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妊娠しやすいカラダづくり No.819 2019/2/24
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・トピックス:摂れば摂るほどよいというわけではない
・お知らせ
・当社製品&サービス
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2019年2月21日 曇り時々雨、のち晴れますように
多職種連携
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トピックス _________________________________________________________
摂れば摂るほどよいというわけではない
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栄養素と医薬品は、その働き方が大きく異なります。
簡単に言えば、栄養素はチームプレイヤーで、医薬品は個人プレイヤーです。
要するに、栄養素は一人ではたいしたことはできないけれども、チームになればいい仕事をする、一方、医薬品は、一人で最後まで仕事ができるというわけです。
そのため、栄養素を活かす最大のポイントは「いいチームをつくる」とうことになります。
たとえば、妊娠、出産に深く関与している栄養素だからと言って、それだけをたくさん摂っても、あまり意味がないのですね。イチロー選手が素晴らしいからと言っても、イチロー選手ばかり9人揃えても、決して、強い野球チームにはならないのと同じことです。
ところが、食事なり、サプリメントなりで栄養素を摂取する場合、まるで、個人プレイヤーかのごとく、すなわち、イチロー選手を揃えようとする感覚になってしまうことがあります。
たとえば、オメガ3脂肪酸です。
◎オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランス(1)
オメガ3脂肪酸はその名のごとく脂肪酸の一つのカテゴリーで、このオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、必須脂肪酸、要するに、生きていくのに絶対に必要な栄養素なのだけれども体内で合成できない脂肪酸とされています。
脂肪酸の役割として、エネルギー源という印象が強いかもしれませんが、脂肪酸は、身体そのもの(細胞膜を構成する成分)やホルモンの材料にもなります。また、脂肪酸自身が、あるいは、変換されて、身体の機能を調節する生理活性物質になったりと、その働きは多彩です。
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸を構成する脂肪酸は、それぞれ変換され、最終的には相反する働きをもつ生理活性物質になります。
オメガ6脂肪酸からつくられる生理活性物質には、炎症促進作用や血管収縮作用があり、反対にオメガ3脂肪酸からつくられるそれは、炎症抑制作用や血管拡張作用があります。
そして、これらの脂肪酸はお互いに綱引きをしている状態にあります。
もしも、オメガ6が多く、オメガ3が少なくなると炎症が起き、続きやすく、また、血流が悪くなり、アレルギー体質が促進されます。
そのため、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取バランスが身体の働きに大きな影響を及ぼすことになるのです。
生殖機能においても例外ではありません。
◎オメガ3系脂肪酸と体外受精治療成績
炎症や血管収縮は妊娠や出産にはマイナスの影響を及ぼすはずです。実際、オメガ3系脂肪酸は体外受精の治療成績にもよい影響を及ぼすとの研究報告がなされていて、ハーバード大学によるEARTH研究(2)では血中のオメガ3系脂肪酸濃度は1%増えると臨床妊娠率や出産率は8%上昇したと報告しています。
ところが、別の研究では、アメリカ人女性ではオメガ3脂肪酸の摂取量が多いほど妊娠率も高かった一方で、デンマーク人女性では関連しなかったとの報告(3)がなされています。
別の研究では、体外受精で妊娠に至った女性は妊娠に至らなった女性に比べて血中のEPA値が有意に高く、オメガ3系脂肪酸の摂取量が多いほど良好胚率が高かったことが示されています。
要するに、オメガ3脂肪酸と言えども、多く摂れば摂るほど、必ずしも妊娠率が高まるわけではないということです。
このことはオメガ3脂肪酸が個人プレイヤーではなく、オメガ6脂肪酸とチームを構成して働いてることを物語っています。
オメガ3の摂取量ではなく、オメガ3とオメガ6のバランスが身体の正常な働きの要件になるというわけです。
◎バランスは食事次第
必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は体内で合成されませんので、食べて摂り入れなければなりません。
そのため、どんな食べ方をするかが、バランスを決定することになります。
オメガ3脂肪酸であるDHAやEPAの供給源はほとんどが魚類で、αリノレン酸の供給源はえごま油や亜麻仁油、しそ油で、これまでの研究(4)では魚介類の摂取が体内のオメガ3脂肪酸の量をほとんど決定すると報告されています。
一方のオメガ6脂肪酸のリノール酸はコーン油やひまわり油、大豆油、サフラワー油、ごま油など多くの植物油の主要脂肪酸です。
◎必須脂肪酸のバランスの見極め方
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取バランスが適切かどうかは、普段の食事内容をチェックすることです。
まずは、魚を食べているかどうかが最大のポイントです。目安としては週に2、3回、脂ののった魚を食べることです。
魚をあまり食べない場合、オメガ3脂肪酸が不足し、必須脂肪酸のバランスが悪くなっているリスクが高いと考えられます。
また、加工食品を多食している場合はオメガ6脂肪酸を過剰に摂取し、たとえ、オメガ3脂肪酸をそこそこ摂取していても、その働きを抑制しているリスクが高いと考えられます。
たとえば、冷凍食品や揚げ物、スナック菓子、ミルクチョコレート、アイスクリーム、マーガリン使用のパンや洋菓子。さらには、中華料理や洋食などの外食が多い、自分で調理せず、デリカや総菜売り場を利用することが多いというような食生活の場合です。
反対に、加工食品をそれほど食べず、自分で新鮮な食材を調理し、オリーブオイルや菜種油などを揚げ物や炒め物に使っているような場合は、オメガ3脂肪酸の摂取量がそれほどでもなくても、オメガ3脂肪酸の働きが発揮される可能性が高いと言えるかもしれません。
◎オメガ3脂肪酸のサプリメントの必要性
普段の食生活を振り返って、必須脂肪酸のバランスに問題があるかもしれないという場合、まずは、バランスがよくなる食べ方を目指すことが先決です。
そして、すぐには改善が難しい場合、また、改善に取り組んでも体内のバランスが適切になることを早めたい場合、オメガ3脂肪酸のサプリメントを利用するという選択肢があります。
◎大切なのは「バランス」
オメガ3脂肪酸の摂取は補充を増やせばよいという単純なものではありません。オメガ3脂肪酸の摂取が少ない場合は増やし、それと同時にオメガ6脂肪酸が過剰になっている場合はオメガ6脂肪酸の摂取量を減らします。
どちらが欠けてもバランスは整いません。
栄養素はチームプレイヤーであるため、よいチームをつくることに注力することが大切です。
文献)
1)食と医療 2018; 4: 16
2)Hum Reprod. 2018; 33: 156.
3)Am J Epidemiol. 2018; 187: 60.
4)Lipids Health Dis. 2011; 10: 138.
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編集後記____________________________________________________________
少しずつ、春の気配を感じる今日この頃です。
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