____________________________________________________________________
妊娠しやすいカラダづくり No.873 2020/3/15
____________________________________________________________________
今週の内容__________________________________________________________
・最新ニュース解説:新しい命は食べたものでつくられ、育まれる
・当社製品&サービス
・人材募集のお知らせ
・編集後記
最新ニュース解説 Mar.2020___________________________________________
新しい命は食べたものでつくられ、育まれる
-----------------------------------------------------------------------
体外受精を受けている女性の卵子の脂肪酸組成を測定したところ、標準体重の女性の卵子と肥満女性の卵子では脂肪酸組成が異なり、肥満女性の卵子にはオメガ3系脂肪酸レベルが低く、それが、治療成績に影響しているかもいれないという研究報告(1)がスペインの研究グループからなされています。
まずは、体外受精や顕微授精を受けている205名の女性患者の採卵後の未成熟のGV卵やM1卵、体外受精や顕微授精後に受精が成立しなかったM2卵、合わせて922個の卵子中の脂肪酸を測定し、BMIで標準(18.5以上25未満)、過体重(25以上30未満)、肥満(30以上)に分け、卵子の成熟ステージごとの脂肪酸組成をBMIのカテゴリーで比較しています。
脂肪酸というのは油の成分で、多くの種類があるのですが、脂肪酸によって、性質や働きが異なりので、その組成、すなわち、それぞれの脂肪酸の比率によって、組織の機能に影響が出てきます。
今回の研究で明らかになったのは、標準的な体重の女性と肥満の女性では、卵子中の脂肪酸組成が異なっていて、肥満女性の卵子には標準体重の女性に比べてオメガ3系脂肪酸の比率が低く、オメガ6系脂肪酸に対するオメガ3系脂肪酸の比率が低かったということです。
油はエネルギー源になるだけでなく、細胞膜の成分になったり、身体に一部分でホルモンの様な働きをする物質になったりします。
そのため、卵子中の脂肪酸の顔ぶれは、当然、卵子の質に影響を及ぼすというか、卵子を構成しているわけですから、卵子の質、そのものと言えるわけです。
肥満女性の卵子のオメガ3系脂肪酸比が低いことが、治療成績低下の一因になっているかもしれないと研究グループが指摘しています。
さて、ここまで淡々と書いてまいりましたが、これまで、血液中や卵胞液中、すなわち、卵子の周囲の環境中の脂肪酸組成を測定し、オメガ3系脂肪酸の比率が高いほど、その後の良好な胚質や治療成績と関連したという研究報告は、数多くなされています。
ところが、卵子、そのものの脂肪酸組成を測定した研究は、私たちが知る限り初めてです。
卵子の成育環境ではなく、卵子、そのものです。
そして、オメガ3系脂肪酸やオメガ6系脂肪酸は、体内でつくることが出来ない脂肪酸で、必須脂肪酸と呼ばれています。
つまり、これらの脂肪酸は食事から摂取するしかなく、体内のオメガ3系脂肪酸の量がオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の比率は、食事内容がそのまま反映されるというわけです。
今回の研究では、食事内容を調査し、それと卵子中の脂肪酸組成との関係を調べたわけではありませんが、肥満女性の卵子には標準体重女性の卵子に比べてオメガ3系脂肪酸が少なかったのは、肥満女性と標準体重女性の食事内容の違いが影響しているはずです。
さらに、卵子や精子、受精卵、胚、胎児が成育する環境も、また、母親になる女性と父親になる男性が食べたもので形成されているわけです。
卵子や精子、そして、未だ見ぬ我が子の健康を願うカップルにとって、バランスよく食べることがすべてのベースになるゆえんです。
誤解のないように補足しておきたいのは、だからと言って、細部、すなわち、毎食、なにをどれだけ食べるか、栄養素の過不足について、神経質にこだわる必要は毛頭ありません。
大切なことは、3食とも、主食、主菜、副菜、果物を、適切な量で食べ、それを継続することです。
今回の研究は、そんな、基本中の基本を、私たちに教えてくれているように思えてなりません。
文献)
1)Fertil Steril 2020; 113: 53
--------------------------------------------------------------------
記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
当社製品&サービス________________________________________________
・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
https://babyandme.jp/
・翻訳書:妊娠しやすい食生活
http://www.akanbou.com/shoku/
・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/
人材募集のお知らせ__________________________________________________
私たち、株式会社パートナーズでは、医療機関への製品やサービス提供のサポート及び、Eコマースに携わってくれるスタッフを募集しています。
詳細は以下のサイトをご覧ください。
https://partner-s.info/recruit
編集後記____________________________________________________________
妊娠に際して、国が推奨していることは、葉酸を補充すること、そして、バランスよく食べることですね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.873
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします。
--------------------------------------------------------------------
不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
--------------------------------------------------------------------
発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎発行部数
・自社配信: 1,367部
・まぐまぐ: 2,599部
・合計部数: 3,966部(3月15日現在)
--------------------------------------------------------------------
◎免責事項について
当メールマガジンの提供する情報は医師の治療の代わりになるものでは決してありません。プログラムの実行は各人の責任の元で行って下さい。プログラムの実行に伴う結果に関しては、当社の責任の範囲外とさせて頂きます。
--------------------------------------------------------------------
◎注意事項
読者の皆さんから寄せられたメールは、事前の告知なく掲載させていただく場合がございます。匿名などのご希望があれば、明記してください。また、掲載を望まれない場合も、その旨、明記願います。メールに記載された内容の掲載によって生じる、いかる事態、また何人に対しても一切責任を負いませんのでご了承ください。
--------------------------------------------------------------------
◎著作権について
当メールマガジンの内容に関する著作権は株式会社パートナーズに帰属します。一切の無断転載はご遠慮下さい。