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VOL.971 あたためればよいというわけではない

2022年01月30日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.971         2022/1/30
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今週の内容__________________________________________________________

・トピックス(4):あたためればよいというわけではない
・当社製品&サービス
・編集後記


トピックス Jan.2022_______________________________________________

 あたためればよいというわけではない
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寒さが厳しいこの季節、身体が冷えてしまうのを避けたほうがよいことは言うまでもありませんが、だからと言って、あたためればよいのかと言えば、そうでもありません。

身体が冷えると妊娠率が低下するという論文はみたことがありませんが、あたためると妊娠率が低下するという論文はいくつもあります。

最も新しいのは、ハーバード大学のEART研究に参加した631名の体外受精の女性患者を対象にした前向き研究で、外気温と胞状卵胞数の関係を調べたものです。

具体的には、被験者女性の月経3日目に超音波検査を行い、胞状卵胞数を測定し、3ヶ月前、1ヶ月前、2週間前の平均気温と胞状卵胞数の関係を調べています。

もちろん、年齢など、胞状卵胞数に影響を及ぼすと考えられる因子は統計学的に排除されています。

因みに胞状卵胞数というのは卵巣内で眠っていた卵子が目覚めて、発育しだいした卵胞、すなわち、初期発育卵胞の数で、その時の卵巣の力を反映します。

そして、測定前3ヶ月間の平均最高気温が高いほど胞状卵胞数が少ないということがわかったといいので、年間を通してみてみると夏よりも、11月から6月までのほうがその程度が強いこともわかりました。

卵胞が成熟するまでの3ヶ月間の高温が胞状卵胞数の減少に関連していたことから「熱」がなんらかのメカニズムで卵胞発育にマイナスの影響を及ぼしていることが示唆されています。

男性では精巣をあたためるのはよくないことはよく知られていますが、女性にとっても卵巣をあたためることはよくないようです。

身体を冷やすのはよくないけれでも、あたためるのもよくないというわけです。

では、このことをどのように解釈すればよいのでしょうか。

それは、身体に備わった体温の維持機能を正常に働かせるということではないでしょうか。

体温、すなわち、身体の温かさのもとになる熱は糖質などのエネルギー源を酸素で燃やすことで、エネルギー(ATP)を産生しています。そして、その際に、熱を放出し、細胞がATPを利用する際にも熱が発生します。

この仕組みが、あるべき状態で働いていれば、そもそも、意識的な冷え対策など不要なはずです。

あるべき状態を、具体的に整理すると以下のようになります。

1)5大栄養素とビタミンミネラルを過不足なくとる
細胞がエネルギーを産生するすべてのプロセスの代謝にはビタミンやミネラルが働いています。そのため、もしも、食事のバランスが悪かったり、ビタミン不足に陥ると、体内の熱産生効率が悪くなる、すなわち、不完全燃焼が起こってしまいます。

基本は、5大栄養素とビタミンを過不足なくとることです。

2)たんぱく質の豊富な朝食を食べる
体温が最も低下するのは夜中の2時、3時、そして、明け方から徐々に上がりはじめます。そのため、朝、起床時の低い体温を、スムースに上昇させることがとても大切になってきます。

そのためには、朝食をしっかりと取ることです。

具体的には「たんぱく質の豊富な朝食」です。なぜなら、糖質や脂肪よりたんぱく質の多い食事をとったときのほうが熱の産生がより高くなるからです。

そのため、納豆に卵、焼き魚という和朝食は理想的です。反対に、コーヒーにトースト、生野菜というメニューは、内臓を冷やしてしまう恐れがあります。

3)筋力をつける
身体の中で、最も大量に熱を生み出すのは筋肉です。

それに対して、脂肪は、熱を産生するエネルギー源になるのですが、脂肪そのものは、熱を産み出すことはありません。

そのため、脂肪を燃やして、筋肉をつけることが、温かいカラダをつくることになります。

つまり、筋量を増やすことで、基礎代謝が高まることで、放出する熱量も大きくなるということです。

4)よく動く(目安は1日1万歩)
身体の中で一番冷えるところ足と言われています。足は心臓から一番遠いので、心臓から送り出された温かい血液の巡りが悪くなりがちだからです。

対策としては、歩くことで、下半身をはじめとする筋肉から熱が産生され、なおかつ、足の筋肉をがポンプになって、血流をよくしてくれます。特に、女性にとって効果的です。

その際のポイントは太ももとふくらはぎです。太ももをより動かすには、階段の上り下りのような動きが効果的です。また、ふくらはぎは、足先を上下に動かすのが効きます。

よく動く、ひたすら歩くこと、そして、補助的にストレッチを朝晩欠かさずやると完璧です。
以上、しっかりした(たんぱく質源になるおかずのある)朝食を食べること。そして、適度に運動すること、筋力をつけることです。

これで1日を通して、熱が効率的に産生、放出されるによって、身体に備わった体温の維持機能が正常に働きます。

そうすれば、身体を「外から」、強制的にあたためる必要などなくなりますので、卵巣にマイナスの影響を及ぼすことはありません。

当たり前なことばかりなのでスルーされがちなことですが、ここをおろそかにして、身体を外から強制的にあたためても、身体があたたまる(体温維持)効果はそれなりで、期待とは裏腹に卵巣に悪い影響を及ぼしてしまいかねません。

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・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

ネット上では身体を外からあたためるような物品が氾濫していますが、身体や妊娠のメカニズムを正しく理解して、判断することが大切ですね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.971
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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