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妊娠しやすいカラダづくり No.844 2019/8/18
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今週の内容__________________________________________________________
・最新ニュース解説:葉酸は出生児の自閉症発症リスクをも低くする
・お知らせ
・当社製品&サービス
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2019年8月18日
最新ニュース
妊娠前の葉酸サプリメントは出生児の自閉症リスク低下に関連する
https://www.akanbou.com/news/news.2019081801.html
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2019年8月15日
曇り時々雨、のち晴れますように
高額な不妊治療費用
https://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20190815.html
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最新ニュース解説 Aug.2019__________________________________________
葉酸は出生児の自閉症発症リスクをも低くする
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妊娠前の葉酸やマルチビタミンサプリメントの摂取は、出生児の自閉症の発症リスクを低くする可能性があることがアメリカで実施された研究で明らかになったという論文が発表されました。
アメリカ国立小児保健発達研究所による研究で、妊娠前の栄養摂取と出生児の神経発達障害の関係を調べるために、これまでに行われた複数の研究結果を統合して、解析した結果わかりました。
神経発達障害というのは、自閉症スペクトラム症(ASD)やADHD、知的能力障害などのことで、栄養の摂取と関連性が見出されたのは、葉酸やマルチビタミンのサプリメントの摂取とASDだけで、発症リスクの約40%低下と関連するというものでした。
妊娠前の葉酸のサプリメントの摂取については、出生児の二分脊椎症や無脳症などの神経管閉鎖障害の発症リスクを70%も低くするというエビデンスが、既に、確立されています。
そのため、厚労省は妊娠前から1日に400μgの葉酸を、サプリメントで補充することを推奨しています。
アメリカや諸外国に至っては、小麦粉に葉酸を添加することを義務付けていて、言ってみれば、全国民に葉酸を強制的に摂らせ、実際、大きな効果をあげています。
そして、今回の研究では、葉酸の補充は自閉症の予防にも有効であるかもしれないということがわかりました。
◎葉酸は、なぜ、妊娠、出産に際しての最重要栄養素なのか?
葉酸はビタミンB群の一つで、DNAの合成や修復に働き、細胞の正常な分裂、増殖に深く関与しています。
また、遺伝子の発現を調節するDNAのメチル化に使われるメチル基の提供に関わっています。
さらには、不育症や早産、低出生体重児のリスクを上昇させるホモシステインの代謝(変換)にも関わっていることが知られています。
要するに、妊娠の成立や継続、そして、健康な子どもの出産にはなくてはならない栄養素であると言えます。
通常(非妊娠時)、最も活発に細胞が分裂し、増殖するのは、約20兆個あると言われている赤血球です。常に、全身の細胞に新鮮な酸素を送り続けなければならないからです。そのため、葉酸が不足すると赤血球がうまくつくられなくなり、貧血を引き起こします。
葉酸が「造血ビタミン」と呼ばれているのはこのような理由からです。
その一方、妊娠、出産時、すなわち、受精後から出産するまで、新しい命の細胞が活発に分裂、増殖し、そこに大量の葉酸が必要とされるようになります。
そこで、体内の葉酸の量が自分で使う分で精一杯であれば、新しい命が必要とする葉酸を供給できません。
そうすると、葉酸の不足が胚の発育障害や流産、早産、低出生体重児、そして、出生児の先天異常の発症リスクを上昇させることになります。
葉酸が「妊娠、出産時の最重要ビタミン」とされているのはこのような理由からです。
◎葉酸を不足させないために
厚労省の食事摂取基準では、30代、40代の女性の推奨量は240μg、妊娠中の付加量は240μgが付加されます。
それとは別に、妊娠前から妊娠3ヶ月迄、モノグルタミン酸型(合成)葉酸をサプリメントで400μg付加することを推奨しています。また、サプリメントの耐容上限量を1000μgとしています。
1)バランスよく食べる
日頃から葉酸が豊富な食材を積極的に食べることが大切です。
具体的には、葉酸は植物性食品だけに含まれていると思われがちですが、レバーや魚の肝などの動物性食品にも豊富で、植物性ではアスパラガスや枝豆、ブロッコリー等に豊富です。
食事ということで言えば、葉酸が働くには、葉酸だけでなく、ビタミンB6、B12、亜鉛、ビタミンD等のビタミンやミネラルも関与しています。
そのため、葉酸だけでなく、ビタミンB群やビタミンD、亜鉛なども不足しないことが大切です。
2)葉酸サプリメント利用
食事由来の葉酸は、吸収率の低い「ポリグルタミン型」であるため、食事のみで神経管閉鎖障害発症リスクを抑えるには1日800μg 必要となり、摂取状況から考えると、現実的とは言えません。
そこで、「モノグルタミン酸型」、すなわち、天然由来ではなく、合成の葉酸をサプリメントで補充することになります。
摂取量は1日に400μg(1000μg未満)で、摂取期間は妊娠前から妊娠3ヶ月迄、もちろん、妊娠全期間継続しても問題ありません。
また、葉酸だけでなく、ビタミンB6やB12がブレンドされているものがベターです。
3)遺伝子多型の問題
妊娠前から妊娠中に葉酸サプリメント補充が望ましいのは、食事だけでは不足しやすいという理由だけではありません。
遺伝子多型の問題があります。
具体的には、日本人の約15%に遺伝的に葉酸の活用効率が低い遺伝的な特徴をもつ人がいるということです。
たとえ、そのような遺伝的な傾向があっても、非妊娠時であれば、すなわち、自分に必要な分だけであれば大きな問題が起こらなくても、赤ちゃんの分は不足してしまいやすくなります。
ただし、そのような遺伝的な特徴をもっている場合でも1日に400μgの葉酸サプリメントを補充していれば大きな問題にはならないことが研究で明らかになっています。
◎プレコンセプションケア
新しい命を迎えるに際しては、胎内環境を整えておくことはとても、とても大切です。新しい命が正常に形成されるかどうかは、胎内の栄養環境が大きく影響を及ぼすからです。
そして、それに必要な栄養は、100%、母親になる女性に頼っています。
自分の生命を維持するのに必要な栄養素と新しい命が育まれるのに必要な栄養素が綱引きをするような事態に陥ると、自分を優先することがわかっています。
つまり、自分を犠牲にして、新しい命を育むようには、設計されていないということです。
プレコンセプションケアが大切なゆえんです。
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・翻訳書:妊娠しやすい食生活
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・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________
暑い日が続きますが、過酷な状態になればなるほど、バランスよく食べること、熟睡することが心身の調子を左右することに気づかされることになります。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.844
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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