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VOL.847 プレコンセプションケアとしての食事と栄養

2019年09月08日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.847                            2019/9/8
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・トピックス:プレコンセプションケアとしての食事
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2019年9月2日 編集長コラム
心の苦痛を大きくしているものについて考える
https://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20190902.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


トピックス Sep.2019________________________________________________

 プレコンセプションケアとしての食事
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9月6日の金曜日に第43回日本女性栄養・代謝学会と当社共催のランチョンセミナーが神戸市の国際会議場にて開催されました。

「プレコンセプションケアと魚介類摂取」というテーマで、秋田大学大学院医学系研究科医学専攻社会環境医学系 の前田恵理先生にご講演いただきました。
https://partner-s.info/wp/wp-content/uploads/2019/09/lucheon_20190906.pdf

コンセプションとは「妊娠」のことですので、プレコンセプションとは「妊娠前」のこと。そして、プレコンセプションケアとは、プレコンセプションケアセンターを日本で初めて開設した国立成育医療センターにサイトには、「将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこと」と説明されています。

その目的は、「女性やカップルがより健康になること、元気な赤ちゃんをさずかるチャンスを増やすこと、さらに女性や将来の家族がより健康な生活を送れることをめざします」とあります。

プレコンセプションケアの大切なテーマが「食事や栄養」です。

食事内容が妊娠前のカップルの健康状態に大きな影響を及ぼし、そのことが「妊娠しやすさ」だけでなく、「カップルや子どもの生涯の健康」を左右することが、これまでの研究で明らかになってきているからです。

今回の前田先生のご講演は、皆さんと共有すべき内容でしたので、改めてご紹介させていただきますが、前田先生がご講演中に触れられていましたが、今年のヨーロッパ生殖医学会のオープニングの基調講演について、この号ではご紹介してみたいと思います。

オーストラリアのアデレード大学のClaire Roberts教授は、これまでの研究で妊娠前の食事の良し悪しが妊娠しやすに影響することを明らかにしていますが、それがヨーロッパ生殖医学会の基調講演に取り上げられました。

基調講演のもう1つのテーマが「遺伝子編集技術」でしたので、食事や栄養の妊娠しやすさへの影響が、いかに、世界的に関心の高いテーマであることがわかります。

◎ESHRE2019・基調講演
今年のESHREのオープニング基調講演では、オーストラリアのアデレード大学のClaire Roberts教授が食事がいかに女性の妊孕能に影響を及ぼすのかについて講演しました。

講演内容の重要なポイントは、妊娠前の女性が「なにをどう食べるか」が、妊娠までに要する期間に影響を及ぼすということ、そして、それだけでなく、次々世代を含む次世代、すなわち、子どもや孫の健康にまで影響を及ぼすことということです。

ファスフードの食べ過ぎや果物や野菜をあまり食べないこと、そして、亜鉛やセレンの不足、銅の過剰が、いずれもマイナスの影響を及ぼすことが明らかになっています。

このように、妊娠、出産を通して起こることが、新しい命の生涯の健康を形成する、そして、それは、妊娠前の食事が出発点になるということです。

新しい命の子宮内の成育状況は出生後の生涯に渡る慢性病のリスクに影響します。そして、その影響は子どもだけでなく、その次の世代である孫にまで及びます。

そのため、母親になる女性への食事について助産婦や看護師、医師によるエビデンスに基づいた助言は非常に重要な役割を担います。

◎妊娠前の食事と妊娠迄に要した時間との関係
Human Reproductionに掲載されたClaire Roberts教授の論文は、一般の集団を対象に食事と妊娠するまでに要した期間の関係について調査した初めてのエビデンスで、2017年7月から2018年6月までの間に最も多くダウンロードされた論文です。

その内容は以下の通りです。

Pre-pregnancy fast food and fruit intake is associated with time to pregnancy
Hum Reprod 2018; 33: 1063.

妊娠前の食事内容の妊娠するまでに要する期間への影響を検討することを目的に、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、英国の4ヶ国、6都市の妊婦を対象にした研究を実施しました。

被験者は5598名の妊婦で、初めての検診時(妊娠14-16週)に、助産師からの質問票で果物、緑色野菜、魚、ファストフードの食べる頻度を回答してもらい、それぞれの食べ物の食べる頻度と妊娠迄に要した期間、不妊症(妊娠迄に1年以上かかった)との関係を解析しました。

尚、被験者のうち不妊治療を受けた女性は340名(6%)で、ほとんどの女性は不妊治療を受けていませんでした。また、パートナーが男性不妊だった女性は除外されてました。

その結果、果物の食べる頻度が少ない女性ほど、また、ファーストフードを食べる頻度が多い女性ほど、妊娠迄の期間が長くなり、妊娠迄に1年以上かかることが多かったことがわかりました。

果物を食べる頻度が、1日に1か2回の女性は、1日に3回以上の女性と比べて、妊娠迄の期間が6%、週に1-6回の女性は11%、月に2、3回食べる女性は19%、ぞれぞれ、妊娠する迄に長くかかっていたことがわかりました。

反対に、ファーストフードを食べる頻度が週に2、3回の女性は、週に4回以上の女性に比べ、妊娠迄の期間が11%、週に1回の女性は21%、そして、全くファーストフードを食べなかった女性は24%、それぞれ、短かったことがわかりました。

不妊症の割合では、1日に3回以上果物を食べた女性に比べ、1日に2、3回食べた女性は7%、週に1-6回の女性は18%、月に1-3回の女性は29%、それぞれ高く、反対に、週に4回以上ファーストフードを食べた女性に比べ、週に2、3回の女性は18%。週に1回の女性は34%、食べなかった女性は41%、それぞれ、低かった。

これらの結果から、妊娠前に果物をたくさん食べること、ファーストフードをあまり食べないことが妊娠に有利であることがわかりました。

◎健康的な食事とは?
この研究では、果物を多く食べ、ファーストフードをあまり食べないことがよいという結果ですが、食と妊娠しやすさとの関係を調べた研究では、一言で言えば「健康的な食事」と言えます。

たとえば、地中海食は次のような食べ方です。

・野菜、果物の摂取量が多い。
・全粒粉を使っている。
・脂質はオリーブオイルが中心。
・ナッツ類、ベリー類、豆類、イモ類の摂取量が多い。
・魚、鶏、乳製品を少量から中量、赤身肉の摂取は少ない。
・卵は週4回以下。
・少量から中量のワインを食事と一緒に飲む。

そして、地中海食スコアの算出方法は以下の通りです。
https://www.akanbou.com/docs/medscore.pdf

また、ハーバード大学のEARTH研究で良好なART成績に関連した食品を組み合わせた食べ方として、"pro-fertility" dietを提唱しています。

・葉酸、ビタミンB12、ビタミンDのサプリメント
・残留農薬レベルが低い野菜や果物
・全粒穀物
・魚介類
・乳製品
・大豆食品

そのスコアの算出方法は以下の通りです。
https://www.akanbou.com/docs/pro-fertility%20diet.pdf

これら体外受精の良好な妊娠率や出産率につながった食べ方の特徴は、以下の通りです。
・朝、昼、夜の3食ともバランスよく(主食、主菜、副菜を揃えて)食べる。
・加工度や精製度の低い食品を選ぶ。

これがベースになります。

個々の食品や食材、栄養素にこだわることは枝葉末節なことで、ここから始めるべきです。

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info@akanbou.com


当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 https://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
 http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

Nurses'Health Study3やEARTH Studyのprincipal investigatorで、栄養と生殖機能研究の第一人者であるハーバード大学のJorge Chavarro先生の初来日を記念し講演会を11月10日に東京丸の内にて開催します。

Chavarro先生をはじめ、それぞれの領域の第一人者でいらっしゃる先生方から生殖医療に携わる医療従事者が知っておくべき最新のエビデンスについてご講演いただきます。

尚、今回の講演会は医療従事者を対象とさせていただいております。

◎ハーバード大学 Jorge Chavarro先生 初来日記念講演会
https://partner-s.info/memoriallecture


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]      VOL.847
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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◎発行部数
・自社配信: 1,380部
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・合計部数: 4,043部(9月8日現在)
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