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VOL.962 女性の年齢が高くなるほどビタミンD不足に要注意

2021年11月28日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.962         2021/11/28
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:女性の年齢が高くなるほどビタミンD不足に要注意
・当社製品&サービス
・編集後記


最新ニュース解説 Nov.2021___________________________________________

 女性の年齢が高くなるほどビタミンD不足に要注意
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体外受精や顕微授精を受けている女性患者では、36歳以上では妊娠に至った女性は至らなかった女性に比べて、血液中や卵胞液中のビタミンD濃度が高かったことが、イタリアで実施された研究で明らかになりました(1)。

ビタミンDは、必要な量のほとんどは紫外線にあたることで皮膚でつくられている脂溶性ビタミンです。

ただ、そもそも、ビタミンとは「体内でつくることが出来ない」と定義されていますので、ビタミンDは例外で、その働きからすると、むしろ、ホルモンと考えるほうがよいのかもしれません。

ビタミンDは、長く、カルシウムの吸収を助け、骨の健康に関与するビタミンとして知られていましたが、最近の研究でさまざまな働きがあることが知られるようになり、妊娠や出産にも重要な役割を担っていることがわかっています。

◎どんな研究だったのか?
イタリアの不妊治療クリニックで体外受精や顕微授精に臨む103名の女性患者を対象に、採卵時に血液中と卵胞液中のビタミンDの濃度を測定し、その後、妊娠に至ったグループ(34名)と妊娠に至らなかったグループ(69名)で比較し、ビタミンDの妊娠への影響を調べました。

◎どんな結果だったのか?
妊娠グループと非妊娠グループの血液中のビタミンD濃度は、それぞれ、28.27ng/ml、24.02ng/ml、卵胞液中のそれは、それぞれ、28.7ng/ml、24.02ng/mlで、差はみられませんでした。

ところが、対象者年齢を36歳以上に絞って比較すると、妊娠グループと非妊娠グループの血液中のビタミンD濃度は、それぞれ、42.02ng/ml、24.98ng/ml、卵胞液中のそれは、それぞれ、41.76ng/ml、25.22ng/mlで、血液中でも、卵胞液中でも、妊娠グループのほうが統計学的に意味のある差でビタミンD濃度が高いことがわかりました。

このことから年齢が高くなるほどビタミンDの充足は妊娠成立にとって重要な因子になり得ることが示唆されました。

◎妊娠や出産に際してビタミンDは重要
ビタミンDが妊娠や出産に際してとても重要であることは広く知られるようになりました。

ビタミンDが充足している女性は、ビタミンDが不足、欠乏してしている女性に比べて、体外受精の治療成績が良好であるという研究結果が発表されています(2)。

ビタミンDの作用に細胞の分化があり、卵胞の発育に必須ですし、免疫調節作用は着床や妊娠の継続にも重要な役割を担います(3)。

さらに、カルシウムと骨の代謝調節作用は胎児に成長に重要で、最近の妊婦のビタミンD不足が新生児のくる病増加を招いています(4)。

このように、妊娠後の母子の健康、さらには、子どもの出生後の健康にも影響することもわかっているため、妊娠前からビタミンDを充足させておくことが大切です。

今回の研究では、特に36歳以上の女性にとっては、ビタミンDを充足させておくことが大切であることがわかりました。

◎これからの季節は不足に注意
これからビタミンDが不足しやすい季節になります。

なぜなら、ビタミンDはビタミンとされているにもかかわらず、必要量のほとんどは紫外線にあたることで皮膚でコレステロールから合成されていて、これからの季節は日照時間が短くなり、紫外線の強さが低下するからです。

また、ビタミンDが摂取できる食品は、ほとんど、魚だけで、それも「サケ」くらいです。

そのため、ビタミンDが、冬に不足しやすくなります。

さらに、ほとんどの女性はビタミンDが不足していると言っても過言ではありません。

女性では、日焼け止めを使い、ビタミンDがつくられる紫外線をカットする傾向にあるからです。

北九州のオフィスワーカー男性312名、女性217名を対象に7月と11月の血中のビタミンDのマーカーを測定した研究(5)があります。

それによると、平均値は7月が27.4ng/mlだったのに対して、11月は21.4ng/ml と低く、ビタミンD欠乏(20ng/ml未満)の割合が7月では9.3%だったのに対して、11月では46.7%と半分近くになっています。

また、日照時間は季節だけでなく、場所(緯度)によっても異なります。そのため、同じ日本に住んでいても南と北ではビタミンDの体内濃度が違うはずです。

1日に必要とされるビタミンDをつくるのに必要とされる日光浴の時 間を札幌、つくば、那覇で7月と12月で比較した研究(6)があります。

それによると、両手と顔を露出した場合、7月の正午では那覇で2.9 分、つくばで3.5分、札幌で4.6分だったのに対して、12月の正午では那覇で8分、つくばで22分、札幌で76分と北にいくほど夏と冬の差が 大きくなっています。

このように、冬、特に北日本では、ビタミンD欠乏を意識的に回避す る必要があると言えます。

必要とされる量のビタミンDを体内でつくるのに、どれくらいの時間、日にあたればいいのか、推奨日光照射時間をタイムリーに教えてくれるサイトがあります。

国立環境研究所/地球環境研究センターが提供するビタミンD生成・紅斑紫外線量情報の簡易サイトです。
http://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/mobile/

まず「観測局の選択」で最寄りの観測局を選び、その日のその時間の天気で、適切な量のビタミンDを体内で生成するために推奨される日光照射時間が表示されます。

◎ビタミンDを充足させるために
これからの季節、ビタミンDの不足や欠乏回避になにができるのでしょうか。

北九州で行われた研究では魚介類や運動、タバコを吸わないことが、血中のビタミンDマーカーの高値と関連したと報告しています。

前述の通り、ビタミンDが豊富に含まれる食品は、魚、それもサケです。

そうなのですが、毎日、サケを食べるわけにもいきませんので、基本は日にあたることです。意識して日光浴をするのも難しいと思うので、やはり、ウォーキング等の運動が現実的かもしれません。

ただし、女性の場合、季節を問わず日焼け止めクリームなどの紫外線対策を欠かさないという方も少なくないでしょうから、確実なのはサプリメントになると思います。

サプリメントを利用する場合は、ビタミンDは脂溶性のため摂取するタイミングが大切です。1日のうちで食事が最も多い食後が吸収効率がよいとされています(7)。


文献:
1)Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2021; 25: 4964.
2)Hum Reprod. 2018; 33: 65
3)Nutrients 2018, 10, 902
4)J Clin Endocrinol Metab 2008; 93: 1784
5)J Epidemiol. 2011; 21: 346-53.
6)J Nutr Sci Vitaminol. 2013; 59: 257-63.
7)J Bone Mineral Research 2010; 25: 928-930


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編集後記____________________________________________________________

ビタミンDは免疫調整にも関与しているため、冬のビタミンD対策は、インフルエンザ予防にもなります。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.962
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