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VOL.849 妊娠前の食事の質は子どもの14歳時の食事の質に影響

2019年09月22日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.849                            2019/9/22
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:妊娠前の食事の質は子どもの14歳時の食事の質に影響
・当社製品&サービス
・編集後記

更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2019年9月22日 最新ニュース
妊娠中の母親の食事の質と出生児の青年期(14歳時)の食事の質の関係
https://www.akanbou.com/news/news.2019092201.html
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info@akanbou.com


最新ニュース解説 Sep.2019__________________________________________

 妊娠前の食事の質は子どもの14歳時の食事の質に影響
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妊娠中の母親の食事の質が高いほど出生児の14歳時点の食事の質も高いという、驚くべき研究結果(1)がデンマークから報告されました。

研究は、デンマーク国立血清学研究所の研究チームによるもので、まずは、1996年〜2003年にデンマーク全国出生コホート研究で実施した妊娠中期の妊婦への食物摂取頻度調査票のデータを使って、妊娠中の女性の食事の質をHEIスコアで評価しました。

HEIスコアというのは「健康的な食事指数」のことで、スコアが高いほど食事の質が高く、健康的な食べ方をしているということになります。

そして、出生児が14歳になった時点で、子どもにも食物摂取頻度調査を実施し、HEIスコアを算出し、食事の質を評価し、母親の妊娠中の食事の質と出生児の14歳時点の食事の質が関連するかどうかを調べています。

最終的に20000組弱の母子のHEIスコアが得られ、解析したところ、なんと、母親の妊娠中の食事の質が高いほど子どもの14歳時点での食事の質が高いことがわかったというのです。

そして、母子のHEIスコアで4つのグループに分けたところ、妊娠中のHEIスコアが最も高いレンジの母親の子どもの14歳時点でのHEIスコアは最も高いレンジである確率は最も低いレンジに比べて約2倍だったとのこと。

◎妊娠前や妊娠中の女性の食事内容はあらゆる側面に影響する
妊娠前や妊娠中の女性の食事内容が妊娠しやすさ(2)や妊娠初期の胎児の成長(3)、早産(4)や子宮内胎児発育遅延(5)のリスク上昇だけでなく、出生後の体質(6)にまで影響を及ぼすことが知られています。

これらは、いずれも妊娠前後の胎内の栄養環境を介するものと考えられてきました。

そして、子どもの将来の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定されるというDOHaDと呼ばれる仮説が提唱され、そのことを裏付ける研究データが蓄積されています。

胎内の栄養環境が胎児の成育だけでなく、出生児の成人後の体質、さらには、その次の世代(孫)健康にまで影響するのは、エピジェネティクス、すなわち、栄養状態や環境因子が遺伝子の発現を調節するメカニズムによるものと考えられています。

今回の研究結果は、それらに加えて、出生児の食事の嗜好を介する可能性が示されたことになります。

まさに、妊娠前や妊娠中の女性の食事内容の影響はさまざまな面に及ぶというわけです。

大変興味深い結果ですが、よくよく考えてみると、母親の食事の嗜好が子どもに引き継がれることは、当然と言えば、当然のことです。

ただし、今回の研究で対象となった子どもは14歳時点で、青年期です。

このことは、母親の食事の嗜好は子どもの長期に渡る食事に影響を及ぼすということがわかります。

◎妊娠前から妊娠初期、妊娠後期の食事内容は変わらない
以上にことに関連して、是非、知っておいていただきたいことがあります。

それは、妊娠前の食事の質は、妊娠初期から妊娠後期を通して、ほとんど変わらないことが、これもいくつもの研究で明らかになっているということです。

たとえば、イギリスのサウサンプトン大学の研究(7)で、12572人の妊娠していない女性に食物摂取頻度調査を実施し、食事パターンを調査し、その後、対象者の中から妊娠した女性に妊娠初期(2270人)と妊娠後期(2649人)に食事調査を実施し、食事パターンを出したところ、妊娠前と妊娠初期、妊娠前と妊娠後期で有意な相関が認められたというものです。

要するに、妊娠前に健康的な食事をしていた女性は、妊娠初期でも妊娠後期でも健康的な食事をしており、妊娠前に不健康な食事していた女性は妊娠初期でも妊娠後期でも不健康な食事をしていたというわけです。

このことは、不健康な食事をしている女性は、妊娠を意識したり、妊娠したりするだけでは、それほど食事を改善する動機にはなり得ないということが示唆されています。

あくまで、推測ですが、必要なのは正しい情報を得て、食事内容が目前の妊娠しやすさだけでなく、子どもの長期間に渡る健康や生活の質にまで、「取り返しのつかない」影響を及ぼすことを知って、理解することではないでしょうか。

◎妊娠準備の大切さを知っておきたい
予期しない妊娠では胎内環境はそれまでの食生活が反映されたままです。

ところが、妊娠まで長くかかった場合、不妊を受けて妊娠を目指すような場合は、妊娠前の食事の質の影響が重大で、長期に渡ることを知って、食事の質を改善する機会が得られることになります。

このことのプラス面は計り知れないものがあると思います。


文献)
1)PLoS Med. 2019; 16 :e1002911.
2)Hum Reprod. 2018; 33: 1063.
3)Ultrasound Obstet Gynecol. 2017; 50: 709.
4)J Nutr. 2014 Jul; 144: 1075.
5)BJOG. 2010; 117: 1599.
6)Diabetes. 2011; 60: 1528.
7)J. Nutr. 2009; 139: 1956.

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・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

Nurses'Health Study3やEARTH Studyのprincipal investigatorで、栄養と生殖機能研究の第一人者であるハーバード大学のJorge Chavarro先生の初来日を記念し講演会を11月10日に東京丸の内にて開催します。

Chavarro先生をはじめ、それぞれの領域の第一人者でいらっしゃる先生方から生殖医療に携わる医療従事者が知っておくべき最新のエビデンスについてご講演いただきます。

尚、今回の講演会は医療従事者を対象とさせていただいております。

◎ハーバード大学 Jorge Chavarro先生 初来日記念講演会
https://partner-s.info/memoriallecture


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]      VOL.849
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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