定していると考えられています。
これまでの研究で明らかにされているのは、大量生産された加工食品や精製食品、食品添加物、そして、その結果としての食物繊維の不足、また、動物性脂肪の摂り過ぎ等、食材や食べ方が自然な状態から遠ざかるほど、腸には負荷がかかり、そこに住みついている細菌叢を悪くさせるようです。
また、強いストレスもよくないと言われています。
反対に地中海食や和食スタイル、ヨーグルトや納豆などの発酵食品など、伝統的な食べ方や食材が腸内環境を良好に保つようです。
まずは、腸内環境を良好に保つことが、子宮内環境を改善することにつながるはずです。
興味深いことに、腸内環境を良好にするとされている食べ方は、そのまま、良好な治療成績と関連するとの研究報告がなされている食べ方と驚くほど似ています。
子宮内細菌叢の着床能への関与の可能性の発見によって、妊娠を目指すカップルは自分たちの心身だけでなく、普段は意識することがない、自身に常在する細菌叢のケアにも意識をひろげることを促されているように思えてなりません。
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