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妊娠しやすいカラダづくり No.996 2022/7/24
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今週の内容__________________________________________________________
・最新ニュース開設:肥満男性の減量による精液所見改善効果とリバウンドの影響
・お知らせ:保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022
・当社製品&サービス
・編集後記
最新ニュース解説 Jul. 2022____________________________________________
肥満男性の減量による精液所見改善効果とリバウンドの影響
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肥満は精液検査結果を悪くすることが知られていますが、肥満男性の8週間の低カロリー食によるダイエットによって精子濃度や総精子数が改善されるものの、それが維持できるかどうかは、その後リバウンドするかしないかにかかっているという研究報告(1)がデンマークのコペンハーゲン大学からなされています。
肥満は、男性にとっても、女性にとっても、妊娠や出産にマイナスの影響を及ぼすことが多くの研究で知られていますが、そもそも、肥満はあらゆる病気のリスクの上昇を招くと言っても過言ではなく、健康全体にマイナスです。
ところが、肥満男性の減量による精液の質の改善効果についての研究報告は、私たちが知る限りですが、それほど多くはなされていないように思います。
◎どんな研究だったのか?
18〜65歳のBMIが32〜43で、それ以外は健康な肥満男性を対象にダイエットにより精液所見が改善されるかどうか、また、その後のリバウンドの影響を調べることを目的に、無作為化対照二重盲検試験が実施されました。
56名の被験者男性に、最初は8週間の低カロリー(1日800kcal)食によって減量を行なった後、4つのグループにランダムに分け、52週間、以下の運動や抗肥満薬の組み合わせを実行してもらいました。
1)習慣的活動(普段通り)+プラセボ(偽薬)
2)運動+プラセボ
3)習慣的活動+抗肥満薬
4)運動+抗肥満薬
そして、研究開始時、8週間のダイエット後、52週間の体重維持期間後に、精液検査を実施、比較し、減量やその後のリバウンドの精液検査結果への影響を調べました。
◎どんな結果だったのか?
8週間の低カロリー食後、平均16.5kg体重が減り、BMIは平均32.0±2.9に低下し、精子濃度が1.49倍、総精子数が1.41倍に増加しました。
ところが、その52週間後、減少した体重を維持した男性では精液検査結果も維持されましたが、運度をせず、普段通りの生活、もしくは、抗肥満薬を飲まなかった男性は、リバウンドし(体重が減量前に戻り)、精液検査の結果も維持されませんでした。
このことから肥満男性では減量により精液の質は改善されるものの、その後のリバウンドによって元に戻ってしまうことがわかりました。
◎男性のプレコンセプションケア
体重が精液の質に影響するメカニズムについては、過剰な脂肪組織がホルモンに作用している可能性が大きいとされていますが、肥満による精巣の温度上昇も影響していることは間違いありません。
今回の研究でわかったのは、減量により精液所見は改善しますが、リバウンドするば元の木阿弥だということ。
要するに体重を減らしても、長続きする、すなわち、その状態が普通にならないと意味がないというわけです。
そのため、男性にもプレコンセプションケアという発想が大切になってきます。
男性はサポーターではなく、当事者であり、男性にもプレコンセプションケアが重要です。
プレとは「前」、コンセプションとは「妊娠」という意味で、男性のプレコンセプションケアとは、子どもをもちたいという男性は現在の自身の生活や健康に関心をもち、ケアするという意味です。
まさに、子どもの養育は妊娠する前から始めるということであり、女性だけでなく、男性も取り組むべきであるということに他なりません。
以下は、産科と婦人科という医学誌の2020年8月号の「男性のプレコンセプションケア」にて掲載された男性不妊症と関連すると考えられる生活習慣です。
・喫煙
・アルコール
・サウナ、長風呂
・肌にフィットした下着
・ノートパソコンも膝の上での使用
・長時間の自転車、バイク
・不規則な生活、短い睡眠時間
・AGA(発毛・育毛・薄毛)治療薬
・放射線曝露
・性交渉の回数が少ない
・長い射精の間隔
・肥満
文献)
1)Hum Reprod 2022; 37: 1414
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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
お知らせ____________________________________________________________
保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022
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不妊・不育で悩む人をサポートする自助団体「NPO法人Fine」からのお知らせで、『保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」のご協力のお願いです。
保険適用前と後ではどのように変わったか、生の声をお聞かせてください。
◎保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022
https://questant.jp/q/HBBYBCX7
保険適用後の不妊治療の現状や必要と思われるサポート、その他ご自身の率直なお気持ちなどをお聞かせください。もちろん男性からのご回答もお待ちしております。
ご回答いただいた方の中から抽選で50名様にプレゼントもあります。
Fineではこのアンケートを通じて、保険適用後の不妊治療の現状を把握し、よりよい制度にするためにはどのようなサポートが必要か。そして、患者一人ひとりが納得のいく治療を受けられるよう、皆さんの声を広く社会や国へ届け、治療環境向上へつなげていくとのことです。
【アンケート対象者】
不妊治療を受けているすべての方(これから受ける方も含む)
【期間】
9月30日(金)まで
アンケート所要時間は10分程度です。
◆「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」
https://questant.jp/q/HBBYBCX7
当社製品&サービス________________________________________________
・BABY&ME~新しい命のための環境づくり
https://babyandme.jp/
・翻訳書:妊娠しやすい食生活
http://www.akanbou.com/shoku/
・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/
編集後記____________________________________________________________
男性のプレコンセプションケアの影響は、一般に考えられている以上に大きいということが、最近のさまざまな研究でわかってきています。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.996
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします。
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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・まぐまぐ: 2,287部
・合計部数: 3,545部(7月24日現在)
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