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妊娠しやすいカラダづくり No.809 2018/12/16
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・今月のトピックス:日照時間の短い季節はビタミンD不足に要注意
・お知らせ
・当社製品&サービス
・編集後記
今月のトピックス Dec. 2018_________________________________________
日照時間の短い季節はビタミンD不足に要注意
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ビタミンDが不足していると妊娠、出産に良くない影響を及ぼす可能性があることが知られるようになりました。ところが、必要とされるビタミンDのほとんどは、紫外線を利用して皮膚でつくられることから、日照時間の短い季節には不足しやすくなります。そのため、冬場は妊娠を希望されるカップルにとっては不足しないように注意する必要があります。
また、ビタミンDが不足している女性は鉄も不足していることが多いという研究報告(1)もあり、もしも、ビタミンD不足と診断された場合は、鉄不足にも気をつけたほうがよいかもしれません。
◎ビタミンDについて知っておきたいこと
・ビタミンDは紫外線を利用して皮膚でつくられる
ビタミンDは、脂溶性(油に溶ける)ビタミンの一つで、キクラゲや椎茸などのキノコ類に含まれる植物由来のビタミンD2と、サケやカツオ、いわしなどの魚介類に含まれる動物由来のビタミンD3があります。
ただし、体内で使われるビタミンDのほとんどは、紫外線を利用して皮膚でもつくられています。
・肝臓と腎臓で代謝され、活性型ビタミンDに変換される
日光にあたると皮膚でコレステロールからプレビタミンD3がつくられます。その後、ビタミンD3に変換され、肝臓に運ばれて25(OH)Dとなり、腎臓で活性型ビタミンDの1,25(OH)2Dとなることで作用が発揮されます。
一方、食事から摂取したビタミンD3は小腸で吸収されて肝臓に運ばれ、同様に腎臓で活性化されるようになります。
・ビタミンDの充足度は血中の25(OH)Dを測定する
ビタミンDの過不足は血液検査で知ることが出来ます。血液検査で測定するのは、ビタミンD3ではなく、肝臓で変換される25(OH)Dです。25(OH)DがビタミンDの充足度の指標とされているからです。
その基準は以下の通りです。
欠乏:20ng/ml 未満
不足:20〜30ng/ml
充足:30ng/ml以上
◎ビタミンDと妊娠、出産
妊娠前からビタミンDが足りている女性は足りていない女性に比べて妊娠率、出産率が高く、流産率が低いという大規模な研究報告(2)が、最近、なされています。
過去に1回か2回の流産の経験があるけれども不妊症ではない18〜40歳の女性を対象に低用量のアスピリンの有効性を調べるために実施した二重盲検無作為化比較試験、EAGeR研究のデータを用いて実施されたものです。
1191名の女性の試験開始時、また、妊娠した女性には妊娠8週間に測定した血中の25(OH)Dについて、充足している女性と充足していない女性に分け、妊娠にチャレンジした6周期、そして、妊娠した女性については出産するまで追跡して、妊娠率や出産率、流産率を比較しています。
その結果、ビタミンDが足りている女性は足りていない女性に比べて妊娠率で10%、出産率で15%、それぞれ、高く、反対に流産率が12%低かったことがわかりました。
また、昨年、ビタミンDが充足している女性はそうでない女性に比べて体外受精の治療成績が良好だったというメタアナリシスの結果(3)がイギリスから発表されています。
一方、ビタミンDの充足度は妊娠しやすさだけでなく、赤ちゃんの心身の健康にも影響を及ぼすことが多くの研究で明らかになっています。
このように妊娠を目指す女性にとって、ビタミンDの不足や欠乏を回避しておくことはとても大切なことがわかります。
◎ビタミンDの充足に必要な日にあたる時間
必要とされる量のビタミンDを体内でつくるのに、どれくらいの時間、日にあたればいいのか、推奨日光照射時間をタイムリーに教えてくれるサイトがあります。
国立環境研究所/地球環境研究センターが提供するビタミンD生成・紅斑紫外線量情報の簡易サイトです。
http://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/mobile/
まず「観測局の選択」で最寄りの観測局を選び、その日のその時間の天気で、適切な量のビタミンDを体内で生成するために推奨される日光照射時間が表示されます。
因みに、今の季節の午前中の横浜で調べてみると、顔と手を、なんと!338分も日にあてることが勧められました。
ほぼ半日を屋外で過ごす必要があり、ほとんど無理です。
◎ビタミンDが豊富な食品を積極的に食べ、サプリメントも活用する
このように冬場は体内でつくられるビタミンDの量は必然的に少なくなってしまいます。そのため、まずは、食事で積極的に摂取し、さらにはサプリメントも活用も考えたほうがよさそうです。
・ビタミンDを食事から摂取するコツ
まずは、魚です。ビタミンDは野菜や穀物にはほとんど含まれていません。魚を積極的に食べることです。イワシやサンマ、カレイ、サケ、ブリ、シラス干しなどに豊富です。
また、キノコや干しシイタケにも多く含まれています。シイタケは、紫外線にあたるとビタミンDが増えます。そのため、シイタケを食べるときは、使う前に天日で干すとよいと言われています。たとえ、干しシイタケでも、使う前に、再度、日光にあてると、よりビタミンDが増えるそうです。
・サプリメントから摂取するコツ
サプリメントで補充するのが最も確実です。1日に最低でも800〜1000IU(20〜25μg)の補充をお勧めします。
吸収効率を考えるとタブレットタイプよりも、ソフトカプセルがベターです。ビタミンDは油に溶ける性質があるからです。
最近、魚油を原料としたビタミンDのサプリメントを求められることが多くなりましたが、現時点でビタミンDの原料として使える安全な魚油は存在しません。現実的には羊毛由来(羊毛を紫外線に照射して生成)の原料になります。
また、摂取するタイミングがとても重要です。1日で最も食事の量が多い食後すぐが最も吸収率がよいタイミング(4)です。
・サプリメント摂取の安全性について
ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、サプリメントで補充すると過剰になることを心配される方が少なくありません。
ただし、サプリメントで補充するのは活性型ビタミンDではなく、ビタミンD3です。過剰が心配されるのは活性型ビタミンDで、もしも、ビタミンDが充足しているにもかかわらず、サプリメントでビタミンD3を補充しても、そこから活性型に変換されませんので、心配はありません。
因みに厚労省の食事摂取基準ではビタミンDの上限量は100μg(4000IU)とされています。
◎ビタミンDが不足している女性は鉄も不足していることが多い
ポーランドからの研究報告(1)で、健康な女性アスリート219名を対象に血液検査で25(OH)Dとフェリチン(貯蔵鉄)を測定したところ、ビタミンDが不足している女性の間で鉄が不足している女性の割合はビタミンDが充足している女性に比べて32%高く、鉄が不足している女性においては、ビタミンDが不足している女性の割合が鉄が充足している女性に比べて75%も高かったというのです。
要するに、ビタミンDが不足している女性は鉄も不足していることが多く、鉄が不足している女性ではビタミンDも不足していることが多いと。
この理由については調べていませんが、考えられるのはビタミンDがヘプシジンという鉄の代謝に関与しているホルモンを介して、鉄の吸収に影響を及ぼしているのではないかということ。また、肝臓でビタミンD3から25(OH)Dに変換される際の代謝酵素はヘム酵素であり、鉄が不足すると絵変換効率が低下するのではないかということです。
ビタミンDと鉄が、お互いも吸収や代謝に関与しているということは、ビタミンD不足や鉄不足の場合、単に、ビタミンDや鉄だけを補充するだけでは根本的な解決は難しいということになります。
食事やライフスタイル全般を見直すことが重要になってくるかもしれません。
以上です。
ビタミンDは妊娠、出産に重要なビタミンですが、特に冬場は不足しやすい宿命にあります。そのため、妊娠、出産を望まれる女性は、食事から積極的にビタミンDを摂取し、サプリメントを活用されるのがよいと思います。
因みに緯度の高いイギリスでは、政府機関が妊娠を望む女性には葉酸だけでなく、ビタミンDのサプリメントも推奨しています。
文献)
1)Nutrients. 2018; 10: 167
2)Lancet Diabetes Endocrinol. 2018; 9: 725.
3)Hu Reprod 2018; 33: 65.
4)J Bone Mineral Research 2010; 25: 928.
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編集後記____________________________________________________________
今年もあと2週間になりました。なにかと慌ただしい時期になりますが、気温の変化が大きい時もありますので、体調の管理にはくれぐれも注意したいですね。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.809
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