____________________________________________________________________
妊娠しやすいカラダづくり No.990 2022/6/12
____________________________________________________________________
今週の内容__________________________________________________________
・トピックス:男性の精巣の温度上昇に要注意!
・当社製品&サービス
・編集後記
トピックス Jun.2022_________________________________________________
男性の精巣温度上昇に要注意!
-----------------------------------------------------------------------
精子がつくられるプロセスは、温度の影響を敏感に受け、34℃では精子が正常につくられる一方、37〜38℃になると精子がうまくつくられなくなることが、マウスの精巣の体外培養による研究結果が報告されています(1)。
これからの季節、お子さんを望まれる男性は、精巣の温度上昇に注意する必要があります。
例えば、男性のデスクワークは精子DNA断片化率の上昇を招く可能性があるという研究報告(2)がなされています。
研究では、デスクワークが多い男性を対象に、週あたりのデスクワークの時間を調査し、デスクワークに従事する時間が勤務時間の半分以上(17.5時間以上)の男性(152名)と半分未満の男性(102名)にわけ、精液検査や精子DNA断片化率件検査の結果を比較しています。
その結果、デスクワーク時間と精液検査結果とは関連しなかった一方で、精子DNA断片化率とは有意に関連したのこと。
精子DNA断片化率というのは、精液中の損傷しているDNAをもった精子の割合のことで、精子の質の目安になります。
つまり、デスクワークが長くなると、精子の数や運動率ではなく、精子の質に影響するというわけです。
精子の質が低下、すなわち、精子DNA断片化率が23%以上になると、自然妊娠や人工授精による妊娠が難しくなり、体外受精や顕微授精の成績も悪くなり、流産率が高くなることが知られています。
また、下着の種類が精巣温度を介して精子の質に影響を及ぼすという研究報告もなされています。
ゆったりしたタイプの下着をつける男性は、肌にフィットしたタイプをつける男性に比べて精子の数が多いというもの。
ハーバード大学の研究者らは、マサチューセッツ総合病院で不妊治療を受けている女性の男性パートナーを対象に下着のタイプと精液所見の関係を調べています(3)。
656名の男性に過去3ヶ月間、主にはいていた下着のタイプと精子数の関係を調べたところ、普段からゆったりしたタイプの下着をはいていた男性はそれ以外のタイプの下着をはいていた男性に比べて、精子濃度が25%も高かったとのこと。
また、サウナも要注意です。
サウナ浴は精子をつくる働きを低下させるというもの。
イタリアのパドヴァ大学の研究チームは、正常な精子の10名の男性を対象に、3か月間にわたって、週に2回、80~90℃のサウナに15分入ってもらい、試験開始時と3か月間のサウナ入浴期間後、そして、サウナ入浴期間終了3ヶ月後と6か月後に、精液検査と血液検査を実施し、サウナ入浴が精子をつくる働きに及ぼす影響を調べています(4)。
その結果、3ヶ月のサウナ入浴期間後、精子濃度や精子運動率が著しく低下したとのこと。
さらに、ノートPC。
長時間、ノートPC膝の上にのせて使用すると精子の質を低下させるおそれのあるというもの。
アメリカのニューヨーク州立大学の泌尿器科の研究チームは、29名の健康な男性を対象に、ノートPCで60分間使用してもらい、左右の精巣の温度変化を測定しました(5)。
その結果、ひざを閉じて座り、ノートパソコンをひざの上に置いて使用した場合、11分後には、左精巣温度は0.96~2.31℃、右精巣温度は0.91~2.56℃、それぞれ上昇したとのこと。
男性の精巣の温度は体温に比べて、1-2℃低い、32から35℃の間が適しているとされています。
なぜなら、高温下で精子形成に関与する遺伝子発現レベルが落ち、精子をつくるのに障害が起こってしまうからです。
そのため、男性の陰嚢(睾丸)は身体の外にぶらさがる格好になっているのです。
もしも、長時間のデスクワークやサウナ、身体にフィットする下着、膝上でのPC操作、さらには、肥満の男性は、股間に熱がこもることで、精巣の温度が上昇し、精子の質が低下してしまうおそれがあるというわけです。
特に、コロナ感染拡大以降、テレワークが一般的になり、男性のデスクワークが長時間化する傾向が強くなっています。
そのため、デスクワークが多い男性は要注意です。
イタリアの研究(6)では、長時間座って仕事をしている時でも、コーヒーブレイクの時は温度が急降下していることから、体制を変えたり、休憩時には歩き回ることで精巣を冷やせることがわかっています。
また、サウナ浴の影響もサウナ浴をやめれば、影響もなくなることがわかっています。
要するに、ちょっとした注意で、影響は避けられるということです。
これからの季節、精巣温度の上昇に要注意!です。
◎文献
1)Commun Biol. 2022; 26: 504
2)Folia Histochem. Cytobiol. 2019; 57: 15
3)Hum Reprod. 2018; 33: 1749.
4)Hum Reprod. 2018; 28: 877.
5)Ferti Steril 2011; 95: 647
6)Hum Reprod. 2015; 30: 1006
--------------------------------------------------------------------
記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
当社製品&サービス________________________________________________
・BABY&ME~新しい命のための環境づくり
https://babyandme.jp/
・翻訳書:妊娠しやすい食生活
http://www.akanbou.com/shoku/
・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/
編集後記____________________________________________________________
最近、サウナブームのようですが、お子さんを望まれる男性は長時間のサウナは避けたほうが無難なようです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.990
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします。
--------------------------------------------------------------------
不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
--------------------------------------------------------------------
発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎発行部数
・自社配信: 1,227部
・まぐまぐ: 2,292部
・合計部数: 3,519部(6月12日現在)
--------------------------------------------------------------------
◎免責事項について
当メールマガジンの提供する情報は医師の治療の代わりになるものでは決してありません。プログラムの実行は各人の責任の元で行って下さい。プログラムの実行に伴う結果に関しては、当社の責任の範囲外とさせて頂きます。
--------------------------------------------------------------------
◎注意事項
読者の皆さんから寄せられたメールは、事前の告知なく掲載させていただく場合がございます。匿名などのご希望があれば、明記してください。また、掲載を望まれない場合も、その旨、明記願います。メールに記載された内容の掲載によって生じる、いかる事態、また何人に対しても一切責任を負いませんのでご了承ください。
--------------------------------------------------------------------
◎著作権について
当メールマガジンの内容に関する著作権は株式会社パートナーズに帰属します。一切の無断転載はご遠慮下さい。