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妊娠しやすいカラダづくり No.872 2020/3/8
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今週の内容__________________________________________________________
・最新ニュース解説:オメガ3脂肪酸は不足しても過剰になってもよくない
・当社製品&サービス
・人材募集のお知らせ
・編集後記
最新ニュース解説 Mar.2020___________________________________________
オメガ3脂肪酸は不足しても過剰になってもよくない
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早産はさまざまな原因が複合的に関与して起こりますが、主な原因の一つに「炎症」があることがわかっています。
そのため、抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸に補充が早産になりにくくするのに役に立つかもしれないという研究報告がこれまでに多くなされています。
◎オメガ3脂肪酸とは?
脂肪酸とは油の成分で多くの種類があって、それぞれ性質や働きが異なりますが、大きく分けると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。
飽和脂肪酸は、肉の脂肪やバターなどに多く含まれ、常温では固体です。一方、不飽和脂肪酸は主に植物や魚に多く含まれ、常温では液体です。
不飽和脂肪酸はさらに、オメガ3、オメガ6、オメガ9の3つのグループに分けられます。オメガ6系脂肪酸は、リノール酸などがあり、コーン油、ゴマ油、大豆油、紅花油、ひまわり油、サフラワー油などに多く含まれています。そして、オメガ3系脂肪酸はα-リノレン酸やDHA、EPAなどがあり、フラックスオイル(亜麻仁油)やエゴマ油、シソ油、魚油などに豊富です。最後のオメガ9系脂肪酸はオレイン酸などがありオリーブオイル、菜種油、パーム油などに豊富です。
これらの脂肪酸の中でも体内でつくることができない必須脂肪酸がこのオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の2つです。
これらは、細胞質を構成する成分になったり、炎症やアレルギー反応に関与する生理活物質の原料になったりすることから、生殖機能をはじめとした健康状態に大きな影響を及ぼします。
必須脂肪酸なので供給源は食事で、食事の内容次第で、過不足が生じ、現代に特有の食環境はオメガ6の過剰とオメガ3不足を招き、炎症反応の促進し、生殖機能へのマイナスの影響が懸念されています。
◎オメガ3脂肪酸のサプリメントの早産予防の有効性を調査した大規模RCT
このオメガ3脂肪酸の早産予防効果について研究を続けているSAHMRI(南オーストラリア州保健医療研究所)の研究グループは大規模のランダム化比較対照試験を実施しました(1)。
5000人以上の妊娠初期の女性を、ランダムにオメガ3脂肪酸のサプリメント(DHA800mg+EPA100mg)を飲んでもらうグループとプラセボ(植物油)を飲んでもらうグループにわけ、それぞれを妊娠34週まで飲んでもらい、早産の起こる割合を比較しました。
当然、オメガ3脂肪酸のサプリメントを飲んでいる女性のほうが早産の割合は低いだろうという仮説のもとに試験が行われたのですが、結果はほとんど差がなかったのです。
それどころか、オメガ3脂肪酸のサプリメントを飲んでいたグループのほうが少し多かったのです。
この研究ではオメガ3脂肪酸のサプリメントは早産予防に寄与しませんでした。
◎研究結果を再度解析し直してみたら
SAHMRIの研究グループは、仮設に反した結果が出たのは、誰彼かまわずサプリメントを飲ませたからではないかと考えました。
要するに、オメガ3脂肪酸の過不足に関係なく、サプリメントを飲んでもらったからで、試験開始時のオメガ3脂肪酸の濃度別に結果を出し直すことで正確なサプリメントの効果を知ることが出来るかもしれないと考え、研究をやり直しました(2)。
ちょうど、試験開始時に採血していたので、そのサンプルを使って脂肪酸を測定したところ、結果は予測通りで、オメガ3脂肪酸が不足していた女性に限ってみるとサプリメントを飲んだ女性はプラセボを飲んだ女性に比べて、早産の割合が統計学的に意味のある差で低くなっていたことがわかりました。
ところが、また、予期せぬことが起こりました。
それは、オメガ3脂肪酸が十分な量だった女性に限ってみるとサプリメントを飲んだ女性はプラセボを飲んだ女性に比べて早産の割合がこちらも統計学的に意味のある差で高かったのです。
つまり、オメガ3脂肪酸の濃度が低い女性はサプリメントが有効だった一方、オメガ3濃度が高かった女性にはサプリメントによって早産が増えた、すなわち、マイナスに働いたことが示唆されたわけです。
◎バランスが命
このことは栄養素の補充にあたって、とても、とても重要なことを教えてくれています。
そもそも、前述の通り、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、それぞれ、相反する働きのある生理活性物質に変換するのです。
そのため、バランスが大切であることは当然のことです。
今回の研究で使われたサプリメントに含まれるのはDHAが800mg、EPAが100mgと高用量です。
DHAやEPAの供給源は魚ですので、この量を日頃から魚を食べる習慣のある女性がサプリメントで摂取すると過剰になり、酸化されやすい性質があるので、酸化ストレスで酸化されるとマイナスの働きをしてしまうのかもしれません。
血中のオメガ3脂肪酸を測定するのは現実的ではありませんので、オメガ3脂肪酸補充の要不要は、魚を食べる習慣があるかどうかです。
オメガ3脂肪酸に限らず、栄養素はチームプレイヤーです。
特定のプレイヤーが突出して増えると、チームワークを乱してしまいかねないことは、容易に想像できることです。
栄養素は少なくても、多くてもよくないと言えるのです。
◎サプリメント選択の際は要不要を判断することが大事
多くの種類の妊活サプリメントがあり、年々、増えています。それに伴い、関心が高まっていることを実感しています。
ただし、サプリメントを使う場合、必要性を考えることは極めて重要です。
サプリメントだからと言って、どんなものでも摂りさえすればよいというわけではないからです。
ところが、ネット上では、自分にとって必要かどうかを判断するための情報よりも、どこどこでNo.1だとか、いろいろな「良さげな」成分がたくさん入っているとか、品質がいいとか、無添加だとか、体験談だとか、たくさん買うと割引があるとかいった類の情報ばかりです。
宣伝することを非難しているわけでも、悪いと思っているわけではありません。
そうではなく、どんなよい製品であるかという情報の前に、その製品を使う必要があるかどうかを検討するための情報が優先されるべきだと言いたいだけです。
サプリメントはなんの規制もありませんので使う側が情報を得て、主体的に選択することが必須です。
文献)
1)N Engl J Med 2019; 381: 1035
2)BJOG 2020 doi: 10.1111/1471-0528.16168
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編集後記____________________________________________________________
免疫力維持の基本はバランスのよい食事と睡眠、運動と言われていますが、妊娠力も全く同様ですね。
このご時世でインフルエンザや風邪が例年に比べて激減していると報道されていましたが、基本も大切さが証明されているのは皮肉なことです。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.872
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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