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VOL.805 妊娠中のオメガ3脂肪酸の摂取について

2018年11月18日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.805 2018/11/18
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:妊娠中のオメガ3脂肪酸補充
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2018年11月17日 最新ニュース
妊娠中のオメガ3脂肪酸補充は早産リスクを低減
https://www.akanbou.com/news/news.2018111701.html
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最新ニュース解説 Nov. 2018_________________________________________

 妊娠中のオメガ3脂肪酸補充
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妊娠中のオメガ3脂肪酸のサプリメント摂取は、早産や低出生体重児のリスクを低くするのに有効であるという、コクランメタ解析の結果(1)が発表されました。

早産の原因の一つに「炎症」があり、オメガ3脂肪酸は「抗炎症作用」があることから、以前より、オメガ3脂肪酸の補充が早産予防に有効ではないかと考えられてきました。

これまで、日本では東京大学の研究者らが、動物実験を行ったり、妊婦を対象にした食事調査で、早産だった妊婦は正規産だった妊婦に比べて、妊娠後期のEPAの摂取量が少なかったと報告しています。

海外ではオメガ3脂肪酸のサプリメントや魚の摂取の早産予防に対する有効性を調査した、ヒトを対象とした臨床試験が数多く行われてきました。

今回、これまで実施された臨床試験の中から、70の無作為化比較対照試験(トータル被験者数:19,927名)を抽出し、統合し、解析した結果、妊娠中にオメガ3脂肪酸を補充していた女性はしていなかった女性に比べて早産や低体重出生児のリスクが有意に低いことがわかったというのです。

筆者らは、500〜1000mgのオメガ3脂肪酸(DHAを少なくとも500mg含む)を妊娠12週から開始することを推奨しています。

質が高いエビデンスとして国際的な定評のあるコクランレビューが「高いエビデンスレベル」と結論づけられたことは注目に値すると思います。

妊娠中のオメガ3脂肪酸の補充は、早産や低体重出生児の予防に限らず、出生児のアレルギー予防や認知機能向上など、さまざまな有効性が期待され、多くの臨床試験が行われています。

エビデンスレベルはさまざまですが、妊娠、出産時のリスク低減だけでなく、生まれてくる子どもの心身の健康に寄与するというものです。

コペンハーゲン大学による「コペンハーゲン小児喘息前向きコホート研究2010」は、それらの中でも信頼できる研究の一つで、妊娠中のオメガ3脂肪酸のサプリメント摂取は出生児のぜんそくを抑制するのに有効であると報告しています(2)。

妊娠24週の736名の女性をランダムに2つのグループに分け、一方のグループには1日に2.4グラムのオメガ3脂肪酸(魚油/EPA55%、DHA37%)を、もう一方のグループにはプラセボ(オリーブオイル)を、出産1週間後まで摂取してもらい、出生児を5年間追跡調査し、ぜんそくの発症率を調べたという無作為化比較対照研究でした。

その結果、695名の出生児の3歳時点でのぜんそくの発症率はオメガ3脂肪酸グループで16.9%、プラセボグループで23.7%で、オメガ3脂肪酸摂取はぜんそくの発症を30%も抑制したというのです。

オメガ3脂肪酸の有効性もさることながら、この研究で注目すべきは、臨床試験開始時にDHAやEPAの血中濃度が低い女性ではサプリメントの効果が高く、血中濃度が高い女性ではサプリメントの効果はそれほどではなかったということです。

つまり、オメガ3脂肪酸が不足している女性には有効だったが、足りている女性は変わらなかったということが言えます。

これらの結果から、妊娠中のオメガ3脂肪酸のサプリメントによる補充を考えてみると、まず、摂取量が多いことが挙げられます。

コクランレビューの筆者は1日に500mgから1000mgで、その中にDHAが少なくとも500mgは必要と指摘しています。

また、コペンハーゲン小児喘息前向きコホート研究2010では1日に2.4gの魚油のサプリメントが使われています。EPA55%、DHA37%とありますから、EPAが1,320mg、DHAが888mg含まれていて、いずれも医薬品レベルの濃度と量です。

食習慣や文化は国や地域によって異なるため、欧米の研究結果をそのまま日本人にあてはめてよいかどうかわかりません。

そのため、日本人を対象とした無作為化比較対照研究を行うしかないのすが、現時点では、脂ののった魚を週に3回以上は食べ、そして、不安があればサプリメントで補充するというのが現実的ではないでしょうか。

オメガ3脂肪酸は、必須脂肪酸の1つで、亜麻仁油やしそ油などに豊富なαリノレン酸、魚の油に豊富なDHAやEPAが主なオメガ3脂肪酸です。

体内で合成することが出来ないことから食事から摂取するしかありません。亜麻仁油は一般的ではなく、また、体内でαリノレン酸からつくられるDHAやEPAはそれほど多くないので、主な供給源は「脂ののった魚」、または、サプリメントということになるからです。

そのため、魚をあまり食べない場合は、サプリメントで補充する必要性が高くなります。


文献:
1)Cochrane Database of Systematic Reviews 2018, Issue11. CD003402
2)N Engl J Med 2016; 375: 2530-9


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編集後記____________________________________________________________

東京の日本橋高島屋三井ビルの10階にオープンした「フィーカレディースクリニック」を見学してまいりました。

「フィーカ」というのは、スウェーデン人のライフスタイルともいうべき、「お茶しよ!」という意味なのですが、それをクリニック名なだけあって、クリニックと思えない、居心地のよさそうな空間でした。

考えてみれば、医療機関と居心地の良さって、これまは両立しがたいものでした。

ブログに書きました。
http://ur0.link/NDtF


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.805
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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