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VOL.974 オメガ3脂肪酸サプリメント摂取と妊娠率

2022年02月20日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.974          2022/2/20
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:オメガ3脂肪酸サプリメント摂取と妊娠率
・当社製品&サービス
・編集後記


最新ニュース解説 Feb.2022___________________________________________

 オメガ3脂肪酸サプリメント摂取と妊娠率
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オメガ3脂肪酸のサプリメント摂取は、自然妊娠の妊娠率上昇に関連することが、アメリカで実施された前向きコホート研究で明らかになりました(1)。

脂肪酸とは脂肪に含まれる成分のことで、脂肪によって、含まれる脂肪酸の種類や割合が異なります。オメガ3脂肪酸は多価不飽和脂肪酸というカテゴリーに属する脂肪酸で、EPAやDHAはサケやマグロなどの脂肪の多い魚、かにやカキなどの甲殻類に含まれています。同じオメガ3脂肪酸でも異なる種類のα-リノレン酸は、亜麻仁油やシソ油などの植物油に含まれています。

多価不飽和脂肪酸はオメガ3脂肪酸の他にオメガ6脂肪酸があり、必須脂肪酸と呼ばれています。体内でつくることが出来ないため食事から摂取しなければならない栄養素だからです。

そのため、食事内容次第では不足したり、過剰になったりする栄養素です。

このオメガ3脂肪酸、特に、EPAやDHAの摂取量や血中濃度が高いほど体外受精の妊娠率や出産率が高いことが、これまでの研究でわかっています。

また、EPAやDHAの主な供給源は魚で、魚を多い食べるほどARTや自然妊娠の妊娠率が高いとの報告もなされています。

今回、オメガ3脂肪酸のサプリメントの摂取の有無と自然妊娠の妊娠率の関係が初めて調べられました。

◎どんな研究だったのか?
2008年から2015年にかけて、不妊症でない、妊娠を希望する女性を対象に、どんな生活習慣が妊娠するまでにかかる期間に影響するのかを調査した前向き研究「Time to Conceive(TTC)」が実施されました。

今回の研究は、TTCの二次解析として実施され、妊娠を試みてから3ヶ月未満の30-44歳の女性、900名の2,510周期を対象に、オメガ3脂肪酸のサプリメントの摂取の有無と妊娠するまでにかかった期間から算出した妊娠率との関係を調査しました。

◎どんな結果だったのか?
年齢やBMI、過去の妊娠経験、ビタミンDやマルチビタミンミネラルサプリメント等の影響を統計学的に排除した結果、オメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取していた女性は摂取していなかった女性に比べて、自然妊娠の妊娠率が1.5倍だったことがわかりました。

オメガ3脂肪酸のサプリメント摂取は、自然妊娠の妊娠率に良好な影響を及ぼすことがわかりました。

このオメガ3脂肪酸、特に、EPAやDHAの摂取量や血中濃度が高いほど体外受精の妊娠率や出産率が高いという研究報告がなされています。

◎オメガ3脂肪酸の摂取量や血中濃度と治療成績の関係
ハーバード大学のEARTH研究が代表的な研究(2)で、体外受精女性患者100名の血中のオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸の濃度を測定し、その後の治療成績との関係を調べています。

その結果、血中のオメガ3脂肪酸のDHAやEPA濃度が高いほど治療成績が高かったとのこと。

どれくらいかと言いますと、DHAやEPA濃度が1%上昇するごとに妊娠率や出産率は8%増加、特に、上昇効果はEPAのほうが大きく、EPA濃度が1%上昇するごとに妊娠率は10%、出産率は15%、それぞれ増加したというのです。

一方、驚くべきことに、同じオメガ3脂肪酸でも、亜麻仁油に豊富なα-リノレン酸は正反対の結果で、α-リノレン酸濃度が高いほど治療成績が悪いことがわかりました。

もう1つの多価不飽和脂肪酸のオメガ6脂肪酸は治療成績とは関連しませんでした。

また、同じEARTH研究で、体外受精女性患者168名に治療開始前に食事やサプリメントからのオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の摂取量を算出し、その後1年間の297治療周期との関連を調べています。

食事やサプリメントからの摂取量でもDHAやEPAの摂取量が多いほど治療成績が高く、総エネルギー摂取の1%の飽和脂肪酸をDHAやEPAに変えることは出産に至る確率の2.37倍の上昇と関連しました。

このことから、DHAやEPA、特に、EPAは体外受精の治療成績にプラスの影響を及ぼすことはわかりました。

◎魚を食べることは早期の妊娠成立を関連
DHAやEPAの主な供給源は魚介類です。当然、魚を食べることが妊娠成立によい影響を及ぼすはずです。

アメリカ小児健康・人間発達研究所の有名な前向き研究、LIFE研究がそのことを調べています(3)。

調べたのは、妊娠希望のカップル、501組の魚介類を食べる頻度と性交回数を調べ、妊娠までに要した期間から算出した妊娠率との関係で、魚介類を食べる頻度が周期あたり8回以上だったカップルは1回以下だったカップルんび比べての妊娠率が61%高かったとのこと。

また、驚くべきことに、性交回数も魚介類をよく食べるカップルのほうが多く、周期あたり8回以上魚介類を食べたカップルはどちらも1回以下だったカップルに比べて22%多かったというのです。

魚をよく食べるカップルが早く妊娠に至ったのは性交回数が多いことも寄与しているのかもしれません。

◎オメガ3脂肪酸は妊娠、出産に重要
このようにオメガ3脂肪酸は妊娠しやすさによい影響を及ぼすことは間違いなさそうです。

それだけではなく、オメガ3脂肪酸は妊娠後の早産リスクや出産後の産後うつ発症リスクも低下、さらには、出生児の出生後の心身に健康にもよい影響を及ぼすこともわかっています。

今後、DHAやEPAの有効性を検証した、さらなる臨床データが、どんどん出てくるものと思われます。

そのため、妊娠希望のカップルは、脂ののった魚を週に3回程度は食べることが、不妊治療を受けていてもいなくても、早期の妊娠成立にプラスになる可能性があるはずです。

そして、もしも、あまり魚を食べないということであれば、DHAやEPAの魚油サプリメントを補充されるのがよいと思います。


文献)
1)Hum Reprod 2022 Advance Articles https://doi.org/10.1093/humrep/deac027
2)Hum Reprod 2018; 33: 156
3)J Clin Endocrinol Metab 2018; 103: 2680.

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編集後記____________________________________________________________

オメガ3脂肪酸の摂取は、魚を食べることが最も大切です。

ビタミンDなどのビタミンミネラルや良質なタンパク質も摂取できますし、サプリメントに比べて脂肪酸の吸収率が高いからです。

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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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