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VOL.978 睡眠とART治療成績

2022年03月20日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.978          2022/3/20
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:睡眠とART治療成績
・当社製品&サービス
・編集後記


最新ニュース解説 Mar.2022___________________________________________

 睡眠とART治療成績
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女性の年齢が30歳以上になると、睡眠時間や睡眠の質、睡眠の時間帯はART治療成績に影響を及ぼすことが中国で実施された前向き研究で明らかになりました。

睡眠の質の良し悪しは、心身の健康状態に影響することは明らかですが、妊娠にも影響することは、これまでに多くの研究報告がなされています。

今回の研究は同じ東アジアの中国で実施されたものですので参考になります。

◎どんな研究だったのか?
武漢市の華中科技大学の研究グループによる、環境やライフスタイルの妊娠する力への影響を調査研究を目的とした前向き研究、TREE(the Tongji Reproductive and Environmental)研究に登録し、2018年12月から2019年9月までの間に体外受精や顕微授精を受けた1,276名の女性患者を対象として、睡眠の状況を最初の周期の治療成績の関係を調べました。

採卵の日に質問票で睡眠時間(長さ)や入眠時刻、起床時刻、睡眠の質を回答してもらい、その後の培養成績や治療成績との関連が解析されています。

◎どんな結果だったのか?
まず、睡眠時間が7時間未満の女性は、7時間から8時間未満の女性と比べて採卵数が11.5%、成熟卵数が11.9%、それぞれ、少ないことがわかりました。

その一方で、睡眠時間が9から10時間未満の女性は7から8時間未満の女性に比べて臨床妊娠率が35%低かったというのです。

睡眠時間は、短くても、長くてもよくないようで、7時間から8時間程度がよいということになります。

次に、睡眠の時間帯ですが、入眠時刻と起床時刻の真ん中の時刻にあたる睡眠の中央時刻が午前2時21分よりも早いか、午前3時よりも遅いと、受精率が低くなることもわかりました。

中央時刻を午前2時30分、睡眠時間を7時間半とすると、夜は10時45分に寝て、朝は6時15分に起きるのがよいということになります。

さらに、週に3回以上の入眠障害、すなわち、寝つきが悪い女性は、成熟卵数が10.5%、受精卵数が14.8%、良好胚数が15.1%少ないことがわかりました。

最後に、睡眠時間と良好胚数や受精率の関連は、主観的な睡眠の質が低い女性の間だけに、睡眠時間と着床率や臨床妊娠率の正の相関関係は、30歳以上の女性においてのみ見られたということです。

まとめますと、睡眠時間は7時間から8時間、夜は11時前には寝て、朝は6時頃に起床する。そして、睡眠の質を向上するようにつとめる、特に、年齢が高くなるほど睡眠が重要になってくるということになります。

◎日本の睡眠時間
厚生労働省の国民健康・栄養調査の最新版をみてみると、年代別の1日の平均睡眠時間が6時間未満は30代女性で37.7% 、40代女性では52.4%と半分を超えていました。

睡眠の質では、睡眠で休養が十分にとれていない者の割合は30代で27.6% 、40代で30.9%でした。

このように睡眠の時間も質も、妊娠にマイナスの影響を及ぼしているおそれのある女性が多く存在することがわかります。

◎睡眠の質の向上のために
卵巣機能は他の臓器に比べて、早く、具体的には30代後半から老化がはじまります。そして、卵巣の老化は体内時計の機能の低下が密接に関わっていることがわかりました。

そのため、30代後半からは、積極的に体内時計を手入れし、ケアすることが卵巣機能の低下を遅らせることになるはずです。

反対にケアを怠り、放置しておくと卵巣機能の低下が加速してしまいます。

具体的な方法は以下の通りです。

1)早く寝る:どんなに遅くとも23時迄には寝る。
2)早く起きる:起床後14-16時間後にメラトニンの分泌が始まります。
3)起床後太陽光を浴びる:出来れば45分以上散歩して。
4)朝食は必ず食べる。:起床後2時間以内に。
5)朝食にはバランスよく、タンパク質も必ず食べる:リセット効果が高まります。
6)以上のことを毎日同じ時間に行う:週末も同じリズムを維持します。
7)夜はスマホやタブレット、PCを見ない。

早寝早起き、朝食、スマホが鍵になりそうです。

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・BABY&ME~新しい命のための環境づくり
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・翻訳書:妊娠しやすい食生活
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編集後記____________________________________________________________

長い期間の睡眠の質の良し悪しは蓄積し、心身の健康状態をも左右するとのこと。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.978
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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