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VOL.854 睡眠と妊娠しやすさ

2019年10月27日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.854                            2019/10/27
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・トピックス:睡眠と妊娠しやすさ
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2019年10月21日 曇り時々雨、のち晴れますように
オンライン相談
https://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20191021.html
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トピックス Oct.2019________________________________________________

   睡眠と妊娠しやすさ
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睡眠は、あまりにも「当たり前」な日常の営みなので、普段、あらためて意識されることはありませんが、睡眠時間や睡眠の質が妊娠しやすさに影響することが、これまでの研究で明らかになっています。
その代表的な研究に北米の妊娠希望の女性を対象にしたPregnancy Study Online (PRESTO) 研究があります(※)。

カナダとアメリカ在住の妊活を開始して半年未満の21~45歳の女性にインターネットで睡眠についてのアンケートに回答してもらい、妊娠までにかかった期間から算出した妊娠率との関係を調べています。
対象となったのは6,873名の女性の26,339周期で、3,933の妊娠例がありましたが、平均睡眠時間と妊娠率の関係は、過去1ヶ月間の平均睡眠時間が8時間の女性の妊娠率を100とした場合、以下の通りでした。
・6時間未満:89
・6時間:95
・7時間:99
・9時間以上:98

睡眠時間が6時間未満になると妊娠率が低下しています。

また、睡眠の質と妊娠率の関係、過去2週間の睡眠障害がなかった女性の妊娠率を100とした場合、以下の通りでした。
・睡眠障害の頻度が半分以上:87
・睡眠障害の頻度が半分以下:93

睡眠障害があると妊娠率が低下し、その頻度が半分以上になると有意に低下しています。そして、どれくらい低下したかと言いますと、12ヶ月累積妊娠率で睡眠障害のない女性で76%だったのに対して、睡眠障害が半分以上ある女性では64%まで低下しています。

このように6時間未満の睡眠時間や睡眠の質の低下は、妊娠しにくくさせることがわかります。

この研究結果は、妊娠希望のカップルにとって、睡眠について意識を向けることの大切さを教えてくれています。なぜなら、30代、40代の日本人にとって、睡眠時間が6時間未満であること、睡眠の質が低いことは、決して、珍しいことではないからです。

厚生労働省の国民健康・栄養調査の最新版をみてみると、年代別の1日の平均睡眠時間が6時間未満の割合は以下の通りです。

・30代男性:43.5% /40代男性:48.5%
・30代女性:37.7% /40代女性:52.4%

40代女性になると半分を超えていました。

睡眠の質では、年代別の睡眠で休養が十分にとれていない者の割合は以下の通りです。

・30代:27.6% / 40代:30.9%

このように睡眠の時間も質も、妊娠にマイナスの影響を及ぼしているおそれのあるカップルが多く存在することがわかります。

だからといって、明日から睡眠時間を長くしたり、質を高めたりすることは簡単なことではありません。睡眠は、それだけが独立しているわけではなく、生活のパターンやリズムに密接に繋がっているからです。

そのため、まずは、正しく知ることが大切です。

◎生体リズムとは?
私たち人間のさまざまな活動にはそれぞれのリズムがあります。お腹が空けば食べ、朝になると目が覚め、夜になると眠くなります。もっと詳しくみてみると、体温や血圧、ホルモンの分泌などにも、ぞれぞれに一定のリズムがあります。

たとえば、生殖に関連するところでは、女性には26日から34日の月経サイクルがあり、夜中の0時から2時にプロゲステロンが、10時~14時に卵胞刺激ホルモンが、朝の4時から8時に男性ホルモンが分泌量が多くなります。

要するに、人間の活動にはすべて適切な時(タイミング)があるのです。そして、それらは、全て、私たちが意識するしないにかかわりません。

それでは、身体は、いったい何を頼りに、その"時"を知るのでしょうか?

光や温度などの外部の環境の変化ではなく、自らの内部に備わったリズムである、生体リズムです。

いくつもの周期のリズムが備わっていますが、代表的なのは約24時間周期、すなわち、おおよそ1日周期なので、サーカディアン(慨日)リズムと呼ばれています。そして、サーカディアンリズムをつくりだし、コントロールし、調整しているのが、体内時計と呼ばれる、時計遺伝子です。

要するに、外部の光が全く差し込まない部屋で生活しても、変わりなく、朝になると目覚め、夜になると眠くなるのです。

ただ、生体リズムは24時間ジャストではなく、約24.5時間とされています。

◎親時計と子時計
さて、生体リズムをつくりだす体内時計はどこにあるのでしょう?脳の視床下部の視交叉上核というところにある神経細胞の塊です。時計遺伝子と呼ばれている遺伝子がそれぞれのリズムをつくりだしています。

これが親(中枢)時計です。

また、この親時計にある時計遺伝子と同じものが身体のほとんどの細胞にも存在することがわかっています。

それらを子(末梢)時計と呼んでいます。

そして、親時計と子時計がお互いに密接にやりとりをしながら、身体全体のサーカディアンリズムをつくりだしています。私たちの身体には、脳内とほとんどの細胞内に時計があって、常に針が回っているというわけです。

脳内時計が親時計で、子時計は常にそれをみて、自らのリズムを修正しているので、脳内時計はグリニッジ天文台みたいなものです。
親時計と子時計がつくりだすサーカディアンリズムが、睡眠や体温、血圧、免疫反応、ホルモン分泌の適切なタイミングを支配しています。

◎体内時計のリセット
体内時計のつくりだすサーカディアンリズムは、なぜか、24時間ではなく、だいたい24.5時間で、身体のリズムは、自然のサイクル(地球の自転リズム)よりも30分ずれているということになり、そのままにしておくと、24日で昼と夜が逆転してしまいます。

そのため、毎日、リセットして、体内時計をあわせてやる必要があります。

リセットの役割を担っているものはいくるかあるようですが、最も強力なのは、太陽の光を受けることです。

朝、起きて太陽の光を浴びることで、カチッと体内時計がリセットされるというわけです。体内時計は光の影響を強く受けるので、深夜に明るい光を浴びたり、朝に太陽の光を浴びなければ、生体リズムは乱れてしまいます。

当然、睡眠の質や免疫力が低下したり、ホルモンのバランスが崩れてしまいます。生活のリズムが乱れると、体調を崩したり、病気を招いてしまう根本原因です。

そして、年をとればとるほど、体内時計の修復力が徐々に低下します。

老化の根本原因の一つです。

◎子時計と食事
もう一つ、光とともに体内時計に影響を及ぼすものがあります。それは、食事で、食事を摂るタイミングのリズムが肝臓にある子時計に強く影響します。

この分野はヒトを対象にしたものやマウスを使った多くの実験が行われていて、食事のタイミングや回数、内容と時計遺伝子の発現との関係について、多くのことが明らかになっています。

まずは、毎朝、決まった時間に朝食を食べることで、体内時計のリセット効果が高くなります。

そして、炭水化物だけでなく、たんぱく質も食べたほうが、すなわち、朝食と言えども、パンとコーヒー、サラダだけで済ますのではなく、洋食であれば、それに、卵や牛乳、ヨーグルトを加えて、和食であれば、ご飯に焼き魚や納豆、味噌汁と、バランスよく食べたほうがリセット効果が高いこともわかっています。

◎体内時計を整える効果的な方法
それでは、体内時計を整える効果的な方法をまとめてみましょう。
1)早く寝る:どんなに遅くとも23時迄には寝る。
2)早く起きる:起床後14-16時間後にメラトニンの分泌が始まります。
3)起床後太陽光を浴びる:出来れば45分以上散歩して。
4)朝食は必ず食べる。:起床後2時間以内に。
5)朝食はバランスよくしっかり食べる:リセット効果が高まります。
6)以上のことを毎日同じ時間に行う:週末も同じリズムを維持します。

現実の問題として、早く寝ることは決して簡単なことではないと思います。

ただし、どんな事情があっても、自然界や私たち人間の身体のメカニズムは、そうなっているということに変わりありません。

文献)
※)Fertili Steril 2019; 111: 1201.

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編集後記____________________________________________________________

Nurses'Health Study3やEARTH Studyのprincipal investigatorで、栄養と生殖機能研究の第一人者であるハーバード大学のJorge Chavarro先生の初来日を記念し講演会を11月10日に東京丸の内にて開催します。

Chavarro先生をはじめ、それぞれの領域の第一人者でいらっしゃる先生方から生殖医療に携わる医療従事者が知っておくべき最新のエビデンスについてご講演いただきます。

◎ハーバード大学 Jorge Chavarro先生 初来日記念講演会
https://partner-s.info/memoriallecture

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]      VOL.854
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