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VOL.883 男女とも「座りっぱなし」には要注意

2020年05月24日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.883 2020/5/24
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今週の内容__________________________________________________________

・トピックス:男女とも「座りっぱなし」には要注意
・当社製品&サービス
・編集後記


トピックス May.2020________________________________________________

 男女とも「座りっぱなし」には要注意
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東京や神奈川、埼玉、千葉、北海道の緊急事態宣言も、明日には全面解除の見込みのようですが、感染のリスクがゼロになったわけではありませんので、可能であればテレワークという働き方は、長い目でみても定着していきそうです。

そんな勤務形態で問題になるのは運動不足ですが、そもそも、身体を動かすことは本能なのか、運動不足に対しては割と自覚的なようで、意識してウォーキングやジョギングに出かけるようです。

そういう意味ではテレワーク時代に注意すべきは、「運動不足」よりも「座りっぱなし」なのかもしれません。

たとえ、朝晩、習慣的に身体を動かしていても、昼間の就業時間中に仕事に集中し、座りっぱなし状態になると、女性にとっても、男性にとっても、妊娠にはマイナスの影響を及ぼすことがこれまでの研究で明らかになっているからです。

フランスで原因不明の不妊症患者159名(男性79名、女性80名)と不妊症でない143名(男性72名、女性71名)を対象にした有名な研究「ALIFERT 」があります。日常の生活について調査し、普段のどんな生活スタイル妊娠には不利になるのかを調べています(1)。

その結果、わかったことの1つに女性の座りっぱなしがありました。

女性の1日の平均の座っている時間を比べると不妊症でない女性では4.3時間だったのに対して、不妊症の女性では5.8時間で、1日に5時間以上座っている女性は5時間未満の女性に比べて不妊症になる確率が3.61倍だったというのです。

一方、男性にとっても座りっぱなしが精子の質を低下させることは数多くの報告がなされています。

まず、男性のデスクワークは精子DNA断片化率の上昇を招くかもしれないという報告がポーランドの大学からなされています(2)。

精子DNA断片化率とは、損傷したDNAをもつ精子の割合のことで、20-30%以上になると受精率や妊娠率が低くなったり、流産率が高くなったりすると言われていますが、興味深いのは、長時間のデスクワークは精液検査の結果には影響せず、精子DNAの損傷率を高めたということです。

ポーランドのポメラニアン医科大学の研究チームは、大学病院に通院中で、週に35時間以上働く男性254名に、就労時間とデスクワークの時間を回答してもらい、デスクワークの時間が就労時間の50%以上の男性と50%未満の男性に分けて、精液所見や精子DNA断片化率との関係を調べています。

その結果、デスクワークの時間と精液検査結果は関連しませんでしたが、精子DNA断片化率は関連し、デスクワークが50%以上の男性は50%未満の男性に比べて精子DNA断片化率が高くなるリスクが2倍だったというのです。

長時間のデスクワーク、すなわち、長時間、股間を圧迫した状態でいることが精巣の温度の上昇を招き、精巣温度の上昇そのもの、また、そのことによる酸化ストレスの上昇により精子DNAの損傷を招いたのではないかとのこと。

また、男性の精巣温度を24時間モニタリングしたイタリアの研究(3)で、健康な男性でも、車の運転中や仕事中など同じ姿勢で座ることで陰嚢の温度が上昇することを確認しています。

ただし、長時間座って仕事をしている時でも、コーヒーブレイクの時は温度が急降下していることから、体制を変えたり、休憩時には歩き回ることで精巣を冷やせるようです。

さらに、ハーバード大学の研究(4)では、ボクサータイプ(ゆったりしたタイプ)の下着をつける男性は、その他のタイプの下着(肌にフィットしたタイプ)をつける男性に比べて精子濃度や総精子数、総運動精子数が多かったとの報告がなされています。

これらの研究結果が物語っているのは、男性の精巣温度は生活スタイルに極めて敏感で、簡単に上がったり、下がったりするということ、そして、そのことが精子の質を左右するということです。

また、そのことは、必ずしも精液検査結果に反映されるわけではないようです。

そのため、精液検査に問題がなかったから大丈夫ではなく、日常で股間に熱がこもるような習慣をもたないことが大切です。

パートナーの女性も年齢が高い男性は、特に注意が必要です。

なぜなら精子のDNAは損傷していても、卵子に修復力があるのですが、年齢が高くなるほど修復力が低下してしまい、精子のDNAの損傷の影響を受けやすくなるからです。

対策は極めて簡単です。

1時間に最低1回はデスクをはなれて、股間の風通しをよくするだけで、精巣温度が下がることがわかっています。

そして、出来れば肌にフィットするタイプではなく、ゆったりしたタイプの下着をつけることです。

文献
1)PLoS ONE 2019; 14: e0210770.
2)Folia Histochem. Cytobiol. 2019; 57: 15 
3)Hum Reprod. 2015; 30: 1006.

4)Hum Reprod. 2018; 33: 1749.

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編集後記____________________________________________________________

座りっぱなしは日常生活の盲点になっているかもしれません。

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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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