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妊娠しやすいカラダづくり No.923 2021/2/28
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今週の内容__________________________________________________________
・更新情報
・トピックス:よい細菌を育む!
・当社製品&サービス
・編集後記
更新情報____________________________________________________________
サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2021年2月28日 編集長コラム
他力と自力をうまく使い分ける
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トピックス Feb.2021_________________________________________________
よい細菌を育む!
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細菌叢と言えば「腸内細菌」がよく知られていると思いますが、細菌叢は腸内だけでなく、たとえば、口や耳、鼻の内側、消化管、呼吸器、そして、生殖器にまで、ほとんど、全身の上皮に存在していて、その数は腸内だけで、1000種類、100兆個もいて、重さは1~1.5kg、遺伝子の数はヒトは2万個なのに対して、ヒトに生息している微生物の総数が約50万個とされています。
普段、全く意識することはありませんが、これだけの微生物が私たちの身体に「寄生」しているのです。
細菌と聞けば、「病原菌」を思い浮かべるかもしれませんが、この細菌叢は、決して、私たちに悪さをしているわけではなく、言ってみれば、細菌叢とヒトは「もちつもたれつ」の関係にあります。
私たちに必要な栄養素やエネルギーを産生したり、免疫系や代謝系の調節など、様々な役割を担っているからです。
ただし、細菌叢を構成する細菌にも、そんなよい菌(善玉菌)ばかりではなく、悪い菌(悪玉菌)もいて、善玉菌が優勢の状態では共生関係でいられたのに、なんらかの理由でそのバランスが崩れ、悪玉菌優勢になると、ヒトに悪さを働くようになり、健康状態にマイナスの影響を及ぼすようになると考えられています。
そのため、細菌叢を構成するバランスがキーになります。
◎膣や子宮内に棲む細菌の組成
膣や子宮などの女性生殖器にはとても精密な免疫系が構築されています。性感染症を引き起こすような病原菌の侵入を阻止しながらも、時には、非自己である精子や胎児、胎盤を受け入らなければならないからです。
そのため、生殖器の粘膜がバリアとなり、生殖ホルモンの指令のもとに、時に拒絶したり、時に受け入れたりしているのです。
腟から子宮腟部では、乳酸菌のラクトバチルスが、エストロゲンの影響で膣の上皮細胞から剥離したグリコーゲンを発酵し、乳酸を産生し、腟内を酸性環境に保つことで雑菌の増殖を抑制しています。
ところが、ラクトバチルスが減少すると、バリア機能が低下し、細菌性膣症の発症リスクが高くなり、不妊症や流産、早産のリスクを高めます。
たとえば、卵管因子の不妊症女性では、それ以外の不妊症女性に比べて細菌性膣症が多く、細菌性膣症があると、受精率は低下しないものの化学的妊娠のリスクが上昇、さらに、早産のリスクまで上昇させるという研究報告がなされています。
一方、膣の上部に位置する子宮内は無菌であると考えられてきましたが、細菌叢を調べる技術が飛躍的に高まると、それまでの方法では検出することができなかった細菌の存在が明らかになりました。
そして、不妊症患者を対象に子宮内にラクトバチルスが90%以上と90%未満の2つのグループに分け、治療成績を比較してみると、着床率や臨床妊娠率、出産率のいずれの成績もラクトバチルス優勢(90%以上)のほうが高いことがわかり、子宮内の細菌叢の組成は着床環境に影響を及ぼすことが示唆されたのです。
◎よい細菌を育む!
膣や子宮内の細菌叢を改善するのにラクトフェリンや乳酸菌などが利用されていますが、腸内細菌叢が生殖内の細菌叢に影響を及ぼす、すなわち、腸内細菌叢と生殖器内細菌叢は、言ってみれば親子関係にあります。
そのため、いくら子宮内や膣内の環境を整えても腸内環境を整えなければ元の木阿弥です。
そこで、まずは、腸内環境を良好にすることがベースになります。
具体的には、バランスのとれた食生活や生活リズム、睡眠、運動、ストレスマネージメント、また、食品添加物や加工食品、過度の飲酒、喫煙は避けること。
こう書くと、なんとまあ、当たり前な健康習慣なのかと思われるかもしれませんね。自分の健康度を高めることと細菌叢の健康度を高めることは、イコールなのです。
また、抗生剤の必要以上の使用も避けることも重要です。抗生剤はよい細菌をも抑制してしまうからです。
ポイントは食習慣です。
なせなら、私たちが食べたもので細菌も育まれるからです。
1)善玉菌のエサになる炭水化物、たとえば、大麦(もち麦)やオート麦、小麦、玄米などの穀類、果物や野菜、豆類などに含まれる多糖類や食物繊維をしっかり食べる。
2)肉や動物性脂肪を摂り過ぎない
3)ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品やプロバイオティクスなを積極的に食べる。
4)加工食品や添加物は控え目に。
また、食事を楽しむ、食べ過ぎない、たまに断食をする、ストレスや怒りをうまくコントロールすることも大切です。
腸内にしろ、生殖器にしろ、微生物と私たちは、もちつもたれつの共生関係です。よい細菌に定着してもらうには、私たちもよい宿主になる必要があるということになります。
自分のことは棚に上げて、細菌だけによくなってもらおうというのは虫が良すぎるはなしかもしれません。
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編集後記____________________________________________________________
ヒトと細菌の共生関係を大切にしたいですね。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.923
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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